中世のロマンあふれる「ドイツ」の世界遺産まとめ(全43ヶ所、写真53枚)
超有名なノイシュバンシュタイン城をはじめとした、ドイツにある世界遺産はなんと43ヶ所!
中世の町や古城、ゲーテゆかりの古跡、美しい庭園などドイツ文化の魅力を存分に伝える世界遺産をまとめましたので、ぜひゆっくりとご覧ください。
*編集部追記
2015年に公開した記事に新たに加筆しました。(2019/01/28)
ケルン大聖堂
632年もの歳月をかけて建設された世界最大級のゴシック建築は、神の国「天」へ一歩でも近づきたいという思いから157mという当時は世界最大の高さを誇っていました。
2004年にビルの建設によって景観が失われるかもしれないということから危機リストに登録されましたが、建設計画が変更され、2006年に無事解除されました。建物に合わせた周りの景観も見所の一つです。
ベルリンのムゼウムスインゼル(博物館島)
シュプレー川の中州に位置するムゼウムスインゼルは、5つの博物館が集まっていることから博物館島と呼ばれています。
最も古い博物館は1830年に開館されたもので、その他は旧ナショナルギャラリーやエジプトの遺物を保存するボーデ博物館、古代ローマ美術やオリエント美術を収蔵しているペルガモン博物館などがあります。
ライン渓谷中流上部
全長1300kmを超える大河、ライン川の中でも「ロマンティック・ライン」という異名を持つ最も美しいエリアです。
クルージングの名所として世界的に有名で、美しいブドウ畑や古城が佇むのをゆったりとした川の流れにのって眺めるのは至福のひと時となるでしょう。ベストシーズンは6月から10月の間で、春や秋は収穫祭を楽しむことができます。
ブレーメンのマルクト広場の市庁舎とローラント像
1405年から5年かけて建築されたマルクト広場の市庁舎は、ヴェーザールネッサンス様式のファサードと、ゴシック様式が混在するドイツで最も貴重な建築物のひとつとされています。
内部は壮麗な装飾が施され、ワインセラーなどもあります。その前に建つローランド像は、ブレーメンの自由と市民権の象徴であり、市庁舎と共に2004年に世界文化遺産に登録されました。
ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群
ドイツ・ロココ様式の壮麗な外観を持つサンスーシ宮殿を中心とした宮殿群と庭園がドイツの古都ポツダムにあります。この宮殿はプロイセン王国のフリードリヒ2世によって建てられました。
大きな規模じゃないものの、城の内部には芸術を楽しむための部屋があり、庭園には中国茶館や絵画展示館があるなど、芸術を愛した王の人間性が反映されています。
レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフ
レーゲンスブルクの旧市街は、1世紀にはローマ軍の駐屯地として栄え、6世紀頃には神聖ローマ帝国の帝国議会が開かれるなど、歴史的にも重要な場所として栄えてきました。
1135年から1146年にかけて建造されたとされるシュタイナーネ橋は世界最古の橋と言われています。また、シュタットアムホーフには聖カタリーナ養老院や、中世からビールが作り続けられているビアホールなどがあります。
バンベルクの町
第一次世界大戦と第二次世界大戦両方の戦火を逃れ、1000年の歴史を残す街並みを今に伝えるこの都市は「バイエルンの真珠」という別名も持っています。
1237年に再建された後期ロマネスク様式の大聖堂の中にはバンベルクの騎士像やハインリヒ2世と皇后クニグンデの石棺などが残されています。1993年に世界文化遺産に登録されました。
ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場
中世の時代、司教座都市として栄えたヴュルツブルク。18世紀頃にヨハン・フィリップ・フランツ司教によって大司教の住む宮殿が建築されました。
このヴュルツブルク司教館は、階段の間にある柱のない吹き抜けが大きな特徴で、天井にはティエポロによって描かれた世界最大のフレスコ画があります。宮殿の周りには美しく整えられた庭園が広がり、共に世界文化遺産に登録されています。
ベルリンの近代集合住宅群
20世紀はじめ、労働者のために造られた6つの近代集合住宅群です。一般市民が住むこの建物は何の変哲もないただの住居のように見えますが、全てが1910年から約20年ほどの間に造られており、そのモダンなスタイルを持つデザイン性は現在にも通用するものがあります。
少ない建築費で快適な住居が建てられるように考えられており、近代建築の先駆けとされています。
ヴィースの巡礼教会
ロココ様式の最高傑作のひとつと言われるこの教会は、シンプルな外観に対して内部は大変美しい装飾が施されています。
無数の天使の像は一つ一つが丁寧に彫り込まれており、天井には美しい絵画を見ることができます。1738年に鞭打たれるキリストの木像が安置され、その像が涙を流したということで多くの巡礼者が訪れるようになり、有名になりました。
デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国
エルベ川の支流沿いに位置するヨーロッパ大陸で最初に造られた英国式庭園です。1765年頃にヨハン・フリードリヒ・アイザーベックによって造園が開始され、エルムノンヴィルの島を模して造られました。
およそ140平方キロメートルの敷地内には宮殿をはじめ、大小100以上の建築物が並んでいます。これらの建築物は後のヨーロッパ建築に大きな影響をもたらしました。
アーヘン大聖堂
8世紀末、フランク王国のカール大帝によって築かれた宮殿と付属の大聖堂です。この大聖堂は中心に32メートルにもなる八角形のドームを持っています。
熱心なキリスト教信者であったカール大帝は、八という数字がキリスト教において復活を意味する重要な数字であったことを重視し、大聖堂に八角形のドームを造ったとされています。
アールフェルトのファグス靴工場
1925年に建てられたファグス靴工場は現在も靴型工場として稼動しています。オーナーのカール・ベンシャイトが過去にとらわれない形の企業であることを象徴するために一風変わった建築物を発注し、ヴァルダー・グロピウスとアドルフ・マイヤーによって設計されました。初期モダニズム建築の重要な例の一つとして世界遺産に登録されています。
ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂と聖ミカエル教会
815年から続く長い歴史を持つヒルデスハイムの旧市街に建つ聖マリア大聖堂。11世紀から12世紀にかけての工芸品が多数保存されており、特に大聖堂の青銅製の扉は有名です。
同じく旧市街に建つ聖ミカエル教会は「エッサイの樹」と名づけられた天井画が有名で、どちらも一度は戦火に焼け落ちましたが、再建されて世界遺産に登録されました。
ランメルスベルク鉱山と古都ゴスラー
1000年以上の歴史が残る古都ゴスラーは古くから鉱山で栄えてきました。繁栄期の建築物は豪華な装飾が施されており、旧市街には中世時代の職業組合であったギルド建築物や教会が並びます。
ランメルスベルク鉱山は元々は銀の採掘から始まり、銅や鉛も採掘されました。いくつかの見学コースがあり、観光客で賑わっています。
メッセル・ピットの化石地域
メッセル村にあるこの地域からは約4700万年前からの化石が多数発見されています。哺乳類や鳥類をはじめ、魚類の化石は一万点以上にのぼり、昆虫の化石には色が残っているものも含まれています。
恐竜が滅んでからの歴史を知るための化石が出土していることから、地質学的にも古生物学的にも重要とされ、1995年に世界自然遺産に登録されました。
ムスカウ公園/ムジャコフスキ公園
第二次世界大戦後の国境制定によりドイツとポーランドにまたがることになった一つの公園で、2004年に世界文化遺産に共同登録されました。
19世紀にムスカウ王子によって、イギリスの自然風景を取り入れた造園手法をヒントに造園され、周辺の農地景観と素晴らしい調和が見られます。イギリス式庭園を発展された見事な例だと高い評価を受けています。
ローマ帝国の国境線
1987年にイギリスのハドリアヌスの長城が登録され、2005年の拡張登録によってドイツのリーメスが含まれ、今の名称になりました。
アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群
アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群は、2011年に登録されました。スイス、イタリア、ドイツ、フランス、オーストリア、スロベニアにまたがる世界遺産で、紀元前5000年頃から造られた杭上住居(高床式)です。
コルヴァイのカロリング朝期ウエスト・ワークとキウィタス
コルヴァイは旧ベネディクト会修道院の建物で、8世紀から10世紀にかけて栄えたカロリング朝の代表建築物の一つです。三十年戦争の際にほぼ完全に破壊されたものの、西構えの部分が残り、これは世界最古にして唯一オリジナルのまま保存されたものとされています。
都市を意味するキウィタスには住居跡などが残されています。2014年に世界文化遺産として登録されました。
クヴェートリンブルクの聖堂参事会教会、城と旧市街
ドイツ中部に位置するクヴェートリンブルクは、かつては商業都市として栄えた街で、中世の時代には東フランケン公国の首都でもありました。
神聖ローマ帝国初代皇帝により10世紀に宮殿となったクヴェートリンブルク城をはじめ、旧市街には14世紀から建つ古い木造建築の家々が1200以上も保存されており、大変美しい景観を楽しむことができます。
アイスレーベンとヴィッテンベルクにあるルターの記念建造物群
アイスレーベンは宗教改革を起こしたマルティン・ルターが生まれ、亡くなった町です。ルターはヴィッテンベルクで修道士や教師として活動しながら、アウグスティノ会修道院に住み、ヴィッテンベルクに建てられた墓の中で眠っています。
これら二つの町は宗教改革の現場となったことで重要とされ、1996年に世界遺産に登録されました。
僧院の島ライヒェナウ
9世紀以降、ベネディクト修道会の中心地として発展したボーデン湖に浮かぶ島です。島内にはおよそ1000年前のロマネスク以前にかかれたフレスコ画が残る聖ゲオルク教会をはじめ、町の中心の聖マリアマルクス教会、聖ペーターパウル教会などがあります。
自然の広がる美しい島で取れる野菜や果物を食べながら島民たちはのどかな暮らしを楽しんでいます。
シュパイヤー大聖堂
10世紀から11世紀にかけて栄えた交易都市、シュパイヤーに皇帝コントラート2世が建てた大聖堂です。皇帝の権力を誇示するために造られたシュパイヤー大聖堂には4本の塔が高く聳え、「カイザー・ドーム」という別名も持っています。
大聖堂は全長133mにもおよび、世界最大のロマネスク様式の建築物として、ドイツ・ロマネスクの先駆けとなりました。
バイロイトの辺境伯オペラハウス
1744年から1748年にかけてフリードリヒ辺境伯によって建設された豪華絢爛なバロック様式のオペラハウス。
建設された当時のまま残っているオペラハウスとしてはヨーロッパ最古のオペラハウスとなります。ヨーロッパのバロック音楽において重要な役割を果たした歌劇場であるということで、2012年に世界文化遺産に登録されました。
トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂及び聖母マリア教会
トリーアは紀元前1世紀に皇帝アウグストゥスによって築かれた殖民土地です。商業が栄え、第二のローマと呼ばれるほどに発展しました。
現存する最大優の円形劇場や公衆浴場などの遺跡が残されているほかに、中世の遺跡としてトリーア大聖堂やゴシック様式が美しい聖母マリア教会が残されています。二つは礼拝堂を通して繋がっており、珍しい複合建築の一つです。
ヴァルトブルク城
およそ1000年の歴史を持つドイツで最も保存状態の良い中世城塞ヴァルトブルク城は、要塞としてでなく豪華絢爛な居城としても常にその役割を果たしてきました。
後期ロマネスク様式の華やかな建築物で、さらに音楽芸術の歴史に置いても重要な役割を果たしてきました。19世紀に改装され、今なおヴァルトブルクコンサートをはじめ様々なイベントがここで開催されています。
シュトラールズント及びヴィスマルの歴史地区
1234年に都市権を取得してから、ハンザ同盟都市となり、スウェーデン、プロイセンの支配下となったシュトラールズントと、1229年に都市権を取得し、1903年までスウェーデン領だったヴィスマルの歴史地区。
ゴシック建築のドーベラナー大聖堂やザンクト・ニコライ聖堂をはじめとする重要な建築物や、焼きレンガの美しい景観などが評価され、2002年に世界遺産として登録されました。
ワッデン海
ドイツ、オランダ、デンマークに囲まれたワッデン海は2014年に3カ国共有世界遺産となりました。干潟や浅瀬など様々な特徴を持ち合わせる湿地帯にはアザラシが体を休め、海中ではイルカが群れをなします。
動物だけでなく、2000種類以上もの多様な昆虫類や魚類が生息しており、生き物を愛する人々に絶大な人気を誇っています。
カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林
スロバキア、ウクライナ、ドイツ、アルバニア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、イタリア、ルーマニア、スロベニア、スペインの12カ国にまたがる自然遺産。
もともとはスロバキアとウクライナのみでしたが、2011年、2015年に拡張され現在の名称になりました。
ブリュールのアウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルスト
ドイツで最初のロココ様式の建築であるアウグストゥスブルク城は大司教アウグストのお気に入りの離宮の一つでした。
1725年から40年の歳月をかけて建築されたこの城は、ドイツ・バロック建築の傑作と言われる「階段の間」や、フランスのスタイルを取り入れた美しい庭園などを備えており、様々な有名芸術家たちに手がけられたことでも有名です。
ロルシュの王立修道院とアルテンミュンスター
ドイツにある前ロマネスク様式の修道院建築では最も重要なものの一つとされている王立修道院は、アーチやピラスターの壮麗な美しさから「カロリング・ルネサンスの宝石」という別名を持っています。
三十年戦争でほとんど破壊され、現在では王の門と教会の一部しか残っていないものの、1991年に世界文化遺産に登録されました。
フェルクリンゲン製鉄所
世界で唯一、完全な形で保存されている19世紀に建設された製鉄所です。鉄鋼業の全盛期に建設された60万平方メートルにもおよぶ巨大な施設は、産業記念物として初めて1994年に世界文化遺産に登録されました。
現在はテーマ&体験パークになっており、約6キロの巡回見学ルートや展望台となっている炉口を楽しむことができます。
古典主義の都ヴァイマール
「ファウスト」の作者ゲーテが行政官となってからドイツ文化の一大拠点として栄えるようになったヴァイマールでは、「ウィルヘルム・テル」のシラーをはじめ、多くの芸術家や学者たちが集まり活動するようになりました。
ゲーテやシラーの家をはじめ、ヘルダー聖堂、イルム公園やいくつかの城などが世界遺産としての保存対象になっています。
エッセンのツォルフェライン炭坑業遺産群
ツォルフェラインに1927年から5年かけて建設された産業建築複合体は、当時世界最大の石炭採掘施設であり、今なお世界で最も美しい炭鉱と呼ばれることがあります。
シンメトリーで幾何学的なファサードを持つ建物は赤レンガと鉄骨が見事な調和を見せています。今では博物館として保存されており、2001年に世界文化遺産に登録されました。
ヴィルヘルムスヘーエ公園
総面積240ヘクタールにもおよぶヨーロッパ最大規模のヴィルヘルムスヘーエ公園は、イギリス風庭園にヴィルヘルムスヘーエ宮殿が建ち、造形芸術の極みともいえる美しい公園です。
宮殿池の噴水に流れ落ちる「水の芸術」や、巨大なヘラクレス像など印象的な芸術作品を多く備えています。2013年に世界文化遺産に登録されました。
ハンザ同盟都市リューベック
14世紀から15世紀にかけて200もの都市が加盟したハンザ同盟を率いたリューベックは「バルト海の女王」という別名も持っています。
リューベックは鱈や塩漬けニシンの貿易によって栄えましたが、17世紀に入りハンザ同盟の衰退と共に衰えていきました。今は旧市街に中世を思わせる街並みが残り、観光客を集めています。
マウルブロンの修道院群
アルペン以北で唯一の修道院であるかつてのシトー修道院、マウルブロン修道院は中世の建築芸術の代表とも言える宗教施設です。
全長1キロにもおよぶ防御壁に囲まれた中庭には巨大な農舎や塔などがあり、建物内部の回廊や食堂、玄関ホールはパラダイスと呼ばれるほどに美しいオリジナルの状態で保存されています。1993年に世界文化遺産に登録されました。
ヴァイマールとデッサウのバウハウスとその関連遺産群
1919年からワイマールにて活動を始めたバウハウス。バウハウス造形大学では20世紀の建築技術に世界規模の革命をもたらすバウハウス様式を確立し、現在においても大きな影響を与え続けています。
ワイマールとデッサウにはバウハウスが活躍した当時の建物や博物館、展示場などがあり、1996年に世界遺産に登録されました。
ハンブルクの倉庫街とチリハウスを含む商館街


ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献
ル・コルビュジエは、スイスで生まれ、フランスで活躍した建築家。2016年に日本を含む7カ国が共同で推薦し、初の大陸をまたぐ世界遺産となりました。
ドイツでは、ヴァイセンホフ=ジードルングの住宅群が登録されています。
シュヴァーベン・ジュラにおける洞窟群と氷河時代の芸術
この遺産があるのは、ドイツ南部バーデン・ヴュルテンベルク州。2017年に、6つの洞窟が世界遺産に登録されました。
氷河時代の貴重な芸術が発見されており、当時の生活や思想を知る手がかりとされています。
まとめ
お疲れさまでした。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。一度に回りきれないほどの魅力があるドイツに行かれる際は、ぜひたっぷりと時間を使って楽しんでいただけたら嬉しいです。
ちなみに「カリーブルスト」っていうB級グルメがとっても美味しいですよ。毎日食べてました。