世界で一番イケてる都市で、こんなデートがしてみたい
ニュージーランドの4月は秋が近づいていて、ちょうど過ごしやすい時期。わたしは1年ほど前から、留学のため首都・ウエリントンで暮らしている。日本人は知らない人も多いけれど、ウエリントンは「ロンリー・プラネット」で「世界でもっともクールな首都」と絶賛されている話題の街なのだ。
今日は学校もバイトもおやすみ。朝からデートの約束をしているので、いつもより少し早起きをしてメイクもばっちりだ。
付き合っているニュージーランド人の彼は、3歳年上の大学院生。大学で出会って、初対面から意気投合したわたしたちは1ヶ月も経たずに付き合い始めた。
今日は彼との半年記念日。待ち合わせのカフェに向かう途中、「もう着いたよ」との旨のメッセージが届く。デートの待ち合わせは、何度してもその度にドキドキしちゃう。
お店に入ると、黒いスキニーパンツにデニムシャツを着た彼が席に座って待っていた。光に当たると茶色に見える髪、覗き込むとグレーの瞳を持つ彼は、シンプルなファッションがとてもよく似合う。
足元には、わたしが誕生日にあげたスニーカーを合わせている。
(※この記事は13245465786520%妄想で書いておりますので、あらかじめご了承ください)
待ち合わせは地元で愛されるカフェで
わたしたちが待ち合わせをしたのは、地元のウエリントニアンに愛されている「フライト・コーヒー&ザ・ハンガー」。
コーヒー焙煎所兼カフェで、主流のエスプレッソのほかにもエアプレスやフィルターなど、さまざまな方法でコーヒー豆の味わいを楽しむことができる。
世界中から豆を買い付けていて、エシカルをコンセプトに品質の良いコーヒーを提供しているそう。生産者とは直接取引をしていて、より良い豆を取り入れようとしているらしい。
彼がなにやらレジで注文すると、3種類のフラットホワイトがテーブルに運ばれてきた。1つの豆で入れ方によってどのように味が変わるのか、味わうことができる。
あまりコーヒーに詳しくないわたしに、コーヒー好きの彼が一生懸命説明してくれる。難しいことはわからないけれど、飲んでびっくり! これが全て同じ豆だなんて信じられない。
彼のアツいコーヒー話は止まらない。次に運ばれてきたのは、左からダブルエスプレッソ、フラットホワイト、水出しコーヒー。日本の水出しコーヒーとは少し異なり、ここでは24時間かけて作っているんだって。
「オーガニックやフェアトレードは品質が悪いと思われていることもあるみたいだけど、ここのカフェは質の高さを売りにしているんだよ」と彼が説明してくれた。
お店ではスタッフの方が、目の前でコーヒーを作ってくれる様子も見ることができる。あ、ちょっと。今お姉さんに見とれてたでしょ?
オーナーのRonakさんによれば、こちらのお店は「天気がよくない日」に来るのがベストだとか。「雨が降っていてどこにも出かけられないなぁ……なんて時に、コーヒーを飲みに来る。そしてお店から外の雨を眺めるなんて趣があるよね」なんて話をしてくれた。
ウエリントンで生まれ育った彼によると、「都市のオークランドは見所が郊外に散らばっているけど、ウエリントンは街がコンパクトだから、休日にはみんな街に集まってくる。文化や流行がキャッチしやすく発展しているのも、ウエリントンの特徴だし良いところだよね」とのこと。
そう話す彼の横顔を見ると、嬉しそうに口角が上がっていた。自分の街をこうやって楽しそうに話す姿も、好きなところの1つ。
・名称:Flight Coffee and The Hangar
・住所:119 Dixon St, Te Aro, Wellington 6011 ニュージーランド
・電話番号:+64 4-830 0909
・公式サイトURL:https://www.wellingtonnz.com/discover/eat-and-drink/flight-coffee-hangar/
可愛らしい映画館でゆっくり
ウエリントンは、映画の街としても知られている。日本で映画を観る場所といえばTOH◯ シネマズやユナイ◯ッドシネマなどが有名だけど、ミラマーにある映画館は一味違う。
だって、この外観を見て。こんなキュートな映画館、なかなかないよね。中もさぞかしキュートなんだろうな……
と思ったら、いきなり顔があるもんだからびっくりしちゃった。「ひゃっ!」って思わず声をあげたわたしの隣で、彼が「驚きすぎだよ〜」って笑ってる。
顔が飛び出していたら、誰だって驚くでしょ。ちょっと拗ねているわたしの手を、彼が引っ張って奥へと案内してくれた。
「わお……」
ちょうど上映が終わったお部屋に入らせてもらうと、見たこともないようなおしゃれな空間が広がっていた。こんな映画館、日本では見たことない。
ちょっとレトロだけど古びた印象もなく、細かいところにも装飾が施されていてとにかく可愛い。彼がわたしを追い越して、シートに腰掛けた。「はい、問題です!」普段は大人っぽい彼も、わたしと二人きりの時は少し子どもみたいに振る舞う。まあ、そんなところも可愛いのだけど。
「さて、赤く輝くこのシートはどこの国のものでしょう?」
見る限り、このシートは皮かなぁ。「高級なレザーといえば、イタリアくらいしか思い浮かばないけど違うよね?」諦め半分で答えると、彼がびっくりしてこっちを見ていた。どうやら見事的中したみたいだ。
「うん、当たり」一発でわたしに当てられたのが悔しいのか、少し落ち込んでるようにも見える。ごめんごめんと心の中で謝りながら、彼の表情がコロコロ変わるのが面白くて少しニヤニヤしてしまった。
日本にもこんな素敵な映画館があったらいいのになぁ……なんて思っていたら、上からカーテンが降りてきた。映画館というよりむしろ、劇場みたいな光景にびっくり! 興奮しているわたしを横目に、彼が満足そうにしているのもわかった。
どうやら裏のスタッフの人にカーテンを下ろすよう、わざわざ頼んでくれたらしい。少しでもわたしを楽しませようとしてくれる気持ちが嬉しくて、彼の手をぎゅっと強く握った。
「ん?どうした?」
「ううん、なんでもないよ」
彼に手を引かれて2階に上がって、目にしたのはなんとオスカー像。まさか本物がここに飾られているなんて思わなかったわたしは、夢中で携帯のカメラで撮影を始める。
後から見せてもらったのだけど、わたしが必死に写真を撮っている場面を、彼も同じく携帯で撮影していたみたい。「だってめちゃくちゃ真剣に撮っているから、おもしろくって」と言いながら、わたしの写真を見せてきた。
彼はいつも、わたしの何気ない表情や仕草も写真に撮ってくれる。最近はわたしも彼のことをよく撮影するので、カメラフォルダはお互いの写真でいっぱい。ふとした時に見返すと、「こんな顔してたんだ」「この時嬉しかったんだよなぁ」なんて当時を鮮明に思い出せるから、わたしたちはこの習慣を大事にしている。
「もうそろそろ映画が始まるね、いこっか」
わたしたちは約2時間の映画を、おしゃれな映画館で楽しんだ。
映画館のカフェでプラッターランチ
映画を観終わると、1時を少し過ぎた頃。お腹も空いていたので、映画館内の「ココ・アット・ロキシー」でプラッターランチをいただくことにした。
メニューは決まっているので、選ぶのはドリンクのみ。「面白いの選ぶから、期待してて」そう言って笑う彼は、何か企んでいるような顔をしている。
面白いドリンクっていったいなんだろう。そう思いながら、少し待つと衝撃的なドリンクが運ばれてきた。
「えっ、なにこれ!?!? ぶくぶく泡が出てるんだけど……」テーブルに運ばれてきたのは、フラスコのようなグラスからぶくぶくと泡が溢れているドリンク。
「インスタジェニックじゃない?」と笑顔で写真を撮る彼。多分、インスタジェニックの意味を勘違いしているみたいだけど……そんな勘違いも可愛いから許してあげる。
彼がこのドリンクの正体をお店の人に尋ねると、スタッフの方も「待ってました」と言わんばかりに細かく説明してくれた。彼とは馬があったみたいで、話がどんどん広がって気づいたらめちゃくちゃ仲良くなっている。
わたしは、どちらかというと他人との距離を縮めるのに時間がかかるタイプ。だからこうやって、初対面の人ともすぐ打ち明けられて仲良くできるところ、実は尊敬している。
トリュフのソースをつけて食べる、フェタのフライや……
ラム肉のローストも、ホロホロでとにかく絶品。美味しさのあまりついつい食べ過ぎてしまって「苦しい……」とつぶやくわたしを見て、彼が「すぐ移動しないから、ゆっくり休んでいいよ」と言ってくれた。
わたしからお願いせずとも、気持ちを汲み取って優しく接してくれる彼。こういうさりげない優しさに、いつも助けられている。
・名称:Roxy Cinema
・住所:5 Park Rd, Miramar, Wellington 6022 ニュージーランド
・電話番号:+64 4-388 5555
・公式サイトURL:https://www.roxycinema.co.nz/
映画制作の裏側を覗きに
(食べ過ぎのわたしを気遣って)少し休憩した後は、「ウェタ・ケーブ」へ向かった。「ロード・オブ・ザ・リング」などを手がけたピーター・ジャクソン卿とリチャード・テイラー卿による造形・デジタル、特殊効果などを行う映画制作会社、ウェタによるワークショップ。
中にはウェタが関わった様々なキャラクターのモデルが飾られているほか、ギフトコーナーも充実している。
「ロード・オブ・ザ・リング」は確か中学生の時だったけど、映画の世界観に驚いたことは鮮明に覚えている。周りを見渡すと、見たことがあるキャラクターがそこらじゅうに。
当時のわたしは、長髪のオーランド・ブルームに夢中だったなぁ。わたしがオーランドに焦点を絞って写真を撮っている頃、彼は聞いたことも見たこともないようなキャラクターに夢中になっていた。
大人の男性が童心に帰っている姿に、不思議と惹かれてしまうのはなんでだろう。
そして、わたしたちは「ウェタ・ワークショップ・ツアー」に参加。残念ながら中の写真は撮れなかったけれど、見たことのある作品や知っている風景が「実はこう作られていた!」と裏側を覗いてしまった気がして、なんだか楽しい気分になった。
ゾンビのような手が飾られていて「触っていいですよ〜!」とガイドさんに勧められた時には、少しびびってしまったけれど。ムニムニとした感触が忘れられない。
隣にいる彼なんか、終始興奮しっぱなし。本来なら自分も見たいところがたくさんあるだろうに、わたしの方を見て「大丈夫?楽しめてる?」と気遣ってくれる。
うん、気づいてないかもしれないけど、わたしはあなたといるだけで楽しいんだよ。
・名称:The Weta Cave & Work Shop
・住所:1 Weka St | Miramar, Wellington 6022, New Zealand
・電話番号:+64 4-388 5555
・公式サイトURL:
https://www.wetaworkshop.com/visit-us/the-weta-cave/ (cave)
https://www.wetaworkshop.com/visit-us/workshop-tours/ (workshop)
締めは地元のビールで
この日、最後に彼と訪れたのはウエリントンを代表するクラフトビール工房「ガレージプロジェクト」。その名の通り、ガレージを改装した工房で外観はこんな感じになっている。まさかこの奥に、美味しいビールがあるなんて思わないよね。
お店のすぐ横で、美味しいビールが生まれている。ホップの香りが漂ってきて、乾いているわたしの喉は早くビールを流し込みたいって叫んでるみたい。
「ここには、面白い名前のビールがたくさんあるんだよ」そう言う彼が指差す先を見てみると、「HAPI DAZE」という文字を見つけた。
「ハピ……ハッピーだぜ……ってこと?」
「そう! オーナーのジョス・ルッフェルさんが日本好きで、ビールにも日本語を取り入れたりしているんだよ」と彼が教えてくれた。ほかにも「うまみモンスター」という名前のビールもあるらしい。
海外で暮らしていると、日本贔屓のモノがなぜか嬉しくなるものだ。
特別に「初恋」というビールを試飲させてもらった。う〜ん、初恋だからか軽い舌触りでさっぱり。美味しくてごくごく飲めちゃうなぁ。
そういえば、彼の初恋の話は聞いたことがないし、わたしも自身の過去の恋愛話を話したことがない。過去を変に探ったりしないからこそ、わたしたちはうまくいってるのかも。
・名称:Garage Project
・住所:68 Aro Street | Aro Valley, Wellington 6021, New Zealand
・電話番号:+64 4-384 3076
・公式サイトURL:https://garageproject.co.nz/
急な真剣な表情の彼。どうして?
工房の近くには、お店も構えている。この日は金曜日だったからか、夕方17時くらいでもこの大盛況ぶり!
背が小さいわたしがはぐれないように、彼が手を引っ張りながらカウンターまで連れてきてくれた。こういう時の彼の背中って、大きくて頼もしく見えたりする。
お酒を注文して、二人で乾杯。「今日は楽しかったね」と話を切り出し、少しほろ酔ったわたしは「もうちょっと一緒にいたいな」なんて、意地悪を言っちゃった。しまった、お酒が入った時に甘えてしまう悪い癖。もうやめようといつも思っているのに……
「なんてね! 冗談だよ」
そう言って笑って見せたのに、突然彼が真剣な顔をした。
「え……?」
彼がポケットから取り出したのは、1つの鍵。
「まだお互い学生だから、今すぐってわけにはいかないけど……将来を真剣に考えてるから。これからは同じ部屋に帰れたらいいなと思って。どうかな?」
ウエリントンで留学をはじめて1年。どうやら、自慢のニュージーランド人の彼と、同棲生活が始まる予感だ。
という、妄想が膨らんでしまうウエリントン
はい、13245465786520%妄想にお付き合いいただきありがとうございました!こんな素敵なイケメン彼氏と付き合って一緒に暮らしてみたい人生でした!
でも!わたしは今の彼氏が大好きです!以上!