ユニクロがスウェーデン五輪チームの公式パートナーに。サステナブル大国の取り組みとは
2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会まで、残り1年を切りました。少しずつ街中でも大会のポスターを見かける機会が多くなり、関心も高まってきています。
そんな中、日本が誇るブランド、ユニクロがスウェーデンオリンピック・パラリンピック選手団のメインパートナー兼オフィシャル・クロージング・パートナー契約を締結。2019年11月18日よりコレクションが選手に供給され、スウェーデンの店舗でも購入できるようになっています。
今回はスウェーデンのユニクロにうかがい、公式パートナーになった経緯やスウェーデンの店舗ならではの取り組みなどをお聞きしました。サステナブルの考え方が浸透しているスウェーデンならではの特徴も見えてきました。
2018年、スウェーデンに北欧1号店がオープン
スウェーデンのクングストラッドゴーダン店は2018年にオープンしました。建物は地下1階、地上3階の4階建て。オープン日には1000人もの行列ができたそうです。
店舗が入っているのは、機能主義建築の生みの親といわれる建築家スヴェン・マルケリウス氏が手がけた歴史ある建物。目の前には老舗の大型デパート、横は王立公園に面しており、人の行き来も多く立地のいい場所といえます。
店長のニコリーナ・ジョンストンさんによると、一番の売れ筋商品はニット、その次には襟がついたクリーンな印象のクラシックなアイテムが人気だそう。シンプルでディテールにこだわり、クオリティの高さを求めるユニクロの姿勢が、スウェーデン人の好みに合ったといえます。
ユニクロがスウェーデン五輪パートナーに決定
錦織圭さんや平野歩夢さんなど、数多くのアーティストを支えるユニクロが、この度スウェーデンオリンピック・パラリンピック選手団のメインパートナー兼オフィシャル・クロージング・パートナーになりました。
ピーター・レイネボ氏(スウェーデンオリンピック委員会 CEO)によると、パートナー選出にあたり「クオリティ」「イノベーション」「そしてサステナビリティ(持続可能性)」の3つの要素を重要視したとのこと。
ニコリーナさんはユニクロが選ばれた理由について、「サステナビリティ活動やクオリティの高さが評価されたのだと思います。また東京で開催されるオリンピック・パラリンピックでは厳しい暑さが予想されることから、日本の気候にも順応できる優れた機能性をもつ日本発アパレルブランドを選んだのではないでしょうか」と話しました。
青や黄色、グレーなどのカラーバリエーションがある中で、国旗にも使用されているスウェーデンカラーの黄色コレクションが人気とのこと。数ヶ月経ってから、コレクションを着用した選手よりフィードバックを受ける予定だといいます。
スウェーデンユニクロの取り組み
店舗をまわってみると、日本と異なる点が見られます。驚いたのは、まるでインテリアショップのようにソファが置いてある点。
お客さんから座れるスペースがほしいという声があがり、その声に答えて休憩スペースを作ったそうです。地元の家具ブランドとコラボして、相乗効果を期待しているのだとか。
地元企業と一緒に取り組むことが多いそうで、家具を置くだけでなく、装飾として花も飾られています。お花は実際に購入も可能です。
ニコリーナさんによると、ローカルのパートナーと⼀緒に取り組む理由は、スウェーデンの人々に支持されているローカルのパートナーと関係性を構築し、相乗効果でより認知度を高めてスウェーデンの人々に支持されるブランドになっていくため。
ストックホルムではユニクロの認知度はあるものの、全国的にはまだあまり知られていないそうです。そのため企業と関係性を作り、より認知度を高めようと取り組んでいるといいます。
「今回のオリンピック・パラリンピック選手団のメインパートナーに選出されたのは、一番良い例。知らない人に知ってもらえるいい機会ですし、レベルアップできると期待しています」と話しました。
ユニクロが掲げる「LifeWear」「サステナビリティ」
ユニクロのコンセプトを現しているのが、「LifeWear」という⾔葉。公式サイトによると、「あらゆる人の生活を、より豊かにするための服。美意識のある合理性を持ち、シンプルで上質。そして細部への工夫に満ちている。生活ニーズから考え抜かれ、進化し続ける普段着」と表現されています。
ヒートテックやブラトップ、ウルトラライトダウンなどは、まさにLifeWearの考え方が反映された商品。機能的であり、デザイン性にも優れた「生活を豊かにする服」を提供しています。
そしてユニクロは持続可能な発展を目指し、「服のチカラを、社会のチカラに。」をテーマにサステナビリティ活動を行っています。日本でもリサイクル活動を積極的に行ったり、プラスチック包装の削減を目指したりするなどの活動が知られていますが、ニコリーナさんが紹介してくれたのはスチームアイロンでした。
「水を大量に使う洗濯の代わりに、スチームアイロンの使用を推奨しています。スチームアイロンは洗濯による服へのダメージも少ないですし、色落ちの心配もなく、服自体を長く使うことができます」
ストックホルム発のスチームアイロンブランド「Steamery」とコラボし、店舗でイベントも開催。服を買い捨てするのではく、長く使うことを提唱しています。今の日本はどちらかというと安い服をシーズンごとに大量に買いすぐに捨てる傾向にありますが、それは徐々に変わっていくといいます。
「昔は日本にも物を長く使う歴史がありました。今は日本がスウェーデンの取り組みを逆輸入して戻ろうとしているのだと思います」と、ニコリーナさんは語ります。大量消費の考え方から、日本も変わらなければいけない時なのかもしれません。
ニコリーナさんの考えるユニクロの魅力
そんなニコリーナさんが考えるユニクロの魅力は、「LifeWear」のコンセプトそのもの。ユニクロは形・カラー・トレンドから服を作るのではなく、「なぜその服を着るのか」という疑問から服作りを行っている。そこに魅力を感じているといいます。
「普通、私たちは服を購入する時にブランドにとらわれがちですが、ユニクロのLifeWearの考え方は他ブランドと差別化されています。サステナブルな循環や、世の中を良くしていく活動など、これからの取り組みにさまざまな可能性を秘めていると思います」と語りました。
ユニクロが掲げるLifeWearのコンセプトやサステナビリティの考え方など、日本人が学ぶべき点が多いのではないでしょうか。日本が誇るファッションブランドは、北欧の地で新たな進化を遂げています。
・名称:UNIQLO Kungsträdgården
・住所:Hamngatan 27, Stockholm, Sweden
・地図: ・営業時間:月〜金曜 10:00〜20:00、土曜 10:00〜19:00、日曜 11:00〜19:00
・公式サイトURL:https://www.uniqlo.com/se/en/home/