みなさん、ベンのトピックスにおかえりなさい。

僕はカール・オーヴェ・クナウスゴールというノルウェーの作家が好きです。彼の自伝的小説『わが闘争』シリーズは世界的に人気があります。とくにイギリスでは、ガーディアン紙が「21世紀の文学的マスターピース」と絶賛するほどです。日本でも出版されているので読んだことがあるかもしれない。とにかく僕は彼の新作を心待ちにしていました。

ところが、先月クナウスゴールの新しい本がニュースになりました。彼の次回作の小説の出版は2114年になるそうです。2114年です。間違いじゃありません。95年後です。22世紀のマスターピースです(笑)。

95年後に出版される理由

なぜ出版が95年後なのか?

その理由はスコットランドのアーティスト、ケイティ・パターソンの「The (未来の図書館)」というプロジェクトによります。

2014年にはじまったこのプロジェクトでは、オスロ郊外にあるNordmarkaという森に1000本の木を植えるところからスタートしています。2014年〜2114年の100年の間に、毎年一人の作家が1冊の本を書き、2114年になったら育った木を材料にした紙で本を作ろうというのです。つまりこのプロジェクトは100年かけて、本を木を育てるところからはじめようというのです。

クナウスゴールだけでなく、『侍女の物語』のマーガレット・アトウッド、『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルもこのプロジェクトに参加しています。

まあ、アートプロジェクトですね。エコでもあります。未来の世代に現代の文学を贈るというのはとてもいいアイデアだと思います。かっこいいビジョンです。

作家のファンとして

だけど、僕はセルフィッシュすぎると感じました。僕はただ好きな作家の本を読みたいんですよ。95年も待てない。2114年に僕は122歳になっています。これまでのライフスタイルチョイスを考えても、122歳まで僕が生きられる可能性はかなり低い。もしも生きていたとしても、122歳の僕がクナウスゴールの超エキサイティングな本を読んだら、死んでまうわ!

クナウスゴールの次回作が本当にエキサイティングかどうかもわからない。僕は彼のファンなので、絶対素晴らしいと信じているけれど、実際はわからない。だから、僕はクオリティチェッカーとしてボランティアしたいと思います(笑)。

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