公共の場でもプライベートの場でも、昔に比べあらゆる場所で目にするようになった防犯カメラ。事件関連のニュースで流れるカメラ映像を目にするに「こんな場所にも…」と、悪事を働いていなくたってドキッとすることもある。

が、従来の防犯カメラに対する印象とは正反対の「目立ちすぎる防犯カメラ」の存在を知っているだろうか。

「監視する」はずのカメラが逆に「見てくれ」と言わんばかりに突き出して、1箇所に何台も集中するカメラが生み出すその光景には、違和感を感じてならない。

どれも実際に設置されていたモノらしいのだが、注目したいのはその設置場所。最初の2枚はシドニーのボンダイ・ビーチの近くで、中2枚はプラハのヴルタヴァ川(モルダウ川)の目の前。そして最後の海の写真はデンマークのオーフスだ。

最初の2カ所は多くの人が知る有名な観光名所。3カ所目のオーフスは日本人には聞き慣れないかもしれないが、2017年の「欧州文化首都」に選ばれている街。つまりこの謎のカメラが置かれているのは、どれも人が集まる場所ばかり。

「監視社会」を表現するコンテンポラリーアート

カメラは、ただの防犯カメラではなくJakub Geltnerさんが仕掛けたアート作品だった。2011年から「Nest(巣)」と題してこれまで7カ所に分けて公開されてきたもので、現代の“監視社会”を表現しているのだという。

画像には写真を撮ったり不思議そうに見上げる人々が写っているが、観光や遊びなどの目的で訪れた場所にこんなものがあれば、そりゃ立ち止まらずにはいられなかっただろうなぁ。

カメラの向こう側にいる人間の存在も知ることなく、私達は普段からどれほど見られているのだろうか…。なんて、いろんな考えが頭を巡ってしまった。

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