こんにちは!スポーツ観戦中はどうしてもアツくなってしまうので、なるべく自宅で窓を閉めて応援する、ライターの桃(@XxPeach)です。あともう少しで東京オリンピックイヤーの2020年。出来るだけ多くのスポーツを知って人生で一番盛り上がる年にしたい…と思っていた私のところに、「とりあえず、ラグビーなんてどう?」という声が届きました。

「とにかくマッチョ多そう・ルール難しそう・日本って強いらしい」こんなイメージしか持っていない私が、ラグビーを知るべくニュージーランドへひとっ飛び。今回はラグビー観戦がしたくなる、本場ニュージーランドで学んだ12のことをご紹介します。

1. ニュージーランド人はルーツであるマオリ文化をとても大切にしている


ニュージーランドのラグビーといったら、試合前に士気を高め、相手の強さに敬意を払うための「ハカ」と選手たちの「タトゥー」に目がいきますが、これは両方ともルーツであるマオリ文化のものです。

 

ニュージーランドは、オセアニアにあるオーストラリア大陸のすぐ右に位置する小さな国で、地図で見ると北海道と本州の形にそっくり。国旗からイギリスの植民地であったことは有名ですが、実は植民地になったのは17世紀です。


一方先住民マオリがニュージーランドに到着し生活を始めたのが8世紀と言われているので、長い間先住民マオリによる文化が根付いていました。イギリスに植民地化されるときも、先住民マオリとしてのプライドを持ちイギリスに対抗。独立してから今までも、マオリ文化を守り続けて来ました。

 

一番びっくりしたのは、国際派が進み様々な人種がニュージーランドで生活している中で、今もニュージーランド議会には先住民マオリの民意を反映できるよう、マオリ選挙区を設定していること。

ちなみに選手たちの腕や脚、首の後ろにあるタトゥー(タ・モコ)は、マオリ文化古来のもの。刻まれたタ・モコには、祖先の系譜などの記録が描かれており、タ・モコを入れるには専用の彫り師のところで入れる必要があります。

政治でもスポーツでもニュージーランド人はマオリ文化を大切にしているのがわかります。

2. 昔から先住民マオリは超スマート


先住民マオリはニュージーランドに到着してから900年間ほど、自分たちの文化だけで生活して来ました。そもそも南太平洋のポリネシアから手作りの船でニュージーランドにやって来たと言われており、大陸同士が今より近づいていたことを考慮しても、なかなかの距離です。

どうにか渡れますように…!と願いを込めて作った船も博物館に展示されていますが、今見てもとても作り込まれていて頑丈。これ8世紀に手作りって、凄すぎ…。

さらに先住民マオリは文字を持たない文化だったそう。かなり長い間、口伝えやマオリタトゥーの「タ・モコ」などを使って伝統を守って来ました。


ニュージーランドのウェリントンにある国立博物館「テ・パパ博物館」では、大きなマオリ文化エリアを設けていて、ニュージーランドの歴史を学ぶことができます。

■詳細情報
・名称:ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ
・住所:55 Cable St, Te Aro, Wellington
・地図: ・アクセス:Courtenay PlaceまたはWillis Streetのバス停から徒歩すぐ
・営業時間:10:00〜18:00(クリスマスを除く)
・定休日:年中無休
・電話番号:04-381-7000
・料金:無料(寄付)
・公式サイトURL:https://www.tepapa.govt.nz/

3. マオリ文化にとって女性は超重要

マオリ文化には文字がないことをお伝えしましたが、その分話し言葉はとても大切にされています。街や集落で何か問題が起こった時は必ず会議を開きます。賛成・反対の多数決ではなく、賛成派・反対派が一方は納得できるまで自分たちの主張を続けるスピーチ対決。

昔の会議っていうと、男性ばかりで女性はそういう場にいることもできないイメージがあるかもしれませんが、マオリ文化は女性の出席は必須です。

スピーチは男性が行いますが、女性はそのスピーチが長かったり「あれ、論点ズレてない?」みたいな時に、歌を歌って中断させる超重要な役割を持っていたそう。


「ちょっと長くない?」って言葉で伝えるとムッとするかもしれませんが、いきなり歌を歌われると「歌われた〜やっぱりダメだったか〜」みたいなポジティブな終わり方が出来るので平和的すぎる…。

ラグビーって荒々しいイメージがあったけど、ニュージーランド人って平和主義者なのかも。ぜひこのシステムを、日本でもどこかの会議で取り入れませんか?

4. 年1回、1週間行われるマオリ語ウィークがある


実は、ニュージーランドに来てからじわじわ気になることがありました。なんだかよくわからない文字が英語とともに書かれている…。

そうです、これがマオリ語なんです。読み方はローマ字読みと一緒で、日本人が世界で一番発音が上手いんだそう(テ・パパ博物館マオリ文化エリアのガイドさんが嬉しそうに話してくれました)


「そもそもこの時代でもマオリ語話す人っているの?マオリ語理解できる人はどれくらいいるの?」という疑問は、マオリ語ウィークが解決してくれました。

このマオリ語ウィークには、普段英語のテレビ番組をはじめ、学校や職場でもマオリ語を積極的に使ったり、天気予報やレストランのメニューがマオリ語のみになります。こうやって母国語を、文化を守っているニュージーランド、素敵です。

5. ニュージーランド人男性の約6〜7割がラグビー経験者


「本場ニュージーランドでは、ラグビーってどれくらい人気があるの?」国技って言っても実はサッカーの方が人気があったりして。なんて腹黒く思っていましたが、実はニュージーランド男性のラグビー経験率は6〜7割。日本では「サッカーか野球やってた人」と同じくらいの割合。

早いと小学校低学年からラグビーに挑戦する子もいるそうですが、小学生高学年までは、タックルなしのラグビーを行う子どもが多く、ユニフォームに付いているリボンをとってタックルの代わりにしているそう。とっても可愛らしい…。


さらに元ラグビーのプロ選手で現在ニュージーランド在住の田村衛士さんにお話を聞いたところ、13〜14歳の時点ですでにラグビーの才能があるかどうか差が出始め、対応はVIPかつ期待の新人選手扱いになるんだそうです。

ちなみに20台後半が一番のピーク。たくさん食べて体を作らないといけないので、選手生命もそこまで長くありません…。

6. 9年連続1位!最強NZ代表「オールブラックス」になるのは超難関!


テレビやニュースでよく聞く「オールブラックス」。これは15人制ラグビーのニュージーランド代表選手の愛称です。ちなみに他の国の愛称は以下の通り。

・ニュージーランド(世界ランキング1位)・・オールブラックス
・日本(世界ランキング11位)・・ブレイブブロッサムズ
・オーストラリア(世界ランキング6位)・・ワラビーズ

 

ニュージーランド国内のあらゆるところで大きな看板を見かけ、ニュージーランドでラグビーをする子供の絶対的な憧れであるオールブラックス。2009年以降9年連続世界ランキング1位として君臨しています。試合の勝利確率も非常に高く、細かいプレーやチーム内のコミュニケーション能力の高さに、全世界が注目しています。

もちろん中には才能溢れる常連メンバーはいますが、オールブラックスになれるのは非常に狭き門。まずはクラブチームに所属し、その上の地区大会代表に選ばれ、さらにエリア代表選手に選ばれて優秀な成績を収め続けないと、代表選手にはなれません。

国際試合の度にオールブラックスの選手に選ばれるかどうかが決まるので、ずーっとオールブラックスでいるというのも非常に難しいそう。


「前回オールブラックスに選ばれて優秀な選手だったから、次の試合も呼ばれるだろう」という理由でオールブラックスの広告モデルを勤めた選手が、実は次の試合に選ばれず、撮影した広告が使いづらかったということもあるんだとか。

長い間オールブラックスの選手として活動するのは非常に名誉なことであり、とても大変なことなんですね…。厳しい世界だ。

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7. 英ハリー王子も観戦!大きなスタジアムは観客でいっぱいになる


日本ではやっと人気が出てきたラグビーですが、ニュージーランドの他にイギリスやオーストラリア、南アフリカなど、ラグビーが強い国を中心に世界中にたくさんのファンがいます。イギリス王室のハリー王子もその一人。実際にウェリントンにある新しいスポーツ・スタジアムでオールブラックス戦をVIP席で楽しんだそうです。

ウェリントンのウエストパック・スタジアムでは他にサッカーなどの試合や、エミネムをはじめとした世界的ミュージシャンのライブも行われます。

実際にフィールドを歩かせてもらったのですが、新しく張り替えたということで芝心地は抜群。意外と観客席が近く、すっからかんのスタジアムでも興奮しました。

8. 選手は試合前に行う伝統的な踊り「ハカ」の練習もしっかりしている

ニュージーランドの試合の前に必ず行われるマオリ文化伝統の踊り「ハカ」。もともとハカは同じ先住民マオリの中でも、エリアごとに似ているようで違うハカが踊られ続けてきました。ラグビーの試合では「これから試合をするぞ」という士気を高める役割を担っています。

オールブラックスのハカには以下の2種類があり、それぞれ試合によって使い分けているそう。2つとも似ているようで似ていないので、選手はラグビーの練習だけでなくハカもしっかり練習します。これ、バラバラだったらかっこ悪いですもんね(笑)

カマテ(Ka Mate)

昔からある伝統的なハカ。カマテは逃げ腰のハカとも言われています。誰もが知っている踊りなので、有名な対戦相手やニュージーランドを盛り上げ一体感を演出するために披露されることもあります。

カパオパンゴ(Kapa o Pango)

新しくオールブラックスのために作られたハカ。「絶対勝つぞ!」といった力強いメッセージが込められています。

 

試合前にはどちらかが必ず披露されるので、オールブラックスが試合をする際はチェックするのも楽しみ方の一つ。「ハカ」により会場が一体感に包まれ、オールブラックスファンも一生懸命応援する準備が整います。

9. ラグビーの強さの秘訣はオン・オフの切り替えができていること

「スポーツ選手はかなり練習する」という勝手なイメージがあるのは、きっと私だけではないはず。実は、ラグビー選手がチーム全体で練習するのは週に2〜3回程度(とても大切な試合を除く)、あとは基本的にオフなんだそう。

もちろんその中で自主トレをすることもありますが、しっかり休日を満喫する姿も、選手のInstagramで確認できます。

10. オールブラックスの選手の人気は、日本の一流芸能人レベル

オークランド国際空港にあるオールブラックスのグッズ売り場

オークランド国際空港にあるオールブラックスのグッズ売り場

小さい子供から大人まで、世代を超えて多くのファンを持つオールブラックス。ニュージーランドが小さいということもありますが、オールブラックスの国内人気は、日本でいう一流芸能人並み。

逆にテレビにや映画に出演している人は、意外とよく街のレストランで見かけることがあるそうですが、オールブラックスの選手は違います。一度街で見つかったら囲まれ、サインを求められたりセルフィー祭りが始まるそう…。ガタイもいいし、夏とかすぐ見つかりそうですね。

11. 本場でも南アフリカに勝利した日本チームには、一目置いている


今回、ウェリントンで現役ラグビー選手二人に「憧れの選手を教えてください!」「ラグビー日本代表とオールブラックスの試合について期待していることはありますか?」とインタビューをしてきました!

アンドリュー(25歳)


ポジション:フッカー(フォワード)
好きな選手:リッチ・マコー(オールブラックス伝説の選手)
日本対NZについて:とても興味深い試合だと思うよ。なんてったって日本は南アフリカに勝ってるからね。でもオールブラックスが勝つと思うなあ。

カルム(22歳)


ポジション:フランカー(フォワード)
好きな選手:コンラッド・スミス
日本対NZについて:オールブラックスが勝つと思う。今回若いフレッシュな選手を入れてくると聞いてるから、彼らが活躍してくれることを期待しているよ。

 

2015年に行われたラグビーワールドカップにおいて、ラグビーの強豪国である南アフリカに日本代表選手が見事勝利を収めたのは、とてもニュースになったのでご存知の方も多いはず。この勝利をきっかけに五郎丸選手やリーチ・マイケル選手らが一気に脚光を浴びることとなり、ラグビー人気が一気に高まりました。

当時優勝候補だった南アフリカに勝利したという事実は、日本だけでなく全世界に衝撃を与えたんだなあと、感じることができるインタビューで、なんだか嬉しかったです。もっと日本ラグビー、応援しよう!

12. NZ代表選手のユニフォームやジャージが激おしゃれ


オールブラックスはジャージもオールブラック。アディダスとのコラボもしているので、デザインがそれはそれはとても可愛い。可愛すぎる。ぜーんぶ可愛い。スポーツのユニフォームやジャージ、タオルってちょっと男性っぽいというか、コーディネートが難しい色が入ってたり、「この色、ここにいる?」みたいなカラフルすぎるものが多いんです。


でも見て欲しい。オールブラックスのグッズがこんなにも可愛い事実を、知って欲しい。


黒、黒、黒。白のワンポイントが入っていて、ジーンズにもチェックスカートにも、ショーパンにもなんでも合う合う。これ、女子には超大切な事項なんです。そしてマフラー激かわいいですね。

さあ、ラグビー観戦の準備はできた?


奪い合い、タックル、突進と、とにかく力強い攻撃と男らしさが光るラグビー。実は先日テレビでオールブラックスの試合を初めて観戦しました。真剣に観戦するのは初めてだったのですが、さすが世界1位、隙のないディフェンスと力強い突破力、俊足で相手を圧倒していました。

点数が入りそうになると「いけ!いけ!」と興奮してしまいます。一人で。

 

実は私が知ってるのはここまでお伝えした12のことに合わせ、「ボールは後ろにしかパスできない」「線を越えたゴールゾーン(地面)にボールをタッチする」「ボールを蹴って二本線の間を通ればゴール」ということのみ。でも、これだけでも十分楽しめるのがラグビーの魅力なんです。

ニュージーランド航空の機体

ニュージーランド航空の機体

思いがけずラグビーにハマってしまった私は、オールブラックスの試合を本場ニュージーランドで見ることを目標に、そしてその時はまたニュージーランド航空のスカイカウチに乗れるように、仕事頑張ります。

詳細は「ニュージーランド航空のスカイカウチが私たちの「不仲説」を吹っ飛ばしてくれた」をご覧ください


2019年には15人制ラグビーワールドカップが日本で開催されます。そして2020年には東京オリンピックで7人制ラグビーが待っています。

ちょっとまだまだ間に合う!可愛いグッズを買ってラグビーの観戦を、そして世界最強オールブラックスの試合で盛り上がりましょう!

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