山岳旅ライターが語る。入門者におすすめの旅先と5つの楽しみ方
こんにちは!行きたい山が多すぎる、山岳自転車旅ライターの土庄です。
これまでTABIPPOでは、登山を組み合わせたアウトドアな旅の楽しみ方として、「山旅」とその魅力について執筆してきました。
しかし、ひとえに「山旅」といっても、登山未経験の場合、ハードルが高いと思われる方も多いでしょう。そこで今回は、初心者でも実践可能な「山旅」の楽しみ方と、おすすめの旅先をご紹介します。
日本の屋根をなす北アルプスや、神々の遊ぶ庭と呼ばれる北海道・大雪山など、旅先に山を取り入れるだけで、非日常や冒険感を一気に高められますよ!
山旅の高まりと、その魅力

近年、アウトドアのニーズが急速に高まっています。日頃の健康維持や、休日の充実、またコロナ禍において、三密回避のアクティビティとして注目されている側面もあります。
旅の志向を示すアンケート結果からも、登山・ハイキングの人気が上がっていることがわかっており、少しずつ登山者も若年化してきました。

「山旅」とは、登山・ハイキングの裾野を少しでも広げようとする概念。いわば、山MIXの旅スタイルとして、広範な活動を指します。
「山」といっても、そこに登ることがすべてではなく、「旅の中へ自然豊かな山の世界をどう組み合わせるか」ということに焦点が置かれています。
つまり、山に登り慣れた登山者だけでなく、「これから山を始めよう!」という初心者の方にも向けられているのです。
入門編「山旅」楽しみ方のバリエーション
一般的には、登山+登山口付近で観光を楽しむスタイルが取られることの多い山旅。しかしこれはひとつの方向性にすぎず、山旅の楽しみ方には豊富なバリエーションがあります。
まずは、筆者おすすめの「山旅」の楽しみ方を5つご紹介します。
【1】展望台を目指してみる

まず1番手軽なのが「展望台」を目指すこと。展望台は観光目的で設置されていることも多く、車で行ける場所もたくさんあります。
たとえばこのスタイルの山旅でお勧めしたいのが、信州です。日本アルプスお膝元の信州ですが、その日本屈指の山並みを見渡すように、絶景を楽しめる展望台が至る場所に設けられています。

車でのぼり、少し散策するだけで登山気分を味わえるのが展望台の魅力。時間のロスが少ないこともメリットでしょう。
展望台を巡るだけでも、四季折々の山岳絶景に出会うことができ、写真撮影もはかどります。
【2】山岳スカイラインを走る

「日本の絶景道100選」のほとんどが山岳スカイラインであることからもわかるように、国土全体が起伏に富んだ日本は、すばらしい道の宝庫です。
たとえば北海道「知床横断道路」や、岩手県・秋田県「八幡平アスピーテライン」、四国「UFOライン」など、数えきれない一級の山岳道路が、全国各地に存在します。

かつて有料だった道路も今や無料化され、手軽に利用できるようになったのも魅力といえるでしょう。
移動しながら山岳情緒を感じる。冷涼な山の空気を感じ、懐の広い自然を眺める。これだけで一気に、非日常感が高まるはず。
【3】山岳ロープウェイへ乗る

もっとダイレクトに山の絶景を楽しみたいのであれば、山岳ロープウェイがぴったり。少しハードルが高い日本アルプスも、ロープウェイを利用すれば楽々アプローチできます。
たとえば北海道・旭岳ロープウェイや、北アルプス・新穂高ロープウェイ、中央アルプス・駒ヶ岳ロープウェイ。一気に高山帯まで移動できるのは大きなメリットといえるでしょう。

防寒対策は必須ですが、普通の服装や準備で、日本屈指の山岳絶景を堪能することができます。
一方で、ロープウェイで山麓までアクセスできる山は、総じて人気で登りやすい山も多いため、本格的な登山入門にも最適です。
【4】軽ハイキングを楽しむ

ひとえに山に登ると言っても、遊歩道レベルで軽くハイキングを楽しめる場所も、日本全国にたくさん存在します。登山入門として、旅先で歩いてみるのもおすすめです。
たとえば山形県の「山寺」や奈良県の「曽爾高原」、岐阜県の「宇江津四十八滝」などでは、身体を動かしながら美しい自然に浸ることができます。

登山初心者の方にとっても、練習の場となるような場所も多いので、旅行先の周辺でハイキングが組み合わせられる場所を探してみるのも楽しいですよ。
旅程にハイキングを組み込むだけで、旅のオリジナリティが上がり、同時にアドベンチャー感も高まるはず!
【5】秘湯の宿に宿泊する

山の楽しみ方として、「秘湯の宿」に泊まってみるのもおもしろいでしょう。秘湯は総じて山奥にあり、周囲の自然と調和しています。源泉もその母なる自然、火山がもたらしている恵みです。
温泉を楽しむ以外にも、渓流で釣った魚、自生している山菜など、山のフルコース料理を満喫することもできますよ。

目で見て山を楽しむだけでなく、山に触れて味わえるのが秘湯の魅力。自然と人の共存のカタチを見て取れるのもおもしろいポイントです。
冬は登山が難しくなりますが、「乳頭温泉郷」や「銀山温泉」など、閉ざされた場所で雪見風呂を楽しめる、東北の秘湯がイチオシです。
手軽に「山旅」へ!おすすめの旅行先5選
それでは、これまでご紹介してきたポイントも踏まえて、初心者でも「山旅」を楽しめる旅行先をピックアップしましょう!ぜひ次の旅行の参考にしてみてくださいね。
【1】北海道|大雪山・美瑛

北海道の屋根をなす「大雪山」。その山麓も合わせた大雪山国立公園は、日本一の広大な面積を誇っています。
旭岳ロープウェイや黒岳ロープウェイがあるためアクセス抜群で、数々の展望台もあり、ドライブでスポットを繋ぎながら山旅を楽しむことも可能です。

なかでもイチオシは「旭岳・姿見の池」。毎年9月上旬には、日本一早い紅葉が見られる場所として知られています。道内最高峰を望みながら早秋の趣を感じるハイキングは格別。
また麓の美瑛には、神秘の「青い池」や、大雪山を背景とする「四季彩の丘」など、美しい山岳絶景が点在しています。山の上の秘湯「十勝岳温泉」に宿泊するのもおすすめですよ。
・名称:旭岳・姿見の池
・住所:北海道上川郡東川町勇駒別
・地図: ・アクセス:旭岳ロープウェイまで札幌から約3時間、旭川から約1時間、旭岳ロープウェイ下車後、徒歩約30分
・営業時間:登山道は24時間、一般的には旭岳ロープウェイ運行時間に準ずる
・電話番号:0166-97-2153(旭岳ビジターセンター)
・料金:旭岳ロープウェイ 大人往復2,200円(シーズン:10/21~5/31)、3,200円(トップシーズン:6/1~10/20)
・所要時間:1〜2時間
・オススメの時期:秋(9月中旬〜下旬)
・公式サイトURL:http://asahidake.hokkaido.jp/ja/
【2】青森県|八甲田山・奥入瀬渓流

東北屈指の景勝地として名高い「奥入瀬渓流」。距離は14キロメートルと長いですが、アップダウンが少なく、遊歩道が整備されているので、初心者ハイカーでも山歩きを満喫できます。
周囲には蔦温泉や谷地温泉などといった伝統的な秘湯に加え、「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」もあり、滞在スタイルに応じて宿泊先を決められるのもうれしいところ。

また近くには八甲田ロープウェーが運行しており、手軽に八甲田山の登山・ハイキングが楽しめます。アオモリトドマツの間から津軽・下北半島を見渡す絶景は圧巻。
十和田湖も近く、遊覧船で湖上の景観を楽しんだり、展望台から雄大な湖のパノラマを眺めたりすることができます。広いエリアではないものの、変化と感動に富んだ景色を楽しめます。
・名称:八甲田山
・住所:青森県青森市大字駒込深沢
・地図: ・アクセス:八甲田ロープウェーまで青森から車で約1時間、八甲田ロープウェー下車後、徒歩約2時間10分
・営業時間:登山道は24時間、一般的には八甲田ロープウェーの運行時間に準ずる
・定休日:風速が25m/s以上の時、また異常気象時には八甲田ロープウェーが運休
・電話番号:017-738-0343(八甲田ロープウェー)
・料金:八甲田ロープウェー 大人(中学生以上)往復2,000円
・所要時間:4時間〜5時間
・オススメの時期:夏、秋(10月下旬)
・公式サイトURL:http://www.hakkoda-ropeway.jp/
【3】岐阜県|新穂高ロープウェイ・乗鞍岳

北アルプスのお膝元にある奥飛騨温泉郷・新穂高。アルピニストの聖地といえる場所ですが、実は一般的な観光で山岳絶景を拝むことができる場所もたくさんあります。
1番の王道は「新穂高ロープウェイ」。標高約2200メートルの西穂高口駅へ到着すれば、笠ヶ岳や西穂高岳、槍ヶ岳まで、北アルプスの大迫力の山並みを一望できます。

麓には秘湯宿も多く、山岳風情を楽しみながら宿泊することも可能。源泉掛け流しの露天風呂から山並みを仰ぎ見るのも、また一興です。
また朴の木平(ほおのきだいら)から出ている濃飛(のうひ)バスに乗って、高山植物の宝庫・北アルプス乗鞍岳へハイキング旅行するのもおすすめ。国内にある標高3000峰のなかでも、簡単に登れると人気の山ですよ。
・名称:新穂高ロープウェイ・西穂高口駅
・住所:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾字栗尾445
・地図: ・アクセス:新穂高ロープウェイまで高山市街から約1時間10分、新穂高ロープウェイ下車後すぐ
・営業時間:新穂高ロープウェイの運行時間に準ずる
・定休日:なし
・電話番号:0578-89-2252(新穂高ロープウェイ)
・料金:新穂高ロープウェイ 大人往復3000円
・所要時間:1〜2時間
・オススメの時期:通年
・公式サイトURL:https://shinhotaka-ropeway.jp/
【4】徳島県|剣山・祖谷渓

白川郷と並んで日本三大秘境のひとつ「祖谷渓」。独特の山旅を味わえる旅行先としておすすめです。
まずは西日本で標高第2位の名峰「剣山」へのアクセスのよさがポイント。見ノ越から「剣山観光リフト」に乗り、下車後1時間で登頂することができます。

向いに見える次郎笈(じろうぎゅう)への美しい稜線は、多くの登山愛好家の憧れです。なかでも10月下旬の紅葉の時期には、山肌がまるで絵画のように彩られます。
麓には、秘境の趣を残す「かずら橋」や「祖谷渓温泉」があり、観光名所も豊富。静寂に包まれる夜の秘境で、山の幸を楽しみ、温泉へ浸かる時間は至福のひとときです。
・名称:剣山
・住所:徳島県三好市東祖谷菅生
・地図: ・アクセス:剣山観光リフトまで徳島市から車で約2時間10分、剣山観光リフト下車後、徒歩約1時間
・営業時間:登山道は24時間、一般的には剣山観光登山リフトの運行時間に準ずる
・定休日:剣山観光登山リフトは12月1日~4月中旬まで冬季運休
・電話番号:0883-62-2772(剣山観光登山リフト)
・料金:剣山観光登山リフト 大人往復1,900円
・所要時間:4〜5時間
・オススメの時期:秋(10月下旬〜11月上旬)
・公式サイトURL:http://www.turugirift.com/
【5】熊本県|阿蘇・くじゅう連山

九州が誇る、雄大な火山地帯「阿蘇」。阿蘇五岳を囲むように山岳道路がいくつも走っており、湯布院へつながる「やまなみハイウェイ」は日本屈指の山岳ドライブルートとして知られています。
「大観峰」や「俵山峠」をはじめとする展望台も多く、九州の屋根と言える山岳情緒をダイレクトに体感できるでしょう。

また名湯「黒川温泉」も近く、名物の「あか牛」など、秘湯や食の観点でも魅力的なエリアです。
「くじゅう連山」では、本格的な登山に挑戦することも可能です。山中にある法華院温泉山荘は、九州最高所に湧く温泉として、全国からマニアックな登山愛好家が訪れるスポットとなっています。
・名称:くじゅう連山・法華院温泉山荘
・住所:大分県竹田市久住町大字有氏1778
・地図: ・アクセス:長者原・九重登山口まで大分市から約1時間20分、登山口から徒歩約1時間30分
・定休日:年中無休
・電話番号:090-4980-2810(予約はお電話でお早目に!)
・料金:1泊2食付き9,000円〜(素泊まりもあり)
・オススメの時期:通年
・公式サイトURL:http://hokkein.co.jp/
山旅から、飽くなきネイチャーフィールドへ

今回は「山旅ってハードルが高い……!」という声に応えて、誰でも手軽に楽しめる「山旅」のカタチをご紹介しました。
登山と聞くと、どうしても体力が必要だと思われがちですが、必ずしもそんなことはありません。まずは負荷なく楽しめる方向から山に触れ、そこから自分たちの旅と組み合わせてみてはいかがでしょうか。
非日常感・冒険感が一気に増すことで、日本の見方が少しディープに変わる「山旅」。ぜひ気軽にトライしてみてくださいね。
All photos by Yuhei Tonosho