日本人がまだ知らないアドリア海の秘宝、世界一美しい湾「コトル湾」
バルカン半島に位置する小さな小さな国、モンテネグロ。「アドリア海の秘宝」と呼ばれるこの国には、小さくも美しい町がたくさん点在します。
今回お伝えするのはモンテネグロを代表する世界遺産のコトル湾。アドリア海から続くコトル湾の奥深くにひっそりと佇む町、コトルは中世の面影を色濃く残しており、その自然と歴史の豊かさから世界遺産にも指定されています。
世界一美しい湾
町の起源は古代ギリシア時代まで遡ると言われており、15世紀以降はヴェネチアの支配下で軍事都市として発展しました。
前方を海、背後を険しい山々に守られたコトル。天然の要塞に囲まれた堅固な城塞都市は、敵に破壊されることなく中世のままの姿を現在に伝えています。大自然と歴史、様々な文化が融合した美しいコトルは「世界一美しい湾」とも称されるほど。複雑な入り江に隠されたこの町は、まさに秘境と呼ぶにふさわしい存在です。
中世の薫りが色濃く漂う町
城壁に囲まれた旧市街には細い路地が入り組み、古い教会がいくつも残されてます。歴史的、地理的背景から、カトリックと正教の文化圏の十字路であったこの町には、数多くの双方の教会が共存してきました。
まるで中世で時が止まったような街並み。情緒溢れる石畳の路地を歩いていると、しばし時を忘れてしまいそうになります。
旧市街とコトル湾を一望! 町一番の絶景スポット
コトルを訪れたらぜひ訪れたい絶景スポット。それは、旧市街とコトル湾を一望できる町の背後の山頂です。ぐるっと町を囲う城壁は、驚くことに背後の山の後ろまでずっと続いており、山頂にある聖イヴァン要塞までは歩道が整備されています。
聖イヴァン要塞まで辿り着くのは容易くはありませんが、上りきった先には素晴らしい景色と感動が待っています!山腹からの眺めも素晴らしいので、途中まででもぜひ上ってみてくださいね。
コトル湾に浮かぶ聖なる教会
コトル湾を訪れたらぜひ足を運んでいただきたいもうひとつの町。それは湾の畔にひっそりと佇む町、ペラストです。コトルからペラストまでは車で約20分。人口約500人程の小さな小さなこの町には、心静まる素晴らしい風景が広がっています。
ペラストの一番の見所といえば、町の沖に浮かぶ2つの小さな島。
ひとつは修道院が建つ「スベティ・ジョルジェ」と呼ばる島。もうひとつは「岩礁のマリア教会」と呼ばれる教会が建つ人工の島。15世紀頃、ある漁師がこの場所にあった小さな岩礁に聖母マリアのイコンが流れ着いているのを見つけ、その岩礁を聖なる土地として十字架を立てたのが始まりなのだとか。その後、町の人々が岩礁の周りに岩などを沈めて少しずつ埋め立てて、現在のような島の姿となりました。
島へはペラストからボートが出ており、5分程の短い時間ではありますが、コトル湾クルーズを楽しむことができます。
まだまだ秘境的な存在ですが、これから日本でも少しずつ知名度が上がってゆきそうなコトル。その名が広く知れ渡る前に、ぜひ一度訪れてみませんか。
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