【現地ルポ】日本人のルーツに想いを馳せる仮想体験を!国立科学博物館の大人気シアターに新映像登場
写真提供:国立科学博物館
イセ食品 THEATER36〇(シアター・サン・ロク・マル)とは?
2005年「愛・地球博」の長久手日本館で人気を博した「地球の部屋」が国立科学博物館に移設され、「THEATER36○(シアター・サン・ロク・マル)」として生まれ変わりました。実際の地球の100万分の1の大きさで、直径12.8mのドーム内側すべてがスクリーンになっています。
写真提供:国立科学博物館
映像は、その中のブリッジに立って体験。360°全方位に映像が映し出され、独特の浮遊感などが味わえる世界初のシアターです。これまでに制作した7本のオリジナル映像を組み合わせて上映しています。
通常は定員60名のシアター36〇ですが、2020年12月現在はソーシャルディスタンスを保つため、定員を20名に制限。その分、ゆったりと映像を楽しむことができます。
『3万年前の大航海 -ホモ・サピエンス日本上陸-』とは?
普通は科学者だけが味わえる謎解きのワクワク感を共に体験してもらいたい――。そんな想いから生まれた「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」。クラウドファンディングも利用し、日本、台湾の両国から約1億円もの支援を集めた、カハク(科学博物館)の新たな試みです。
『3万年前の大航海 -ホモ・サピエンス日本上陸-』はこのプロジェクトから誕生した新映像。さて、その大航海とは一体、どんなものだったのでしょうか?
海を越えてやってきた最初の日本列島人たちに想いを馳せる
3万5000年〜3万年前に突如として現れる琉球列島の遺跡は、人類の海洋進出が本格化し、遠い島へ航海して辿り着く技術が生まれたことを物語っているそうです。
プレス発表会資料より
私たち日本人の祖先が日本列島に渡ったルートとして想定されているのは、次の3つ。北海道ルート(2万5000年前)、対馬ルート(3万8000年前)、沖縄ルート(3万5000年前)です。
その中でも、世界最大の海流である黒潮が行く手を阻んでいた可能性の高い沖縄ルートは、おそらく最も難しい航海だったはず。今回の新映像は、この沖縄ルートに挑むプロジェクトなんです。
失敗続きだった実験航海
プロジェクトの説明をする海部氏
企画・監修者である海部陽介氏(東京大学総合研究博物館教授)によると、テスト航海は、失敗続きだったといいます。草舟を丸木舟に変更したり、航海ルートを見直したり。GPSはもちろん、帆もコンパスもない中で海を渡ることがいかに難しいか、痛感したそうです。と同時に、この漕ぎ手にしか見えない景色を、体験を、伝えたいと強く思ったのだそう。
いよいよ新映像を体験!
海部氏の説明を聞き、テンションの高まった筆者。実はカハクは幼少期から何度も訪れているものの、シアター36〇は初体験なんです。ワクワクしながらシアターへ向かいます。
巨大な朱色のドームを目の前にし、期待もさらにアップ。この球体の全面に映像が映し出されるんですね!
シアター内部。ブリッジに入り、奥へ詰めていきます。足下にはソーシャルディスタンスの目安となるテープが貼られています。
足元が透明板になっているところがあり、ちょっとスリルを感じますが、映像が上映されると全く怖くありませんでした。
さあ、いよいよスタートです! 今回は特別に撮影許可いただきましたが、普段は撮影禁止なのでご注意くださいね。
まずは航海ルートの説明から。360°全方位に地球や海など雄大な自然が映し出されると、その迫力がさらに増します。
GPSもコンパスもない中、星や風を頼りに新たな島を目指した私たちの祖先。雲が出れば星も見えなくなる中、3日間舟を漕ぎ続けなければいけません。力いっぱい漕いでいても波に流されることもあります。天候に邪魔されることもあります。果たして丸木舟は黒潮を越えることができたのでしょうか?プロジェクトは成功したのでしょうか?
答えは、実際にシアター36〇で確かめてみてくださいね。
想像力を働かせて楽しみたい
写真提供:国立科学博物館
今回の6分間の新映像は、ノンフィクションであるからこそ、事実としての強いメッセージを感じましたが、エンターテインメントとしては正直少し物足りなく感じました。
しかし、そこは大いなる想像力をもって楽しみたいところ。私たちのDNAに刻まれた、祖先のかすかな記憶が共鳴するかもしれない?自分の祖先は、北海道・対馬・沖縄どの渡来ルートで辿り着いたのだろう?そんなふうに、色々と想いを巡らせながら、この壮大なプロジェクトをたくさんの日本人に味わってもらいたい。そう思いました。
私たちの祖先はなぜ日本列島を目指したのか
なぜ目指したのか。それはわかっていません。どうやって来たのか。それもわかっていません。わかっているのは、祖先が移住に成功したということです。
台湾の山に登ると、はるか海の彼方に、与那国島が見えることがあるそうです。「そこに山があるから」と同じ理由で、「そこに島があるから」私たちの祖先は、航海に挑んだのかもしれません。たとえもう、故郷に戻ってこれないとしても・・・。
シアター36〇の新映像を体験して、ぜひ、私たちの祖先の気持ちに想いを馳せてみてください。
そして人生に、旅心を。
住所:東京都台東区上野公園 7-20
問い合わせ:ハローダイヤル 03-5777-8600
開館時間:通常 9:00~17:00(入館は16:30まで)、金・土 9:00~18:00(入館は17:30まで)
※当面の間、夜間開館(金曜日・土曜日 17:00~20:00)は休止いたします。
※夏季およびゴールデンウィーク期間中は延長することがあります。
※特別展について、金・土曜日の開館時間は展覧会ごとに異なりますのでご注意ください。
※2020年6月1日入館より、有料・無料の方すべてのお客様を対象に事前予約をお願いしています。
無料入館の方はご来館時に上記の証明書や会員証等をご提示ください。
詳細は「予約サイト」のウェブページをご覧ください。
https://www.kahaku.go.jp/news/2020/reservation/
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)、年末年始(12月28日~1月1日)
※特別展開催中は休館日が変更になることがあります。ご注意ください。
※近日(3カ月分)の休館日情報はこちらをご覧下さい。
入館料:常設展示 個人入館者 一般・大学生 630円、高校生(高等専門学校生含む)以下無料
https://www.kahaku.go.jp
シアター36〇について
上映時間:9:30(初回上映)~16:30(最終回上映)、金・土9:30(初回上映)~17:30(最終回上映)
※シアター36〇は常設チケットでご覧になれます(特別料金なし)
※月替わり上映のため、ホームページでスケジュールをご確認ください(本作は12月・1月に上映します)
※上映定員を20名に制限(平時は60名)
撮影協力:国立科学博物館
[Photos by Aya Yamaguchi]