「とにかく、どこかに行きたい」。そんな思いを持ち続け、留学を決意した。少しでもコストを抑えよう、と選んだのがフィリピン。不安を抱えたまま始まった、フィリピンでの生活。それでも、日本にいたら気づけなかったことを、たくさん気づかせてくれた。

私は、フィリピンで人生の旅の第一歩を歩み出したのだ。

あんなに悩んで入った大学なのに「辞めたい」と思いながら通っていた。

私は、普通とは少し違う夜間大学に通う大学生。ターニングポイントになったのは、高校卒業後の進路だった。海外に興味があり、国際関係の勉強をしたいと思っていたが、家庭の事情で大学に行くかどうか迷っていた。

ギリギリまで悩んだ末、自分で働きながら勉強もできる、夜間の大学を選んだ。昼は働き、夜学校に行く、その繰り返し。だけど特別のことは何ひとつなく、そんな日々に面白さを見いだすこともできず、なあなあに過ごしていた。

あんなに悩んで入った大学なのに「辞めたい」と思いながら通っていた。きっと、私のような大学生は多いだろう。

「留学したい」と漠然と思っていたけど、留学後のことは何もかも未定。そんな中途半端な気持ちで行ってもしょうがないと思ったし、資金も十分ではなく、「どこかに行きたい、何かをしたい!」と思いながらも、なかなかその一歩が踏み出せずにいた。

ただ海外に興味があるだけで、具体的に行動することもなく、ただ気持ちだけだった。

直感で「今だ」と思った私は留学を決意し、休学した。

大学3年生のとき、留学の費用を貯めるために、夜間の学生だからこそできるアルバイトはないかと探し、大手企業のアルバイトを始め、ほとんど会社員と変わらないような時間を働き、その仕事を1年間続けた。

そして大学4年に上がった今年の春、そのアルバイトを辞めると同時に、直感で「今だ」と思った私は、留学を決意し、大学を休学した。

アメリカでもなければ、カナダでもなく、イギリスでもない。私が選んだのはフィリピンだった。

理由は、費用が安いから。いたってシンプルな理由だ。訪れる前の印象は、きっと他の人と変わらない。

「安全なの? 発展途上国だよね? 暮らしていけるの?」

でも、実際に住んで生活していくうちにそんなイメージは変わった。「もっとここに住んでみたい」とも思った。

私はいま、留学中にインターンを決め、フィリピンに来て半年以上になる。

不自由さのなかに感じた「小さな幸せ」

フィリピンに着いたとき、最初はやはりショックを受けた。深夜になっても子どもが外で遊んでいたり、道路がちゃんと整備されていなかったり、日本とは全然違う風景・空気・人。

私は一度、シャワーなし・お湯なし・エアコンなしの環境で1週間ほど暮らしていたことがある。

夜暑くて何度も起きてしまい、しっかりと寝られないことが一番つらかった。でも慣れていくうちに、汗だくで起きて、朝に水を浴びるのが気持ち良かった。

少しの不自由さが楽しく、その小さな気持ち良さに「幸せ」を感じた。

日本の環境に慣れきっていた私は、自分がいかに快適な生活をしていたのかを思い知らされる毎日だった。

悩みがあっても「ハハハ~!」と笑い飛ばす。

そんな「」で暮らす人々がどんな性格なのか、私は知らなかった。語学学校で初めて彼らと触れ合い、その性格を知っていった。

思っていることは素直に表現し、自分のことを愛していて、悩みがあっても笑い飛ばす。私はそんなフィリピン人が好きになった。

私はというと、周りのことを気にして行動できなかったり、考え過ぎて何もできなかったりで、そんなところに窮屈さを感じていたのかもしれない。

彼らといると、自分も自然と素直になってきて、私にとってはそれがとても心地良かった。

自分の悩みなんてちっぽけだと感じたし「やろうと思えば何でもできる」と、ポジティブになれた。

苦しいこと、悩むことはもちろんあって、人生いつでも楽しいわけではない。でも、彼らは笑顔を忘れない。

とにかく、人生を楽しんでいる。

まだまだ旅のスタートラインに立ったばかり。

フィリピンから始まった、旅の第一歩。

すべてが新しく新鮮で、それは私が求めていた「刺激」だった。

日本にいたら周りにばかり目がいって、気づけなかった自分自身の気持ちに、気づかせてくれた。興味のあること、必要なこと。「これから」を考え直すきっかけになった。

未だに自分の将来のことはわからないけど、人生は自分の力でどうにかできる。

「資金もないし自分には無理だ」「自分が留学して何になるんだろう」「海外に出て何がしたいんだろう」

と考えていた半年前。

でも今は、自分の好きなことに近づけている気がする。いつだって道を切り開くのは、自分自身だ。

行動すれば何かに繋がり、すべてが自分の糧になり、自信になり、原動力になる。

先を恐れず、自分の素直な気持ちに従って動いてみたら、きっと何かが見えてくる。彼らのように、きっともっと自分も生き生きできるはず。

フィリピンで海外生活の一歩を踏み出した私は、これからも走っていく。

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