素人の本気がここに詰まってる!タイのロケット打ち上げ祭り「ブン・バンファイ」
タイの有名なお祭りと言えば、旧正月をお祝いする「ソンクラーン(水かけ祭り)」や、夜空に浮かぶランタンが美しい「コムローイ」が挙げられますが、タイには他にも知られざる楽しいお祭があります。
今回は、タイ国内では有名ですが日本人観光客にはあまり知られていない、マニアックで少々クレイジーなお祭り「ブン・バンファイ(ロケット祭り)」についてご紹介します。
※当記事内に屋台で食べられる虫の写真が登場します。苦手な方はご遠慮下さい。
ロケットをぶっ飛ばす!タイのお祭り「ブン・バンファイ」とは
photo by SHIHO
「ブン・バンファイ」とはタイ東北部(イサーン地方)で毎年開催される、雨乞いを祈願するお祭りです。地元の人達が作った手作りの竹のロケットを打ち上げ、ロケットが空高く上がれば、雨に恵まれ五穀豊穣になると言われています。
ここで間違ってはいけないのは、ロケット「花火」ではなく「ロケット」だということ。全長何メートルもある巨大なロケットが打ち上がる様子は、圧巻です。真っ白な煙と轟音に包まれ、空の彼方へと飛んでいくロケットをこれほど近くで見られるのも海外ならでは。
しかも、それが素人の手作りだという、なかなかスリリングでクレイジーなお祭りなのです。
ブン・バンファイは一ヶ所ではなく、タイ東北部の町や村数ヶ所で開催されます。中でも一番規模が大きいのが「ヤソートーン県」で開催されるもの。
ヤソートンは、ビジネスホテルかろうじてあるものの、バックパッカーが泊まるようなゲストハウスなどは無く、普段外国人観光客は訪れないような小さな田舎町です。英語もほとんど通じず苦労しましたが、その分地元の人に沢山助けてもらい、非常にいい経験となりました。
ブン・バンファイに行くならホテルは事前に予約しよう
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ブン・バンファイ初日に、無事会場であるヤソートーンに入ることが出来たのは良かったのですが、あまり情報が無かったため、そんなに人が多くは無いだろうと思っていました。
思った通り、ヤソートーンにあるホテルは数える程度。しかし、タイ東北部の人にとって、このお祭りは年に一度の大きなイベントなので、その数少ないホテルはどこも満室だったのです。
私が途方に暮れていると、バスターミナルにいた親切なおじさんが、タイ語が出来ない私の代わりに片っ端からホテルに電話をかけて、何とか空いているホテルを見つけ出してくれました。
そのホテルは大通りから細道に入り、少し隠れるように建っており、敷地内に車一台分の小さな駐車場が数ヶ所並んでいました。それぞれの駐車場一つにつき、ホテル内へと入る扉が一つずつ備えられています。
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その扉を開けると、受付や廊下などは無く、いきなり寝室。コンクリートがむき出しの牢獄のような部屋の真ん中には、ダブルベッドがひとつ、ぽつんとあるだけで、何とも田舎のラブホ感が否めないモーテルでした。
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ホテル従業員に話を聞いたところ、ここに泊まった日本人は私が初めてだということ。そりゃそうだ……。お祭り期間中のホテルは満室気味なので、宿難民にならないようにしっかり予約して行きましょう。
ロケット打ち上げそっちのけ?とにかく踊って飲みまくれ!
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ブン・バンファイは3日間にわたって開催され、ロケットを打ち上げるのはお祭り最終日。その前日と前々日は近隣の町村や、学校や病院などのグループによる趣向を凝らしたパレードが行われる、いわば前夜祭となっています。
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豪華な山車や、伝統的な民族衣装を着た美しいタイ人女性も見られるので、前夜祭から行くことを強くおすすめします!
私は偶然、タイで働く日本人グループと知り合い、このパレードに飛び入り参加することが出来ました。見よう見まねでダンスを踊っていたのですが、現地の人はみんなビールを片手に持ち、すれ違いざまに「飲め!飲め!」と勧めてくるのです。
これはもう「ビール飲ませ祭り」と言っても過言ではないかと思うほど。みんな明日が本番なのに大丈夫?と心配になります。
ブン・バンファイの目玉!ロケット発射ー!
お祭り最終日、いよいよ待ちに待ったロケット祭りが開催されます。
人混みを掻き分け、ロケットを打ち上げる広場に向かう途中、ロケットのメンテナンスをしているようなグループを沢山見かけました。
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手作りのロケットは、全長は長いものだと10メートル近くもあるので、男性数人がかりでエッサエッサと運びます。
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広場に着くと、高さの違う発射台が6台ほどあり、まさに今、発射台の一つにロケットがセットされている最中。
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ロケットのセットが完了したら、いよいよ着火!
ゴゴゴゴゴ……
轟音と、真っ白な煙を吹きながらロケットは空の彼方へ!
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その轟音と規模の大きさに爆笑!この時の動画があるので、ぜひ見てください。
審査方法が謎ですが、高く遠く飛ぶことを競っているらしく、ロケットを打ち上げたグループは、サッカーの試合で逆転ゴールを決めたかのように、仲間に飛びついて喜んでいたり、かと思えば残念そうに落ち込んでいるグループもいたり……。とにかく、それぞれが一喜一憂しています。
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ごく稀にロケット発射前の ロケット「花火」が、観客の方へ飛んで来る場合もあるので、まぁまぁスリリング!
ローカル感あふれる屋台も楽しい!虫も食べられるよ
お祭り会場には簡単な揚げ物等のスナックから果物まで、沢山の出店が並びます。カラッと揚がって、いい色に色づいているのは、美味しそうな……?昆虫たち。
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バンコクのカオサンなどでは、面白見たさの観光客用に売られている食用の昆虫ですが、地元の人達にとってはもちろんゲテモノ類には入らず、私達がおつまみでピーナッツを食べているような感覚でしょう。
ここの虫屋台では、ハチやイナゴのような虫からタガメのような虫まで取り揃えられ、注文するとビニール袋にガサッと入れて渡されます。
私が若干引いていると、それを買った地元の人が半ば強引に「美味しいから食べなよ!」と勧めてきたので少し貰って食べてみました。パリパリしていて食感は悪くなかったので、意外と食べられるものです。しかし、自分から進んで買おうという気にはなりませんでした。
こちらは日本ではまず食べることがない、蓮の実。
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まるでナウシカに出てくるオウムのようで、全く食欲をそそりません。味はというと、見た目ほど渋さは無く、柔らかい豆のようでした。美味し……くはありません。
このお祭りならではの、手作りのロケット花火も売られていました。
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かわいい子ゾウにエサをあげることもできますよ。
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ブン・バンファイ概要(期間・アクセスなど)
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ブン・バンファイは当日現地にさえ行けば、誰でも無料で観ることができるお祭りです。
ロケット作りや打ち上げには参加できませんが、パレード参加者と仲良くなれれば、パレードに飛び入り参加できる可能性もあります。
お祭りはタイ東北部各所で開催されますが、以下詳細情報は、今回ご紹介した一番規模の大きなヤソートーンで行われるものを記載しています。
・開催場所:ヤソートーン,パヤーテーン公園
・アクセス:バンコクからヤソートーンまではバスで8~9時間。飛行機で行く場合は、ドンムアン空港からウボンラチャタニ空港まで約1時間、そこからヤソートーンまでバスで約2時間。
・開催時期:毎年陰暦6月(現暦5月頃)
・開催期間:2日~3日間
・入場料:無料
・公式サイトURL:タイ国政府観光庁公式サイト
ブン・バンファイ参加の際の5つの注意事項
photo by SHIHO 「DANGER」これより先は立入禁止
誰でも観ることが出来るお祭りですが、少し特殊なので、以下注意事項を守ってトラブルにならないように楽しみましょう。
ロケットは神様に捧げる神聖なもの
地元の人に、特に女性はロケットには触れてはいけないと言われました。うっかり触れないように、気をつけましょう。
暴発注意!ロケット発射台には近寄らないように
過去ロケットが倒れて死傷者の出る事故もあったそうです。近年は無いそうですが、発射前に打ち上げたりするロケット「花火」は、うっかり観客目掛けて飛んでくることもあるので、「DANGER」と書かれている看板より中は入らないようにしましょう。
汚れてもいい服装で楽しもう
ヤソートーンのお祭り会場の広場は、周辺が沼地のようになっています。歩く場所も舗装されていない場所が多く、泥溜まりがあったりもするので、Tシャツやスニーカー等、動きやすく汚れてもいい服装で参加しましょう。
暑さ対策を忘れずに
お祭りが開催される時期は雨季に入る前ですが、まだまだ暑いです。会場には飲み物も売っていますが、人も多く出店も沢山あるので、探す手間を考えれば事前に用意しておく方が無難です。
ロケットを観る場所は日が避けられる場所もあまり無いので、帽子や日焼け止めなど、日焼け防止も忘れずに。蚊等の虫はあまりいなかったように思いますが、一応虫除けスプレーもあった方がいいかもしれません。
防犯対策をしっかりと
お祭り期間中は飲酒している人が非常に多いです。基本的には治安がいい町ですが、夜は人通りの少ない場所には一人で出歩かないようにしましょう。
パレード、打ち上げ会場共に人が多く大変混雑するので、スリなどの被害にあわないためにも、荷物の管理はしっかりと、ポケットに物を入れるのは厳禁です。
ローカル感満載で大満足!「ブン・バンファイ」
photo by SHIHO
ブン・バンファイは、まだまだ外国人観光客よりも、地元の人で賑わうお祭りです。
タイを初めて旅行する方も、何度も訪れたことがある方も、もっと地元に密着したお祭りを見てみたい、という方には、ローカル感満載のブン・バンファイは非常におすすめです!
手作りロケットを発射する場面を間近で見ることもなかなか無いでしょうし、何よりそれに一喜一憂する地元の人達と交流するのも楽しみの一つ。
今回ご紹介したヤソートーンという町は、埼玉県秩父市と姉妹都市提携を結んでいるためか親日的な方が多く、旅もしやすいと感じました。
もっとタイを知りたい方、ちょっと変わったお祭りに行きたい方、ぜひブン・バンファイに行ってみましょう!