【対談】西内ひろ×大島央照×リーマントラベラー東松/キューバが私たちを「解放」してくれた
昨年にアメリカとの国交が54年振りに正常化し、3月にはオバマ大統領も訪問した「キューバ」。先日には、アメリカからキューバへの定期便の就航も決定しました。
何かと話題に上がるキューバですが、日本から行くには約16時間。正直どんな国なのか、イメージがつきにくい国でもあります。
今回は東京・赤坂のキューバレストラン・アイナマトウキョウで、モデル・女優の西内ひろさん、プロカメラマンの大島央照(ちあき)さん、サラリーマン旅行ブロガーのリーマントラベラー東松さんという、昨年キューバを旅した3人に「キューバ」について伺ってきました。
旅のきっかけ
そもそも旅にハマったきっかけは何だったのでしょうか?
西内ひろさん(以下、西内さん):もともと一人旅をしている友達がいて、憧れていました。たまたま21歳の時に行けるきっかけがあったため、その友達のように一人旅しようと決意しました。見たことなかった景色とか文化とか、視野が広がっていくことが楽しくて、完全にハマりました。若いからこそ入ってくるんです。
21歳ってけっこう若いですよね。
西内さん:逆に21歳の時に入ったからこそ、若いから何でも吸収できたんだと思います。今行くっていうと、しんどいかな(笑) 若かったからこそ、衝撃的だったんじゃないかな。
東松さんはいかがですか?
リーマントラベラー東松さん(以下、東松さん):
僕サラリーマンなんですけど、海外旅行にハマる前までは、はっきり言って「社畜」だったんです。昔からバスケが大好きなんですけど、ある時NBAのプレーオフのチケットが偶然取れちゃって、初めて一人で海外旅行に行く事になりました。
だけど社畜だったからホテル取るのを忘れ、地球の歩き方を忘れ…その時になんとか現地で自力で対処したことで、結構自分の中で価値観が変わりましたね。海外旅行ってすごく簡単だって気がついたんです。そこから旅にハマって休みがあるとすぐに行っちゃいますね。ちなみに英語は今でも話せません(笑)
じゃあ、旅にハマったのは少し遅めなんですね。
東松さん:そうですね。社会人3年目だったので、24歳の時ですね。
©photographed by Chiaki Oshima
大島さんのきっかけは何ですか?
大島央照さん(以下、大島さん):旅って言えるかわからないんですが、20代前半にパリコレ目指してモデルとしてチャレンジした時期があって、ロンドンとパリに行ったことがきっかけです。どこへでもカメラを持って行ってたのですが、私の場合、旅=写真なんですね。
今目の前にあるものに対して何を感じるか、そういう衝動が面白くて。今日何に出会えるかわからない、新しい景色に出会えること、それを撮りたいっていうのが一番ですね。
新しい景色に出会えることが大きいんですね。
東松さん:小さい頃って、新しいことができるようになると楽しいじゃないですか。そんな感じですよね。
西内さん:そうですね。ご飯とか景色とか、新しいものを毎日見られることにワクワクします。
解放的なキューバの雰囲気が、私たちも解放させてくれた
キューバの「魅力」はどんなところに感じましたか?
東松さん:社会人は「夏休み」など時間が限られてますよね。だから旅行では、最高の非日常を味わいたいんですよ。それでいうと、キューバは最高の非日常でした。
タイムスリップしたみたいに、時間が止まってるんです。「古き良き」のような、懐かしさを感じましたね。
西内さん:本当「古き良き」雰囲気ですよね。車とかもエンジン音からしてドッドッドッって…クラクションとか音だけ聞いても昭和で、「ALWAYS3丁目の夕日」のような(笑)
コンビニとかもちゃんと商品が並べられてなくて、家の中に転がってるみたいで。日本の田舎に帰った感じがしました。
大島さんはキューバのどこに魅力を感じましたか?
大島さん:例えばおじいちゃんから受け継いだクラシックカーに今でも乗られていたり、昔からある物を大切にしたりするところ。それらがある種、便利で新しいものや流行に敏感な日本人には忘れがちな精神なので、大切な事を思い出させてくれて素敵だと思いましたね。
西内さん:ちあきさん、キューバでモテモテだったんです!(笑)
すごい!うらやましい!(笑)
大島さん:前見てよ!って感じでしたけど、タクシーに乗っている間も運転手さんに横を見てウィンクとかされました(笑)。音楽が流れると「イエーイ!」って皆ですごく盛り上がって、後ろ見たらひろちゃんがめちゃくちゃ踊ってたり。
キューバっていう国の雰囲気の中で、解放してるひろちゃんを見てるのが楽しかったです。
西内さん:キューバでは、自分を解放していく感じがありましたね。写真を撮っている時に、掃除のおばちゃんに「車に座ったほうがいいわ」とか「このポーズがいいわ」って勝手にディレクションされました(笑) 自由さとか、フレンドリーな雰囲気があって、解放されましたね。
東松さん:確かに、人と話した数が多いのもキューバ…というか、向こうからどんどん話しかけてるんです。家を少し覗いてたら、おばちゃんに「Come On!」って言われたりとか(笑) 向こうも解放的だから、こっちも解放的になりやすいのかと。
日本人女性はキューバに行ったら綺麗になれるかも
キューバの治安はどうでしたか?女性は危なくないですか?
大島さん:見えてるエリアは大丈夫でした。私は今しか見られないキューバを写真に残したかったので、行きたいところがあって。ただ「ここから先は絶対気をつけろ」って言われたところは、私も直感で「やばいな」って感じて行けませんでした。
でも後日、その場所にどうしても行きたくて、男性のスタッフの方と一緒に行きました。そのエリアに入ると、子ども達がわーって!ボールを蹴ったり、元気に遊んでいて。
東松さん:僕は完全に現地人スタイルだったので問題なかったですね(笑) 片言の英語で聞かれて、片言の英語で返していました。金目の物をつけていないのがバレバレだったんでしょうね、全く狙われませんでした。
西内さんはどう感じましたか?
西内さん:普通にナンパは多かったですけど、ちあきさんは本当にすごかった!モテモテで!キューバで結婚してきたら良いんじゃないかな(笑)
大島さん:ひろちゃんタイプが好きな人と、私タイプが好きな人、両方いたよね(笑)
西内さん:そう!(笑) イタリアでもそうだったけど「綺麗だよ」って毎日言われると、自信になりますね。すごく心地よかった(笑) 女性がキューバに行ったら、美しくなれるかも。
「生き方の選択肢」は一つではない
キューバに行ったことで何か変化したことはありますか?
©photographed by Chiaki Oshima
西内さん:普段はタバコを吸わないんですけど、キューバといえば「葉巻」なので経験してみようと思って。 最初はうまくできずに、おじさんとかに「ダッサ」って笑われました(笑)
行くまでは少しイメージが悪かったんですけど、現地に行って考えが変わりました。視野が広がりましたね。やっぱり現地で見ることで、物の見え方が変わります。
確かに、日本で葉巻吸おうなんて思わないですもんね。
西内さん:日本で葉巻吸ってたらイカついですよね(笑)
東松さんは、何か変わったことはありますか?
東松さん:僕はキューバで「生き方には選択肢がある」ってことを学びました。キューバって年収が24,000円くらいなんですが、それなのにキューバ人の方が日本人より精神的に豊かであるように感じたんです。困っていたら助けてくれたり、お酒をご馳走してくれたり。キューバ人みたいな生き方もあることを初めて知りました。
一方、日本では「こういう生き方をしなきゃいけない」って決まっているんですよね。新卒で会社に入り、年功序列を守って、終身雇用で長年働いて…。それ以外のいろんな生き方があることは、学校では教わりませんでした。そんな大きな気づきのきっかけをくれたのが、キューバでしたね。
なるほど。大島さんはいかがでしたか?
大島さん:私たちって競争社会の中で生き続けてるじゃないですか。芸能の世界とか、写真だけじゃなくモデルも役者も、頑張れば頑張るほど結果が付いてくるんですが、それがキューバと真逆なんですよね。
キューバは「広告」がないんです。結構落ち着かない人生を送ってきたんだなと気づかされました。「隣の人を大事にする」とか、人間の根本的な部分がキューバの人たちにあるんじゃないかなと思います。
ハリウッドの方などトップアーティストの方の写真を撮ることも多くありますが、13〜4年やってきて大事にしていること「人間ってイコールなんだ」「根本は同じ人間」っていうこと。それが、キューバは日常の中にあったんです。
お話を聞いただけで行きたくなってきました!(笑)
東松さん:ぜひぜひ!明日にでも(笑)
旅への一歩を踏み出せない若者へ
旅に出る勇気が出ない若者へ、メッセージをお願いします!
西内さん:勇気の一歩が視野を広げます。行かないのはもったいないと思う!一回行ってその楽しさを知ったら、絶対次も行きたくなるはず。一度きりの人生だから、色んなものを知って色んなものを見なきゃ、もったいないと思う。本当、人生半分捨ててるようなもの!21歳の時に行ってよかったと思います。
東松さん:僕はバスケがきっかけで旅に行ったんですけど、西内さんは何か目的があったんですか?
西内さん:初めての海外一人旅はラスベガスで、トップレベルのエンターテイメントを見たかったんです。シルクドゥソレイユなんかは、エンターテイメントの最高峰。21歳で頂点を見れたことで、目指す位置がガッと上がりましたね。
レベルが高いものを見たほうが、より高いものを目指せる気がします。そういう意味でも世界を見た方が刺激的だし、モチベーションが上がると思います。
東松さん:旅に出ることで、生き方の選択肢が広がると思います。無理矢理にでも、行く理由を作っちゃうのが良いのでは。僕だったら「バスケが見たい」西内さんだったら「ショーが見たい」とか。バスケの理由がなかったら、ただの社畜だったんで(笑) 行ったら絶対視野が広がるので、知らないのはもったいないですよね。
西内さん:いや、本当にもったいない!旅に出る前はワインも嫌いだったけど、イタリアで初めてワインの楽しみ方を知って。葉巻もそうだけど。覚えるものがたくさんあるんですよね。
やっぱり行かなきゃもったいないですかね?
大島さん:目的を持って行ったほうが良いと思います。自分が成長するのに最短で行けると思うんですよね。日本だと一年かかることが、一週間でできるようになるとか。「可愛い子は旅をしろ」って言いますよね。20代と30代では、足の重さが変わってるのに気づくんです。
現実的になってしまって、本能的に動けないんですよね。20代の若いときに行って、人生の引き出しをいっぱい作っておいてほしいです。社会に出た時に、絶対、120パーセント役に立つはず、宝物になります。
<編集後記>
西内さん、大島さん、東松さん、お忙しいなか取材にご協力いただきありがとうございました!キューバの魅力を目を輝かせて語る3人のお姿を見て、ますますキューバに行きたい気持ちが大きくなりました。
なかでも印象に残ったのが「キューバという地で自分を解放できた」ということ。決して裕福なわけではなく、最先端のものがまだ取り入れられていない国だからこそ、人間らしく、良い意味で貪欲であると感じました。
アメリカとの定期便の就航も決まり、これからますます変化していく国、キューバ。今の姿は、もしかしたら近い将来見られなくなってしまうかもしれません。(阿部サキソフォン)
キューバの魅力が詰まった本が7月末に発売予定!
#PASSPORTBOOK vol.1 IN CUBA
旅先でスタンプをおしていく様に、旅の思い出を写真と文書で綴るブック。vol.1は2015年にアメリカとの国交が回復したキューバ。
「60年代からとまったままのキューバを、目に焼き付けておきたい。」西内ひろと、「今のキューバと旅する西内ひろの写真を撮りたい。」大島央照が写真×旅本を作りました。皆様にとってこのブックが旅にいく、また何かのきっかけになれば幸いです。
本発売記念イベントも開催!
2016年8月4日(木) 19時受付 19時半〜トークイベント 会場:二子玉川 蔦屋家電西内 ひろ Nishiuchi Hiro.さん(@0214hiro)が投稿した写真 – 2016 7月 9 8:28午後 PDT
2016年8月6日(土) 19時受付 19時半〜トークイベント 会場:京都岡崎蔦屋書店
2016年8月9日(火)19時受付 19時半〜トークイベント 会場:TSUTAYA福岡天神店
西内ひろ
福岡県出身。テレビ、ドラマ、CM、バラエティ等でタレント、モデル、女優として活動。2014年ミス・ユニバース・ジャパンで準グランプリを取ったのをきっかけに、健康と美容、日本文化にも 興味を持つ。趣味は旅行、スキューバーダイビング。2年連続で東京マラソンを走り、4時間台で完走。 現在、洋服やバッグなど、ブランドをプロデュースしたり、クリエーターとしても活動中。 書籍「準グランプリ」は宝島社発売中。
▷西内ひろオフィシャルブログ「Traveling Life」
大島央照
▷大島央照 official ブログ
リーマントラベラー東松
岐阜県出身。本名・東松 寛文(とうまつ ひろふみ)。大学卒業後、2010年より大手広告代理店に勤務。激務の日々を過ごしながらも週末に世界中を旅行しているサラリーマンブロガー。ブロガーとして、SPA!で特集された実績も持つ。年間7回は海外旅行に行き、ブログやInstagramを中心に情報を発信。また、トラベルライターとしても活動し、旅行に関する取材や執筆活動も行なっている。趣味は筋トレと日焼け。
▷ブログ:リーマントラベラー 〜働きながら世界一周〜
▷Instagram:@ryman_traveler