氷瀑に霧氷、ニホンカモシカ!今だからこそ地元「奥三河」で絶景の冬旅を満喫してみた
こんにちは!アクティブな冬を過ごしている、トラベルライターの土庄です。
旅人にとっては、厳しい年が2年近く続いてきましたが、まだ糸口が見えずにいますね。全国を自転車でまわってきた私も、旅スタイルの変更を余儀なくされ、最近はもっぱら地元の「奥三河(おくみかわ)」をめぐるようになりました。
そうした旅では「地元にこんな美しい景色があったんだ!」という発見が多くあり、ディープな奥三河に触れることに。名古屋などの中心部からは想像できない隔絶した自然、雪景色、特別天然記念物のニホンカモシカ、そしてあたたかいお宿など、抑えがたい自分の旅欲を満たしてくれたのです。
今回は、中でも一段と趣深かった冬の奥三河について、その魅力をご紹介します。
愛知県の秘境「奥三河」とは

愛知県民でもあまり馴染みのない「奥三河」。愛知県北東部の山間エリアを指し、実は愛知県の面積の半分近くを占めています。
行政上では新城市(南設楽郡)と北設楽郡、そして豊田市北東部(旧東加茂郡・足助地区や旭地区など)が該当します。岐阜と長野、静岡の3県との県境をなしているのも大きな特徴です。
愛知県といえば、名古屋を中心とする尾張や三河湾の沿岸に目が行きがちですが、実は愛知県の潜在能力の高さを教えてくれるエリアこそ、この「奥三河」だと思っています。
美しい雪山の宝庫

まず一番驚かされたのは、美しい雪山の存在です。愛知県は太平洋に面し、雪国というイメージはないでしょう。しかし特に長野との県境のエリアは、愛知屈指の豪雪地帯で、冬には美しい白銀の世界を見せてくれるのです。
しかも登りやすい山が多く、雪山登山やハイキングに最適です。遠くに行かなくても、こんなに好奇心をかき立てられる冒険が楽しめる。それを強く実感した2年間でした。
霧氷と南アルプスが共演する「茶臼山」

奥三河の雪山の代表格といえば、最高峰の「茶臼山(ちゃうすやま、標高1415メートル)」です。県内で唯一のスキー場を有しており、冬にはたくさんのお客さんで賑わいますが、そのスキー場の一角より約1時間で登頂することができます。
天気が良ければ、空気中の水分が凍って木々に付着する「霧氷(むひょう)」という現象も。その先には標高3000メートル級の南アルプスの山脈が広がり、青と白の美しいコラボレーションを見せてくれます。
・名称:茶臼山
・住所:愛知県北設楽郡豊根村坂宇場御所平
・地図: ・アクセス:鳳来峡ICから茶臼山高原スキー場駐車場まで車で約1時間
・コースタイム:茶臼山高原スキー場駐車場→(約40分)→茶臼山山頂
・公式サイトURL:http://www.chausuyama.jp
山頂まで1時間。雪山登山に人気の「寧比曽岳」

三密を回避しつつリフレッシュできるアクティビティとして、登山やハイキングを始める方も増えていますが、一方で最近は、比較的マイナーな山もよく登られるようになってきました。奥三河の「寧比曽岳(ねびそだけ、標高1121メートル)」も、そのひとつです。
人が多くない山では、日常の喧騒から離れることができます。美しい景色に触れて自分をリセットすれば、「また一週間頑張れそう!」という活力が湧いてきます。往復2時間という手軽さも、寧比曽岳が支持されている理由のひとつかもしれませんね。
・名称:寧比曽岳(ねびそだけ)
・住所:愛知県豊田市大多賀町
・地図: ・アクセス:豊田勘八ICから大多賀峠まで車で約40分
・コースタイム:大多賀峠→(約1時間)→寧比曽岳山頂
・備考:12月〜3月には雪山登山装備が必要。冬靴とアイゼンを携行しましょう。
・公式サイトURL:https://www.tourismtoyota.jp/spots/detail/15
絵画的な美しさ。冬の「天狗棚」の原生林

最後に、奥三河の雪山の中で最も印象的だったのが、茶臼山からほど近いところにある「天狗棚(てんぐたな、標高1240メートル)」です。面ノ木(めんのき)園地として整備されているため、観光にもぴったり。
天狗棚の魅力は、一面に広がる原生林。冬になれば、そのすべてが霧氷の森と化し、圧倒的に白く、静謐な世界が迎えてくれます。霧氷と青空の共演は、ただひたすらに心洗われるような美しさ。古来より天狗が住むと伝わえられている、神秘的な山の表情を味わうことができます。
・名称:天狗棚
・住所:愛知県北設楽郡設楽町津具
・地図: ・アクセス:鳳来寺峡ICから面ノ木園地まで車で約1時間
・コースタイム:面ノ木園地→(約30分)→天狗棚山頂
・公式サイトURL:https://www.okuminavi.jp/search/detail.php?id=66
自然との一期一会

ハイシーズンでない時期にあえて地元をめぐって自然との一期一会を楽しめたのは、大きな収穫であり、うれしい誤算でした。
霧氷並木咲く「茶臼山高原道路」

たまたま強い寒気が流れ込んできたタイミング。思えば学生の頃、雪山登山を始めたときもそうでしたが、こうした天候が大きく動くときには、絶景に出会える確率が上がります。そのため、思い立ってすぐ山へ向かうのですが、その行動が報われることも多いです。
先ほどご紹介した茶臼山と天狗棚(面ノ木園地)をつないでいる「茶臼山高原道路」では、美しい霧氷の並木道に出会うことができました。まるで季節外れの桜が満開となっているような情景に、ひたすら感動したことを覚えています。
・名称:茶臼山高原道路
・住所:愛知県北設楽郡設楽町(西納庫IC)〜豊根村(茶臼山IC)
・地図: ・アクセス:鳳来峡ICから車で約1時間
・営業時間:24時間通行可
・定休日:冬季閉鎖なし
・公式サイトURL:https://www.aichi-dourokousha.or.jp/rosen/kaihou/chausuyama/
冬ならではの造形作品「湧水広場の氷瀑」

滝が凍ってできる「氷瀑(ひょうばく)」。天然で形成されるものもありますが、奥三河では人の手を介在してできる「湧水広場の氷瀑」が風物詩となっています。
もともと、豊田市稲武町在住の水道屋さんが、冬になると小さな滝に柱を建て、毎日湧き水をかけて巨大なつららを作っていたことから始まっているそう。
その年の気候条件によって、大きさや形成具合も異なり、まったく同じ氷瀑はひとつとしてありません。一期一会の造形作品と向き合う時間は、良いインスピレーションを与えてくれる気がしますね。
・名称:湧水広場の氷瀑
・住所:愛知県豊田市稲武町横川渡4
・地図: ・アクセス:豊田勘八ICから車で約50分
・電話番号:0565-83-3200
・料金:無料
・公式サイトURL:https://www.aichi-now.jp/spots/detail/1928/
天然記念物「ニホンカモシカ」との出会い

日本アルプスなど長野県に生息している天然記念物「ニホンカモシカ」ですが、実は奥三河でもかなりの頻度で出会うことができます。標高は低いものの、広範囲にわたって手つかずの自然が残っている奥三河は、彼らが生きていくために最適な環境です。
町がまだ目覚めない早朝に、山道を車で走っていたとき、一頭の赤ちゃんカモシカに出会いました。キョトンとこちらを見つめているカモシカと、数分間目を合わせた時間は、ささやかながら幸せでした。自分の地元がこれほど自然豊かだと再確認したことで、郷土愛もさらに深まった気がします。
秘境ならではの人のあたたかさ

隔絶した自然が広がっている奥三河で人と出会えた安心感。人の思いやりに触れる時間のありがたみ。こうしたものを強く感じることができました。
炭火焼き五平餅がおいしい「田舎茶屋まつや」

宇連川(うれがわ)の清流を見渡しながらトロッとした泉質を楽しめる秘湯、「湯谷温泉(ゆやおんせん)」。その一角に軒を連ねる「田舎茶屋まつや」さんは、忘れられない空間と味を提供してくれました。
昭和の趣漂う店内では、炭火焼きの五平餅が味わえます。昔から長く愛されている味を守りながら、あたたかいおもてなしを提供してくれるお店。熱々のお茶をいただきながら、ただぼんやりお腹を満たすひとときがこの上なく幸せです。
・名称:田舎茶屋まつや
・住所:愛知県新城市豊岡滝上59−8
・地図: ・アクセス:新城市街から車で約30分、鳳来峡ICから車で約10分
・営業時間:9時00分~17時00分
・定休日:不定休
・電話番号:0536-32-0819
・料金:1000円以内
・公式サイトURL:https://www.okuminavi.jp/search/detail.php?id=600
秘境の心安らぐお宿「御宿 清水館」

茶臼山の東山麓に位置する「御宿 清水館」さん。県民割が利用できるタイミングで宿泊させていただきました。5代にわたってこの地で愛されているお宿で、どこかおじいちゃんおばあちゃんの家に帰ってきたような安心感を覚えます。
名物のジンギスカンをお腹いっぱいいただき、山の幸溢れる料理にも舌鼓。チェックアウトのときに、これから登山をすることをお伝えすると、おやつにどうぞ!とオレンジピールを持たせてくれました。こういう何気ない思いやりに触れると、また再訪したいという思いが強くなりますね。
・名称:御宿 清水館
・住所:愛知県北設楽郡豊根村坂宇場御所平45-1
・地図: ・アクセス:鳳来峡ICから車で約1時間
・電話番号:0536-87-2025
・料金:1泊2食付き約1万円/人
・公式サイトURL:https://www.shimizukan.jp/
今だからこそ地元の魅力を見つめてみよう

最初は、「遠出ができないから近場を巡るしかない」という、ややネガティブな思考による選択だったかもしれません。しかし結果的に、地元は旅欲の受け皿になってくれ、同時に生まれ育った地をを見つめ直す良い機会になりました。
こんなにもすばらしい自然が多く、あたたかい場所がある。これまで気づかなかった地元の魅力を再発見することができたのです。
新型コロナウイルスの蔓延により、観光は深刻な打撃を受けています。それを日々痛いほど感じる中で、地元を見つめ直す人が増えれば、きっと経済も緩やかに回り、コミュニティも活性化していくと信じています。本記事が、その小さなヒントになればうれしいです。
All photos by Yuhei Tonosho