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ドイツ中西部、メルヘン沿街道沿いに位置するマールブルク。かのグリム兄弟が大学に通った城下町で、坂と階段が張り巡らされた旧市街には、絵のような木組みの風景が詰まっています。

メルヘン街道らしい美しい街並みに加えて、グリム童話のオブジェめぐりもマールブルクのアトラクションのひとつ。童話の世界に迷い込んだ気分で、街歩きを楽しみましょう。

グリム兄弟の大学町マールブルク

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北はブレーメンから南はハーナウまで、グリム兄弟ゆかりの都市やグリム童話の故郷を結ぶメルヘン街道は、おとぎの国のような風景の宝庫。メルヘン街道のハイライトのひとつが、グリム兄弟が大学に通ったマールブルクです。

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ドイツ中西部に位置するマールブルクは、高台に城がそびえる城下町。旧市街の道のほとんどが坂または階段で、グリム兄弟の兄ヤーコプは「膝を動かして歩く町だ」、弟ヴィルヘルムは「家の数より階段の方が多い町だ」と評しました。

絵のような旧市街

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旧市街の坂道や階段には、カラフルな木組みの家々がぎっしりと並び、絵のような風景が広がっています。

マールブルクを訪れて驚くのが、町並みの立体感!「オーバーシュタット(アッパータウン)」と呼ばれる旧市街全体が坂の上に位置していて、短い距離でも思いのほか歩き甲斐があるのです。

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徒歩で旧市街へ行くには、ウェルカム・ホテルの脇にある無料エレベーターを利用すると楽。町なかに公共のエレベーターがあるなんて、さすがは坂の町ですね。

マルクト広場

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旧市街の中心が、カフェやレストランに囲まれたマルクト広場。グリム童話に出てきそうな石造りの建物は、16世紀に建てられた市庁舎で、毎時になると、屋根の上でニワトリが鳴いて時間を知らせてくれます。

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マールブルクの旧市街観光は、ここが起点。マルクト広場から狭い路地や坂道がいくつも延びていて、この町ならではの景観を造っています。

町を見下ろす方伯城

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マールブルク最大の見どころのひとつが、町を見下ろす高台に建つ方伯城。徒歩で行くこともできますが、体力を温存するなら、マルクト広場やマールブルク駅から、「Schloss」行きのバスに乗るのも手です。

マールブルクの城は、かつてこの地を支配したヘッセン方伯の居城だった場所。「方伯」とは、神聖ローマ帝国時代に、領地にできた諸国家の統治者に与えられた称号でした。

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現在は、マールブルク大学の文化史博物館として公開されており、ゴシック様式のホールや、壁画が残る礼拝堂、城で使われていた家具や調度品、武具などを見ることができます。

旧大学

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映画に登場しそうな重厚感たっぷりの大きな建物は、旧大学。1527年、13世紀建造の修道院を基礎に、この地に世界最古のプロテスタント系大学であるマールブルク大学が設立されました。

現在、大学関連施設はマールブルク市内の各所にあり、学生数は約2万5000人。人口が7万3000人程度ですから、いかに大学の存在感が大きいかがわかりますね。

聖エリザーベト教会

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旧市街以外のスポットで見逃してはいけないのが、町の北に位置する聖エリザーベト教会。13世紀のハンガリー王女、エリザーベトに捧げられた教会で、ドイツ最古のゴシック様式の教会のひとつです。

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ハンガリーに生まれたエリザーベトは、わずか4歳でドイツ中部のテューリンゲン方伯に嫁がせられます。夫を亡くした後、紆余曲折を経てエリザーベトがたどり着いたのが、マールブルク。貧民や病人に尽くし、24歳の若さで亡くなった後、聖人に列せられました。

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教会内部には、エリザーベトの像やヘッセン方伯の墓所などがあり、とりわけ中央祭壇後方にある、エリザーベトの生涯を表したステンドグラスは感動的です。

グリム童話のオブジェを探せ

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グリム兄弟ゆかりのマールブルクの町には、グリム童話にちなんだオブジェが点在しています。遊び心あふれるオブジェや、グリム兄弟ゆかりのスポットを結ぶ「グリム兄弟の小道(Grimm-Dich-Pfad)」は、マールブルクの人気観光ルート。

グリム童話のオブジェには、見つけやすいものもあれば、意外なところに潜んでいるものもあります。グリム兄弟の小道にある15以上のポイントのなかから、特に見ておきたいものをご紹介します。(カッコ内は所在地)

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「狼と7匹の子ヤギ」から狼と子ヤギの顔(Steinweg)

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「かえるの王様」のかえる(Neustadt、井戸の屋根の上)

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「勇ましいちびの仕立て屋」の7匹のハエ(Marktplatz、市庁舎に向かって左の建物)

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「白雪姫」の鏡(Landgraf-Philipp-Straße)

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「シンデレラ」のパンプス(方伯城の城壁下)

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「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家(Luther. Pfarrhof/Kugelgasse、公園内からよく見えます)

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グリム兄弟の下宿(Barfüßerstraße 35)

「シンデレラ」のパンプスや、7匹のハエは、探そうとしなくても目に入るはず。逆に、「かえるの王様」のかえるや、「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家などは、なかなか視界に入りにくい場所にあります。

だからこそ、見つけたときは達成感が倍増。「Grimm-Dich-Pfad」と書かれた小さな看板を目印に、小道散策を楽しんでください。

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日本ではあまり知られていないものの、訪れた人が「良かった!」と口を揃えるマールブルク。美しき坂の町で、グリム兄弟のメルヘンを体験してみませんか。

取材協力:ドイツ観光局
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