世界でもっとも環境にやさしい、エコフレンドリーな5つの街
暖かすぎる冬や、頻発する自然災害。世界中で「もしかして、これって異常気象のせい?」と思われる現象が多発していますよね。
世界的に環境問題に取り組む機運が高まる中、とりわけ「環境に優しい」(Eco-Friendly)取り組みをしている5つの都市をご紹介したいと思います。
コペンハーゲン
デンマークの首都コペンハーゲンは、欧州における環境問題のリーダーシップを取っていると言われています。居住者の日常の足は主に自転車で、30%以上の人が毎日自転車に乗るのだそう。
そして居住者にとどまらず、旅行で訪れる人も環境問題の改善に貢献できるしくみがあるのです。実は、20か国以上で採用されているホテルなど宿泊施設の環境取り組みを査定認証する「グリーンキー」はデンマーク発祥。
グリーンキーを取得するために、候補となる施設は環境に関する必要事項(使用する水の削減、有機製品や環境に優しい洗剤の利用、電気の削減など)を満たさなければなりません。コペンハーゲンではエコ認証を取得したホテルの数が飛躍的に増え続けて、2012年には64%のホテルの認証が確認されたそうです。旅行で訪れる際は、そういうホテルを選んで応援したいですね。デンマーク国内のグリーンキー認証ホテルは、こちらから確認できます。
[Green Key Denmark]クリチバ
聞きなれない地名ですが、クリチバ(Curitiba)はブラジル南部にある街。首都サンパウロから飛行機で1 時間ほどの距離に位置する、人口約170万人の都市です。先ほどのコペンハーゲンが欧州における環境フレンドリーのリーダー都市なら、このクリチバは南米のリーダー的存在。この街を一躍有名にしたのは、1991年に始まった、「グリーン・エクスチェンジ」というゴミを野菜と交換できるプログラムです。
https://www.youtube.com/watch?v=T1bRUZ–9Ws
【Green Exchange Program “An appetite for recycling”】
もともと1980年代後半から学校などでゴミの分別啓発を行っていたそうですが、貧しい家庭まではなかなかリサイクルや正しいゴミ捨てが浸透していかなかったといいます。衛生上の問題から、国が採用したのがこの画期的なプログラム。4kgのゴミを持参したら、1kgの野菜や果物と交換してくれるシステムで、瞬く間に市民はゴミを大切に扱うようになり、スラム地域でもゴミの散乱が無くなったといいます。環境にも良く、貧しい人にとってもプラスになる素晴らしいアイデアですね。
シンガポール
アジアの小国シンガポールは、画期的な水資源のリサイクルが高く評価されています。熱帯性の気候から降雨量の少ないシンガポールにとって、水不足は長年の悩みでした。そのためシンガポールは、徹底的な水のリサイクルに取り組み始めます。まず初めに取り組んだのは、工場の排水のリサイクルで、今では工場の排水の84%がリサイクルされ、再び工場用水として使われています。
2000年には最新の家庭用排水のリサイクル施設も完成し、排水を飲料水レベルまで浄化できるようになったといいます。今まで捨てていた水をリサイクルするシンガポールの取り組みは、世界中の水不足に悩む国から注目されているそうです。そしてこの水のリサイクル・システム構築には日本企業も関わっているのだとか。日本の技術が貢献しているのは嬉しいですね。
サンフランシスコ
アメリカのサンフランシスコは、全米ナンバーワンのリサイクル率を誇り、なんと75%以上のリサイクル率なのだとか。2020年までの焼却・埋め立てゼロを謳った「ゼロ・ウェイスト」(Zero Waste)を公式な目標に掲げて、ごみの資源化と削減に取り組んでいるといいます。
また、資源化事業に低所得者を多数雇用することで「グリーンジョブ」と呼ばれる雇用も創出しているのだとか。環境に良く失業対策にもなるリサイクル政策は、まさに良いサイクルを生み出していますね。
そして電気自動車の所有率も、サンフランシスコは全米一。二酸化炭素を排出せず環境負荷の少ないエコカー所有者は、サンフランコシスコが属するカリフォルニア州周辺の高速に設けられた優先レーンを通過できるので、渋滞に煩わされなくなるのが魅力なのだとか。州政府も、環境問題に真剣に対応している様子がうかがえますね。これからも、全米をけん引していくようなエコフレンドリーな仕組みを作っていって欲しいです。
ダーバン
ダーバンは、南アフリカ共和国の都市。国名が示す通り、アフリカ大陸からのエントリーとなりました。ダーバンも先ほどのサンフランシスコと同様に「ゼロ・ウェイスト」、つまりすべてリサイクルできるシステムを20年以内に達成しようとしています。更に2050年までに「カーボンニュートラル」、つまり排出する二酸化炭素量を(植物などで)吸収される量と同等にしようとする取り組みを行っているそうです。
実は2015年の調査によると、アフリカ大陸全体の二酸化炭素排出量は、世界の中でもたった3.3%しかないそうです。もう一度書きますが、大陸全体で3.3%です(それだけ先進国の排出量が多いということなのですが)。ただ、「21世紀はアフリカの世紀」と言われるほどなので、今後の変化は未知数です。アフリカ全体の環境見本都市となれるようなリーダーシップを発揮していってほしいですね。
もし環境問題に関心があれば、旅行先をそういう観点で選ぶのも面白いですよ。エコフレンドリーな都市を旅行することで応援できれば、我々ツーリストも環境問題に貢献できる気がしますね。
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