自然と文化、サイエンスの三者を融合させた「世界一のサウナ」を作る——。前回のインタビューを通じて、その壮大な野望の輪郭が見えてきた。

ただし、サウナ建設には「法律」という名の高いハードルが存在する。これを乗り越えない限りは、ただの夢物語だ。

一体、どんなアクションで、どうクリアする計画なのだろうか?

──島根ならではの「文化」についてはよくわかりました。最後に「自然」はどうでしょう?

 

Clubhouseで、“日本一の清流”といわれている「高津川」があることを教えてもらいました。YouTubeで映像を観てみたら、そこそこ深さがあって流れがゆるやか。つるっとした岩がたくさんあって、めちゃくちゃ入りやすそうで。もう水風呂にしか見えませんでしたね(笑)。実際にテントサウナをしている人もいるみたい。

 

──完全に「島根プレヴァルス」の条件が揃ってますね。

 

話を聞くまでは、島根といえば出雲大社くらいしか思い浮かばなかった。当然、プレヴァルスのイメージもまったくなかった。

でも、今はイメージがかなり具体化されています。どういう場所でどういうものを取り入れて、どういう事業者がおこなうのか。座組みを決めるフェーズにきているので、近々島根に行って打ち合わせをしますよ。

 

──「さあ作るぞ!」となったときに、いろいろな法律が障壁になる。どう考えている?

 

仮に自然の河川にサウナを作るとなると、風営法や公衆浴場法、河川法、建築基準法、自然環境保全法など数々の法律がハードルになる。総務省、厚生労働省、環境省など複数の省庁にまたがるルールに抵触する恐れがあります。

だから、同時に法制化も進めていかないと成り立たない。

 

──各省庁とのやりとりはかなりタフそうです。

 

実際、ポジティブな反応をいただくところもあれば、そうでないところもある。なかなかハードですが、それは乗り越えるべき障壁です。

今考えているのが、サウナ議連を結成し、議員立法をしてもらうこと。公的な動きにしていかないと、自然の中にいいサウナが作れない。一回でも事故ってしまうと、以後禁止になってしまいますから。

複数の人たちがその重要性を認識してはいるものの、現時点では本格的な動きになっていない。それならば、僕がやるしかないなと。ヴァルス計画としても、日本サウナ学会としても大事なアクションです。

 

──先生の得意分野であるサイエンス、データも重要になりそう。

 

大きな組織を巻き込もうとすると、やっぱりデータがないとなかなか動いてくれないもの。一つひとつ、しっかりとデータを取ること。そしてそのデータを自分だけじゃなく、みんなが使えるようにすること。この二点が重要。

 

──オープンソース化の意図は?

 

47都道府県に展開するとなると、自分ひとりでは限界がある。「ヴァルス計画」に賛同して、自分の地域でもやってみたいと思う人にどんどん任せていかないといけない。

壮大なプロジェクトだから「うちは無理だな」って普通は思うじゃないですか?でも、情報を透明化すれば、「あ、こういうふうに進むんだ。これならうちでもできるかもしれない」って思ってくれるかもしれない。

そもそもこのデータを使ってコンサルティングをしようなんてことは一切考えてないですし。サウナで多くの人が健康になってくれたらいいなという思い、それだけです。

 

──冒頭で仰っていた通り、壮大な社会実験ですね。

 

あともうひとつ、ふるさと納税についても仕掛けています。「モノを配る」か「体験型」のどちらかが多いですが、個人的には「パッケージ」にしたい。JRやJALなどと組んで、往復運賃や宿泊費、サウナ利用代などをパックにしたものを考えているんです。

それが納税になるのなら、多くの人が行きたくなるはず。実際に仕組み化できることもわかっているので、粛々と進めていきますよ。

──いやいや、本職は医師ですよね(笑)。ちゃんと寝てますか?

 

ガッツリ寝てますよ(笑)。

 

──当然、医師としての仕事もあるわけじゃないですか。

 

もちろんです。僕がサウナのことを考えているのは、昼休憩と勤務終了後だけ。帰宅前にサウナに行って、あれこれ妄想してます(笑)。

 

──今、ヴァルス計画の会員数は

 

100人くらいです。

 

──リリースを出して、たったの2週間で100人はすごい。

 

単純にサウナが好きで情報を知りたいという人、自分も何かしらヴァルスに関わりたいという人、投資したいという人。ありがたいことにいろいろなレイヤーの方が集まってくれています。

 

──ただ島根にできたサウナと、地元の人が初期段階から関わって作り上げたサウナとではまったく違う。

 

東京の会社が東京のデザイナーを起用して島根にサウナを作り、島根のみなさんぜひ入ってくださいねっていうのは違うというか、それ島根じゃないじゃんって。そうじゃなく、最初から地元の人がストーリーを持って作り上げることが大事。それこそが魅力になるから。

 

 

──そういうサウナがすべての都道府県にあると考えると豊かです。

 

地方には何もない、なんてことは絶対にない。島根には本当に感銘を受けましたよ。47都道府県は難しくとも、やっぱり各地方にひとつは欲しい。サウナに入って文化を知り、じゃあ実際に見に行ってみようという流れになると最高。そうなったときに、現実的に行動に移せる範囲のその中心にヴァルスがあってほしい。

サウナでいい思いを増幅させ続けたら、きっと、もっと幸せで健康な社会になる。そういう仕掛けをどんどん進めていきたいです。

 

──何年くらいかかりますかね。

 

まったくわからないです。それこそ、ずっとプレヴァルスのまま、サグラダ・ファミリアみたいになるかもしれない(笑)。

【オンラインサロン『ヴァルス計画』クルー募集要綱】

オープンイノベーション型のサウナ開発を進めるうえで、「株式会社Miteki」の提供するLINEをベースとした「fan.salon」を用いて、オンラインサロンを運営します。

・応募条件:サウナが好きであること。ヴァルス計画に賛同し、ヴァルス計画の実現に協力したい意志があること・会費:5000円/月(ゴールド会員)、500円/月(一般会員)・応募方法:まず、LINEで友だち追加をおこなってください

※ゴールド会員はすべての機能が使えます。一般会員は情報の閲覧のみで、イベント参加、人材交流、紹介などの機能が利用できません。ヴァルス計画を覗き見できる体験版とお考えください

加藤 容崇(かとう やすたか)

慶応義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット特任助教・医師、北斗病院・医師、日本サウナ学会 代表理事。サウナ好きが高じて、“ととのう”をはじめとしたサウナの効能を科学的に解明する取り組みをおこなっている。著書『医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?』が好評発売中。

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