こんにちは、ドイツ在住ライターのYuです。私が現在住んでいるのは、ドイツ西部のモーゼル川沿いのエリアですが、引っ越してくるまでは、未知のエリアでした。

日本からのツアーや、観光地の多いライン川沿いの街々に比べたら、まだまだマイナーなモーゼル川沿いの街々。しかし実際は、どの街もメルヘンチックで息をのむ美しさでした。こぢんまりとした街々で、自然も多く、人混みを避けた旅を考えている方にもおすすめのエリア。

今回は、そんなモーゼル川沿いの美しい街々や、知られざるお城などを紹介していきます。

モーゼル川沿岸の基本情報



モーゼル川は、フランス・ルクセンブルク・ドイツにかかって流れる全長545キロメートルもの広大な川です。

ドイツ国内では、ラインラント=プファルツ州内を流れ、ヨーロッパでも有数のワインの生産地として知られています。ここで生産される「モーゼルワイン」は、ドイツのみならず世界中で愛されています。

沿岸には、おとぎの国のような街並みや中世のお城、ブドウ畑が延々と広がる壮大な光景を眺められることから、モーゼル川クルーズも人気のアトラクションとなっています。



モーゼル川沿岸、一面に広がるブドウ畑は、圧巻の光景。個人的なお気に入りは、秋の紅葉シーズンです。赤や黄色、オレンジ色に染まったブドウ畑とモーゼル川を横目にするハイキングも格別です。

モーゼル川沿岸には数えきれないくらいたくさんの絶景ハイキングスポットがあるので、人混みを避け、ドイツらしい風景を楽しみたい方に特におすすめのエリアです。

世界遺産のポルタ・ニグラは必見!ドイツ最古の街「トリアー」



モーゼルワインの一大産地でもあるトリアー。あまり知られていませんが、ここはドイツ最古の街!

トリアーは、かつてローマ帝国がヨーロッパ進出の拠点とし、文化や商業が発展したことにより、当時「第二のローマ」ともいわれていたんだとか。

今も街中にローマ帝国の遺跡が数多く残り、「トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂、聖母聖堂」として世界遺産に登録されています。



中心街に着くと、まず目に入ってくるのが、2世紀に造られたこの「ポルタ・ニグラ」。ラテン語で「黒い門」という意味のこの門は、トリアーのランドマークとして観光のメインスポットとなっています。

アルプス以北に残るローマ遺跡で、最も保存状態がよいとされているそう。威風堂々としたたたずまいに、当時の情景を想像させられます。



こちらはトリーアの大聖堂。ドイツで最も古い大聖堂で、ケルン、マインツと並ぶ「ドイツ三大大聖堂」の一つに数えられています。

古代ローマ建築物の上に建てられていることが確認されていて、外壁の一部などにその時代の名残が残っています。また、何度も破壊・再築が繰り返されたため、さまざまな建築様式が取り込まれていて、数ある大聖堂の中でもとてもユニークな造りになっているのも見どころの一つ。



「ポルタ・ニグラ」は中心街にあり、街自体もパステルカラーの可愛らしい建物や、ドイツらしい木組みの家々が並んでいて、とても魅力的。また、ワインの一大産地ということもあり、ワインショップやワインバーも充実していて、レストランでは地元産のワインの品ぞろえも豊富なので、ぜひお試しを。

■詳細情報
・名称:Trier(トリアー)
・地図:
・アクセス:「ポルタ・ニグラ」がある、街の中心地までは「トリアー中央駅」から徒歩で約10分
・公式サイトURL:https://www.trier.de/Startseite/

中世の街並みを残す「ベルンカステル=クース」



「ベルンカステル=クース」は、「ベルンカステル」という街と、対岸の「クース」という2つの街で構成された街。中世の木組みの家が立ち並び、多くのショップやレストランが集まるのは「ベルンカステル」側です。



日本ではあまり知られていませんが、ドイツの美しい村30選にも選ばれたこともあるほど、街並みは本当に可愛らしい!交通の便はよくありませんが、行く価値は大いにありの場所です。ワイン産地らしく、街中にはワインテイスティングができるお店が多くあり、ワイン好きには天国のような場所です。



両岸は橋で繋がっていて、どちらもこぢんまりとした大きさなので、一日もあれば両岸の見どころを押さえることができます。モーゼル川クルーズの人気の停留地ともなっていて、橋の近くには多くの船が停まっています。もちろんここから乗車も可能。



街全体がブドウ畑に囲まれていて、その丘の上には現在は廃墟となったランツフート城が、静かにたたずんでいます。

ベルンカステル側からワイン畑の間を歩いていく道中も、絶景の連続。麓から15分ほどで着けるので、ぜひ行ってみることをおすすめします。



城内には、軽食のスタンドやレストランもあり、地元産のワインを飲むことができます。ブドウ畑を眺めながら飲むワインは格別ですよ。



ベルンカステルとお城が繋がるコースはいくつかあるので、行きとは別の道で帰るとまた違った景色が楽しめます。



ベルンカステルにあるマルクト広場の建物は、クリスマス時期になると、建物ごとアドベントカレンダーとして利用され、クリスマスマーケットと合わせて人気のスポットとなっています。毎日日替わりで、日付が書かれた窓がめくられ、キャラクターの絵が出現します。



こちらは「クース駅(Bahnhof Cues)」というクース側にあるレストラン。以前駅舎として使われていた建物が、レストラン兼ブルワリーとして利用されています。ここに来たからには、ぜひサンプラーを頼んで数種類の自家製ビールをお試しください!

■詳細情報
・名称:Bernkastel-Kues
・地図:
・アクセス:一番最寄りの鉄道駅「Wittlich駅」からバス300番か301番で約40分

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ブドウ畑を見下ろす絶景は必見!「トラーベン=トラバッハ」



「トラーベン=トラバッハ」は、モーゼル川中域にある、人口約6000人の小さな街。一昔前、この街はワインの運搬拠点でもあり、ワイン貿易で大変栄えていたんだとか。現在も、モーゼルワインの産地としてはもちろん、温泉保養地としても人気の街となっています。



小さな街ながら、ワインセラーが数多くあるので,街歩きがてらワインテイスティングも楽しめます。また、クリスマスの時期になると、地下で行われるユニークなクリスマーケットが開かれます。歴史あるワインセラーを利用したこのクリスマスマーケットには、毎年国内外からたくさんの観光客が訪れるんだとか。



街を見下ろす丘の上には「Ruine Grevenburg」という城跡が残っていて、必見スポットとなっています。

ハイキングコースは、街の目印であるモーゼル川にかかる橋の門のそばから、城跡へと続いています。舗装されたコースではなく、森の中を登っていくので、歩きやすい靴で行くことをおすすめします。



私たちが行ったときは閉まっていたのですが、頂上にはレストランもありました。雄大な景色を眺めながら、ワイン片手に食事をするのも最高そうですね。

■詳細情報
・名称:Traben-Trarbach
・地図:
・公式サイトURL:https://www.traben-trarbach.de/de/

森の中にたたずむメルヘンなお城「エルツ城」



シンデレラ城のモデルとして有名なノイシュバンシュタイン城と併せて「ドイツ3大美城」の一つに数えられる、「エルツ城(Burg Eltz)」。過去の戦争で、一度も陥落したことがなく、850年以上も同じ家系によって代々所有されています。

歴代の王族をはじめ、かの有名な詩人ヴィクトル・ユーゴーもこのお城を訪れ、その美しさに感嘆したという記録も残っているそう。また、1961年から1995年まで、ドイツの500DM紙幣にはエルツ城の景色が描かれていたんだとか。



山奥なので、車以外で行くにはちょっとアクセスが不便なところにありますが、この美城目当てに、世界中からたくさんの観光客が訪れます。

一般的な行き方は、まず車でお城の駐車場(Parkplatz Burg Eltz)まで行き、そこからお城まで森の中をハイキングしながら行くコース。駐車場からは、徒歩で約15分程度で、私の4歳の娘でも歩けた簡単な道のりです。

または、一番最寄りの鉄道駅モーゼルケルン駅から、ハイキングコースを歩いて片道90分でアクセスするのも人気のコースです。



森林の中に静かにたたずむエルツ城は、まるで絵本の世界のような雰囲気。色とりどりの花々が咲き誇る春、新緑が眩しい夏、紅葉が美しい秋、白銀の世界の冬……どの季節に来ても、感動の絶景が待っています。

通常はお城の中を巡るツアーもあり、寝室やキッチン、騎士の部屋などを見て回ることができるそう。家具の多くは850年前当時からそのまま残されているんだとか。ヨーロッパでも、重要なコレクションの一つと言われているそうです。

■詳細情報
・名称:エルツ城
・住所:56294 Wierschem
・地図:
・アクセス:Moselkern駅より5㎞(徒歩90分orタクシー10分)
・営業時間:9:30~18:00
・電話番号:+492672950500
・料金:大人11ユーロ(城内のガイドツアー付き)
・公式サイトURL:https://www.burg-eltz.de/de/

魅力いっぱいのモーゼル川沿岸の街々

アクセスはあまりよくありませんが、訪れる人を魅了してやまないモーゼル川沿岸の街々。あまり観光地化されていないので、人混みを避け、自然や絶景を楽しみたい人におすすめのエリアです。早く海外旅行ができる日が来ることを祈りつつ、次に行きたい旅先リスト作りの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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