ロシアに仏教国がある? 知られざる「ブリヤート共和国」に行ってみた
突然ですが、「ロシア」と聞いてどのようなイメージを持たれますか?おそらく、アジア諸国のような仏像を思い浮かべる旅人は少ないと思います。
実はロシアには仏教メインの共和国があるのです!今回は知られざるロシア連邦の一面を皆様に紹介します。
そもそも、ロシア連邦ブリヤート共和国とは?
Photo by Nitta Hiroshi
この記事では、ロシア連邦ブリヤート共和国を紹介します。ブリヤート共和国の説明をする前に、簡単にロシア連邦における「共和国」の解説をしましょう。
ロシア連邦にはウクライナと係争中のクリミア共和国を含め、22の共和国があります。共和国にはロシア人以外の民族が住んでいます。たとえば、ブリヤート共和国にはブリヤート人、カレリア共和国にはカレリア人が住んでいるわけですね。
もちろん、ロシア人やその他の民族も住んでいますよ。
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それぞれの共和国には独自の国旗や国歌、憲法を持つことが許されています。また、ロシア語に加え民族語も公用語にすることもOK。ただし、ロシア連邦から離れて独立することは許されていません。それぞれの共和国のトップは「首長」と呼ばれています。
「共和国」と言ってもロシア連邦にあるわけですから、パスポートチェックはありません。それでも、ロシア国旗の隣に共和国の国旗があるので、別の国に入国したような感覚になります。
さて、ブリヤート共和国はバイカル湖に隣接し、首都はウラン・ウデです。国内には主にモンゴル系のブリヤート人とロシア人が住んでいます。したがって、ブリヤート文化のベースはモンゴル文化と考えていいでしょう。
また、ブリヤート人は日本人と顔がそっくりです。
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なお、ウラン・ウデへは飛行機だけでなくシベリア鉄道でも行けます。残念ながら日本からウラン・ウデへの直行便はありませんが、ソウルや北京経由でアクセスできます。
私は極東のウラジオストクからシベリア鉄道を使ってウラン・ウデに行きました。ウラジオストクからウラン・ウデまでは2泊3日の道のりです。時間がある旅人は、ブリヤート観光とプラスしてシベリア鉄道にもチャレンジしてはいかがしょうか。
ブリヤート共和国に着いたらダツァンを訪れよう
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ブリヤート共和国観光の目玉はダツァンです。ブリヤート人は、18世紀頃からチベット仏教を信仰してきました。そのためブリヤート共和国にはチベット仏教寺院、ダツァンが存在します。
まずは、ロシアで最も規模の大きいダツァン、イヴォルギンスキー・ダツァンを紹介しましょう。
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イヴォルギンスキー・ダツァンへはウラン・ウデ市内のスモーリナ通りから、ミニバス(マルシュルートカ)13系統に乗ります。なお、ミニバスに乗車するときはバス停で右腕を平行に挙げ、運転手に止まってくれアピールをします。
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13系統ミニバスを終点まで乗り、イヴォルギンスキー・ダツァン行きのミニバスに乗り換えましょう。ダツァン行きのバスは30分間隔で来るので、それほど時間を気にする必要はありません。ウラン・ウデから1時間ほどでアクセスできます。
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門を入ったら右に曲がり、時計周りに歩いていきます。なお、参拝は無料なのでご安心を。
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境内を歩いていくと、マニ車が現れます。マニ車を回すとお経を読んだことになるとか。私も何回かクルクル回してみました。マニ車はチベット仏教徒にとって大切なものなので、乱暴に回すのはやめましょう。
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マニ車は大きなものから小さなものまで、いろいろなサイズがあります。境内にあったマニ車の多くはこのように角張っていました。
中国チベット自治区を訪れた旅人によると、中国ではこのようなマニ車は見なかったという証言も得ました。マニ車にもいろいろな種類があるようですね。
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こちらが、イヴォルギンスキー・ダッツァンの本堂です。日本の寺院とは異なりものすごく華やかです。残念ながら寺院内は写真撮影は禁止されています。多くのブリヤート人が仏像に向かって、熱心に祈りを捧げていました。
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ところで、ブリヤート共和国でお土産を購入するときは境内にあるお土産屋を利用しましょう。ここには中国製のマニ車やモンゴル製のスカーフなどがありました。
価格は定められていますが、値切ることもできます。ただし、店員は英語が話せないので、ボディーランゲージもしくはロシア語で頑張ってくださいね。
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もうひとつのダツァンはウラン・ウデ郊外にあります。こちらのダツァンへはソヴィエト広場・スへ=バトラ通りからミニバス97系統に乗ります。そのまま終点まで乗車するだけでOK。ソヴィエト通りから約20分です。
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こちらのダッツァンはお金を払えば、寺院内の撮影ができます。この写真で注目して欲しいのは仏像の横にあるダライ・ラマ14世の写真!
人々は仏像だけでなくダライ・ラマ14世の写真の前でも礼をしていました。実際に、ご本人も何回かウラン・ウデを訪れています。
ブリヤート共和国が餃子の発祥地?知られざるブリヤート料理
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次はブリヤート料理を紹介します。ブリヤート料理の代表選手がモンゴル風肉まん、ブーズです。ブーズの底には肉汁スープがたっぷりと詰まっています。
ブリヤート人やロシア人はてっぺんをつかみ、底から肉汁スープを器用に吸うようにして飲みます。それから、ブーズ本体を食べていました。私もチェレンジしてみましたが、うまくいきませんでした。
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主にブーズには牛肉が使われていました。モンゴル料理と聞くとラム肉をイメージしますが、ブリヤート料理ではラム肉はあまり使われていないように感じました。同じモンゴル系でも料理文化は異なります。もしかすると、ロシアの影響があるかもしれませんね。
また餃子の発祥地のひとつとして、ブリヤート共和国が挙げられています。私は料理の専門家ではありませんが、ブーズを食べた瞬間に「ここが餃子の発祥地だ!」と思いました。
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こちらはシューメンと言われる麺料理。麺の太さはラーメンとうどんの中間で、あっさりとしたスープになっています。シューメンとブーズを食べればお腹いっぱいですよ。
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ビールはモンゴルビール「チンギス・ハーン」や中国のハルビンビールがありました。ブリヤート共和国の地ビールも探してみましたが、見つかりませんでした。
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ところで、「ブリヤート料理は試したいけどウラン・ウデへは行けない!」という人は極東のウラジオストクに行ってみましょう。ウラジオストクにもおいしいブリヤート料理店があります。
ブリヤート共和国旅行のアドバイス
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私は2018年11月に訪れましたが、そのときの情報を基にしてアドバイスします。まず、ブリヤート共和国では英語が通じません。ロシア語は100%通じます。
モンゴル語は確かめていませんが、ブリヤート人には通じると思います。
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そして、ソヴィエト広場にあるレーニンの頭像をバカにしてはいけません!この頭像は道祖神のような役割を果たします。先ほど紹介したミニバスでは、基本的に車内放送がありません。あったとしてもロシア語オンリーです。
そのため、ダツァンからウラン・ウデ中心地に帰る際に、レーニンの頭像が役立つわけです。とりあえず、レーニンの頭像が見えたら「アスタノーフケ!」と叫びましょう。すると、バスはソヴィエト広場のバス停に止まります。
ブリヤート人、ロシア人は基本的に寡黙ですが、旅人にはとてもやさしく接してくれます。わからないことがあれば、ボディーランゲージを通じて伝えたら、何とかなると思います。
ぜひ、ウラン・ウデを訪れて知られざるロシアに触れてみましょう!