みなさんは、1年間でどれくらいの食料が捨てられているかをご存知ですか?日本の食品廃棄量は年間2,759万トン、そのうち食品ロス(本来食べられるのに捨てられている食品)は643万トンにもなると言われています。

あまりに数字が大きすぎて正直ピンときませんが、日本人1人あたりの食品ロス量は1年で約51kg、つまり毎日1人1人がお茶碗1杯分のご飯を捨てている計算になるのだそうです。(参考資料:農林水産省

私もあなたも、会社の上司もご近所さんも、みんな毎日お茶碗1杯捨て続けたら……あっという間に日本中がご飯の海になってしまう……!想像するだけでも恐ろしいです。ご飯の海で溺れるのは嫌だけれど、そんなこと言ったってどうしたらいいの? 食品廃棄問題への対策が積極的に行われているスウェーデンの「食」をのぞいてみましょう。

 

食品をレスキューするという考え方

最初にご紹介するのはストックホルムの街中にある「Sop köket」。スウェーデン語で “ゴミのキッチン” という意味をもつ、なんとも大胆な名前のレストランです。こちらのお店のテーマは「食材のレスキュー」。

スーパーなどで廃棄に回されてしまう食材を無料で分けてもらい、その都度メニューを考案しているのだとか。提供される料理の少なくとも50%はレスキュー食材で、残りの足りない分を卸しなどから仕入れているそうです。

 

「元々インドで暮らしていたので、こんなにも食品が捨てられてしまうことに最初はとても驚きました。そこから、サステナブルという考え方に興味を持つようになりましたね」と話すのはオーナーのフィリップさん。

続けて、「見た目が悪くて売れないもの、賞味期限が近くて廃棄されてしまうようなものでも、まだまだ美味しく食べられるんです。お肉によっては賞味期限が切れる直前が一番美味しくなるものだってあるんですよ」と教えてくださいました。

この日はランチビュッフェ(99クローネ=約1,300円)をいただくことに。自分が食べられる量だけを取ることができるので、食べ残す心配もありません。レスキュー食材のお店だと知らずに利用されているお客様も少なくないそうで、廃棄される食品でもそれだけ美味しいお料理を提供できるということを、常に満席の店内が証明しているようでした。

「オープンして5年経ちますが、レスキューした食材は約18トンになります。お店で残ってしまったお料理はホームレスの人たちに提供しているので無駄がありません。今までに8500食ほど寄付できました」。

それでも、もっとたくさんの食材をレスキューしたいと少しもどかしそうにお話されていたのがとても印象的でした。

■詳細情報
・名称:Sop köket
・住所:Medborgarplatsen 3, 118 26 Stockholm, Sweden
・地図: ・公式サイトURL:https://sopkoket.se/

 

自家菜園で循環させる仕組み

次にご紹介するのは、ヤーナ地方にある野菜中心のオーガニックレストラン「Restaurang Varma Skillebyholm」。ストックホルムから車で1時間弱の場所に位置するヤーナは、スウェーデンの中でもエコやサステナブルへの関心が高い人たちが多く暮らしている地域です。

オーナー兼料理長のシモンさんも、かつてはストックホルムのお店でシェフをしていたそうですが、ヤーナで出会った有機栽培の野菜に惚れ込んで移り住んできたそう。

「レストランの料理には自分たちのガーデンで作った野菜を使うようにしています。ストックホルムにあるミシュランのレストランにも卸すほどうちの野菜は美味しいんですよ」と、シモンさんは誇らしげに話します。

 

自家菜園を持っていることで、野菜の皮や使えない部分も肥料として活用できるのでゴミが出ることはほとんどありません。また、なるべく自分たちの暮らす地域で完結させることで、食料の運搬にかかるエネルギー削減などにも繋がっていきます。

今目の前に見えることだけではなく、その先を想像する一人一人の力。それがスウェーデンのサステナブルなライフスタイルを支えているのかもしれません。

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一緒に働く仲間たちにも優しい環境を

シモンさんのサステナブルな取り組みは食に関するものだけでは終わりません。レストランで一緒に働いている仲間は、自閉症やADHDなどの病気を抱えている人たち。

「彼らはストレスに強かったり、色々なことを同時に進行できたり、1つ1つの作業が丁寧だったり、それぞれに強みがあります。普通の業界では難しかったとしても、私にとっては彼らと働くことはメリットでしかありません」。そう語るシモンさん自身も、自閉症+ADHDを抱えながらシェフとして成功した一人。

 

社会の中では“問題がある”とひと括りにされてしまいがちな人たちも、シモンさんのレストランでは可能性に溢れている。こうした取り組みが決して特別なことではなく当たり前の世界になってほしい、そう願わずにはいられません。

■詳細情報
・名称:Restaurang Varma Skillebyholm
・住所:SKILLEBYHOLM 6, 153 91 Järna, Sweden
・地図: ・公式サイトURL:https://www.skillebyholm.com/konferens-mat/restaurang-varma-38689634

 

ちょっとした工夫で廃棄されるものを減らす

続いては少し変わったお店、ストックホルムの写真美術館内にある「Fotografiska Bistro」をご紹介します。こちらの写真美術館は、およそ100年前に建てられた工場をリノベーションしたもので、最上階にはガラス張りのお洒落なレストランがあります。

たくさんのアート作品が飾られている贅沢な空間に、注文する前からうっとり……。美術館ではなくレストラン目的で訪れるお客様もいるくらいとても人気の高いお店です。

All photo by hoshi maaya

オーナーを務めるのは、サステナブルや食品廃棄に力を入れていることでも有名なPaul Svenssonさん。レバーかと思って食べていたらスナックビーンズのパテだったり、様々なハーブの“茎”をピューレにしていたり、添えられているのが豆のマヨネーズだったり……提供されるお料理は食べたことのないような斬新なものばかり!

一品ごとに「これはなんですか?」と聞くのが楽しくなってしまいます。

 

テーブルの上をよく見てみるとここにもサステナブルのアイディアが……!廃棄される食品をレスキューすることは中々自分ごとに置き換えられなくても、少しでも食品廃棄やゴミを減らす工夫をしてみる、これなら私たちの毎日にもすぐに取り入れられそうです。

■詳細情報
・名称:Fotografiska Bistro
・住所:Stadsgårdshamnen 22, 116 45 Stockholm, Sweden
・地図: ・公式サイトURL:https://www.fotografiska.com/sto

 

無理をせずにサステナブルな生活を

レストランを通して、スウェーデンのサステナブルなライフスタイルに多く触れることができました。スウェーデンの人たちからは「持続可能な社会にするためにどうしたらいいか」という問いと自然に共生しているような心地よさが感じられます。

エコやサステナブルは、頑張るものではなく自分自身が楽しむもの。この考え方に私たちが目指すべきヒントがあるように思います。

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