「あべちゃん、今度ポルトガルに行かない?かわいい街並みやおいしいワインがあるよ!」そう友人からのお誘いを受けた、私・阿部サキソフォン。一度訪れたことがあるポルトガルですが、観光したのはリスボンのみ(滞在は1日)だったので、光の速さで「行きたいっす」とお返事をしました。

今回訪れたのは首都のリスボンに加え、ポルト・オビドス・コインブラ・ナザレ・エヴォラといった地方都市。金平糖とポートワインくらいしか知識がなかったわたしも、旅をするうちに少しずつポルトガルがどんな国なのか見えてきました。

これを知っていれば、より旅を楽しめる!ポルトガル観光をする上で大切な「キーワード」を集めたので、ぜひ参考にしてください!

栄華を極めた「大航海時代」


ピチピチの高校生だったあの頃、世界史で「大航海時代」について学んだのを覚えていますか?ヴァスコ=ダ=ガマやマゼラン、コロンブスらが世界を旅して新たな大陸を発見していった時代です。そもそも、なんで大陸探しが始まったんだっけ……というあなたのために、さくっと歴史を振り返ってみましょう。

紀元前にはローマ人が半島を占領。その後イスラム圏のムーア人が侵入し、たった4年で支配されてしまいます(このときに造船技術を学んだことが、大航海時代にもつながります)。8世紀から国土回復運動(レコンキスタ)が発生し、1139年にはポルトガル国王が誕生しました。


レコンキスタが完了すると、領土拡大を目指してアジア・アフリカへ船を出したのです。その先陣を切ったのがエンリケ航海王子。いっちょまえに航海王子というかっこいい名前がついていますが、本人は船酔いがひどく航海に出たことはなかったそう。

バルトロメウ=ディアスは喜望峰に到達し、その後ヴァスコ=ダ=ガマはインドに到達。その偉業をたたえて、今はリスボンの観光スポットになっているジェロニモス修道院やベレンの塔が建てられました。香辛料などの貿易で成功し、ポルトガルは栄光の時代を迎えます。

大航海時代に関わる多くの偉人の姿を、テージョ川のそばにある「発見のモニュメント」で確認できます。西側と東側、それぞれ異なる人が描かれています。クラスの男子が肖像画に落書きしていたであろう、日本でおなじみのザビエルさんもいました。

足元の世界地図には、ポルトガルが各国を発見した年が記されています。歴史の知識が少しあるだけで、観光スポットを訪れたときの感動が変わってきませんか?

ポルトガルのお菓子といえば「エッグタルト」

ポルトガルにきたら絶対に食べてほしいお菓子が、パステル・デ・ナタ!日本語では「エッグタルト」と訳されます。サクサクのパイ、そして中には卵の黄身を使った甘〜いクリームがたっぷりと入っています。

ポルトガルのお菓子を代表するエッグタルトは、「修道院菓子」のひとつ。かつて修道院では、卵白を服の糊づけに使用しており卵黄だけが大量に残っていたといいます。使い道に困っていた卵黄をお菓子づくりに利用したことから、修道院菓子が生まれました。

一番有名なエッグタルトのお店は、ジェロニモス修道院近くにある「PASTÉIS DE BELÉM」。1837年創業の老舗で、連日多くの観光客が訪れます。お店の入り口にいつも人だかりができているので混雑しているように見えますが、奥に席がたくさんあるのでほとんど待たずに入店できます。

そのままでもおいしいエッグタルトですが、さらにシナモンをかけて食べるのがポルトガル人の通な食べ方なんだとか。

現地に住む方によると、パステル・デ・ベレンと同じくらい人気のお店があるのが、ここ「MANTEIGARIA」です!ポルトの店舗にお邪魔してみると、朝ごはんに買いに来る地元民がたくさん。

カウンターでエスプレッソと一緒にいただくのが地元流らしいので、真似してみました。んんん、こっちも負けず劣らずおいしい!濃厚すぎない自然な甘さで、ぺろりと食べられちゃいます。ポルトガルには数多くのエッグタルト屋さんがあるので、ぜひ食べ比べしてみてくださいね!

ポルトガルの国民食「バカリャウ」

次にご紹介するキーワードは、初耳の人も多いはず。「バカリャウとはなんぞや」って感じですよね。事前準備を何もしないでポルトガルに行った私も、全く同じ状態でした。レストランでやたらと聞く「バカリャウ」という言葉。実はこれも、ポルトガルに欠かせないものの一つなんです。

気になるバカリャウとは、干し鱈(たら)のこと。塩で漬け込んだあとに乾燥させ、調理するときには水に漬けて戻して使います。コロッケに入れて揚げたりスープに入れて煮込んだり、使われる料理はさまざま。

ポルトガル滞在中は、きっといろんな場所で国民食を見かけることになると思います。そうそう、バカリャウには白じゃなくて赤ワインを合わせるんだって。

お店ではカッピカピに乾燥した大きなバカリャウが、山積みになって売られています。日本まで持ち帰れないことはないですが、スーツケースの中ですごい匂いを発するかも……。

日本でもバカリャウを味わいたいという人は真空パックになったものか、缶詰を購入するのがおすすめです。

ポルトガルのお土産として人気の缶詰は、どれもデザインがかわいいものばかり!約2ユーロ〜とお手頃価格なので、あれもこれもとたくさん買い込んでしまいそう。あーーーもっと買えばよかったなあ……なんて、今更後悔しているわたし。

「ワイン」はEUで摂取量1位!

ポルトガル人はとにかくワインが大好き。一人当たりの摂取量はEU加盟国のなかで1位、世界で4位というデータもあり、食事の席には必ずと言っていいほどワインが登場します。仕事終わりの夜に、ワインをたしなむ?いやいや、夜までなんて待てません。レストランでは、昼間からワイン片手に食事を楽しむ方の姿を見かけます。

こちらの「緑のワイン」といわれるヴィーニョ・ヴェルデは、ミーニョ地方で作られている微発泡のワイン(見た目が緑ってわけではないのです)。6〜7月に収穫する早熟なぶどうを使っていて、爽やかな味は暑い夏にぴったりです。アルコール度数もそこまで高くないので、お酒に強くない人でも楽しめます。

そしてポルトガルのワインといえば、「ポートワイン」は外せません。発酵の途中でブランデーを加えて糖分がアルコールに変換するのをストップさせ、ぶどうの甘さを残したワイン。

日本でもポートワインを模したスイートワインが売られているのでご存知の方も多いと思いますが、まったくの別物!本物のポートはエレガントな甘さで、高貴なワイン、特別な日のワインとして愛されています。特に甘いワインを好むイギリスへ向けて、多くのポートワインが出荷されているそうです。

今回はポルトのワイナリーの中でも、唯一創業者からずっと家族経営を続けている「Taylor’s Port」を訪れました。併設するレストランは、ポルトでもっとも予約をとるのが難しいレストランのひとつ。ポートワインに合わせたコース料理をいただけます。

白のポートワインをトニックウォーターで割ったカクテルがとってもさっぱりとしていて、驚きのおいしさでした!予約をすれば、ワイナリーの中を見学することもできますよ。

ちなみに、スーパーではワイン1本3〜5ユーロという衝撃の価格で購入可能!安くておいしいワインがずらりと並んでいます。

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ポルトガルの「」をめぐる

ポルトガルには、前述したリスボンのジェロニモス修道院やベレンの塔、ポルトの歴史地区を含む、17件の世界遺産が登録されています(2019年現在)。1209年に設立されたコインブラ大学も世界遺産のうちのひとつ。

今でももちろん大学として機能しているので、構内では学生をたくさん見かけます。自分の通う大学が世界遺産って、どういう感覚なんだろう……。大学内に観光客がいるなんて、不思議な光景ですよね。


特に有名なのが、「知識のない国はやがて滅びる」といった考えのもと、ジョアン5世が建設させたジョアニア図書館。なんとここには、紙を食べる恐れがある虫を食べてくれるコウモリが住んでいるのだとか。

アレンテージョ地方のエヴォラ歴史地区は、1986年に登録されました。広場には2〜3世紀にローマ人によって建設されたディアナ神殿を見ることができます。

ほかにも美しいエヴォラ大聖堂など見所が多いエリアですが、実はこのエヴォラは日本の歴史とも関係していました。

日本からポルトガルに派遣された天正遣欧少年使節が1584年にエヴォラの地を訪れ、大聖堂のパイプオルガンを演奏した記録が残っているのです。かつて当時13〜14歳の少年4人がこんな遠いところまで2年以上かけて渡ってきたと考えると、なんだか胸にくるものがありました。

そして一番最近に登録されたのが、2019年登録の「マフラ国立宮殿」。リスボンから車で約40分ほどで行ける場所にあり、こちらを訪れるのはポルトガル人が多いそうです。まだあまり外国人に注目されていないスポットですが、とにかく宮殿の中が広く見ごたえバッチリ。

パステルカラーのピンクと青がかわいい廊下や白で統一された図書館など、写真を撮りたくなるエリアも盛りだくさんです。

歴史を語る「アズレージョ」

アズレージョとは絵タイルのこと。アラブ文化の影響を受けていたスペインから伝わり、15世紀頃からポルトガルでも焼かれるようになりました。ポルトガルの街を歩くと、あちこちで幾何学模様のアズレージョを見ることができます。

教会やお城はもちろん、お店や住宅にもかわいいアズレージョがたくさん。

世界で一番美しい駅といわれるポルトの「サン・ベント駅」にも、壁一面にアズレージョが飾られています。約2万枚のタイルを使って、ポルトガルの歴史が描かれているそう。観光客も多く訪れるスポットなので、人が少ない朝早い時間に行くのがおすすめです。

またポルトの散策の途中には、ひときわ目立つ建物を発見。18世紀に建てられた「アルマス聖堂」には美しい青のアズレージョが飾られており、ここでも聖書の一部などの物語が描かれています。

タイルに歴史を描き、後世に語り継ぐなんておしゃれ。それがまた街になじんでいるのが素敵ですよね。

要塞都市トマールにある世界遺産「キリスト教修道院」でも、美しいアズレージョが見られます。こちらは12世紀にテンプル騎士団によって建設され、彼らの本拠地として繁栄していました。

▲案内してくれた、笑顔が素敵なガイドさん。右下はエンリケ航海王子の住居跡。

テンプル騎士団は戦うだけでなく、のちに政治家や銀行のようにお金をうまく使い権力を持ったことから敵対視され、13世紀に解散することに。その後もキリスト騎士団と名前を変え、活動を続けていました。あのエンリケ航海王子が住んでいた跡地も見ることができます。

そんなアズレージョは、現代ではお土産としても人気を集めています。購入することはもちろん、アトリエで絵付け体験も可能です。飾りとしてだけではなく、湿気を吸う役割もあったとのこと。

ちなみにポルトでは、日本の花「椿」(ジャポネーラ)のモチーフをよく見かけます。16世紀に日本に渡ってポルトガル人が、自国に持ち帰ったとされています。

郷愁を意味する「サウダージ」

日本語に翻訳しようと思ったときに、それにうまく当てはまる言葉がない。日本語で現せないポルトガル特有の表現、それが「サウダージ」です。昔のことを懐かしんで、胸が痛む。過去に想いを馳せてなんとも言えない気持ちになったり、遠く離れた故郷のあたたかさを思い出したり……そんな心情を意味します。

偉そうに説明しておきながら、まあわたしもポルトガルに行くまでは「ポルノグラフィティの曲」くらいにしか思っていなかったんですけど……。「郷愁」と表現されることもありますが、その微妙なニュアンスを一言でいうのは難しいですよね。


わたしは今回のポルトガル旅の途中で、そして帰国してからこの「サウダージ」を感じた気がします。旅の途中では何度も日本を感じる場面があり、何百年も昔にポルトガルと日本がつながっていたことに感動しました。教科書でしか知らなかった出来事が、とてもリアルに感じられたのです。

個人的に一番サウダージを感じたのは、セントル地方の港町ナザレを訪れたとき。サーファーの聖地として知られるスポットですが、わたしが目を奪われたのは海沿いで干物を売っている光景です。

日本でなじみの深い干物がポルトガルにもあるなんて驚いたと同時に、売り場に近づいたときに感じた匂いに衝撃を受けました。

ふと思い出したのは、海沿いに建てられていた亡き祖父の浜小屋。潮の香りが染み込み、魚臭さも感じるその匂いが故郷と全く同じだったため、懐かしい光景が一瞬で蘇ったのです。

日本から遠く離れたポルトガルで幼い頃の記憶を思い出すなんて、思いもしませんでした。懐かしくもあり、少しセンチメンタルに思ったその瞬間は、まさに「サウダージ」だったのだと思います。

日本からポルトガルへのアクセスが便利に!

歴史あり、おいしいグルメあり、日本とのつながりもあるポルトガル。少し興味がわいてきませんか?日本から直行便が出ていないためヨーロッパ主要都市での乗り継ぎが必須でしたが、この秋からポルトガルへのアクセスが便利になりました!

10月28日にアシアナ航空から仁川ーリスボンまでの便が就航し、アジアでの乗り継ぎが可能に。慣れないヨーロッパで乗り継ぎするよりも、格段に日本人にとって易しくなりました。

通常の座席より足元が7〜10cm広い「エコノミースマーティウム座席」なら、足を伸ばすことができて長時間フライトでも楽ちん。有料で機内Wi-Fiが使えるのもうれしいですね。



今回は有名な観光エリアだけでなく地方都市もたくさんまわる旅だったので、現地ではグローバルWi-Fiを利用していました!移動時間に調べ物をしたり、撮った写真をすぐにSNSにアップできたりするのでとっても便利ですよ。

日本からのアクセスがぐんと便利になったポルトガル。ほかのヨーロッパの国とは全く違う文化・風景を楽しめます。かつて世界を制していたポルトガルの今の姿を、見に行ってみませんか?

All photos by Abe saxophone

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