島根県の世界遺産「石見銀山」で地底の旅へ
日本での知名度はあまりなかったものの、江戸時代後期、海外へ多く流出した銀貨の山地であり、世界的にも有数の銀産出を誇っていた石見銀山。
今では世界遺産に登録されすっかり有名になりました。銀を掘る作業は現在の私たちにはあまり馴染みのないもの。銀を掘るための坑道を進んで行けばちょっとした冒険気分を味わえます。
死ぬまでに一度は世界遺産石見銀山で地底の旅にでかけなくちゃ!
*編集部追記
2016年4月公開の記事に、新たに3つの項目を追加しました。
石見銀山に行ってみての感想
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島根県にある石見銀山は、2007年に世界遺産に登録されて以来、国内外から注目を集める人気の観光スポットです。自然と共生した鉱山運営を行っていた石見銀山は、現在でも自然環境を保護するため「歩く観光」を推奨しています。
私が石見銀山を訪れたのは秋で、銀山自体はもちろんのこと、その周辺にある歴史的な街並みや石窟である五百羅漢などの観光も合わせて楽しめました。
石見銀山では1715年に開発された坑道である「龍源寺間歩」を見学しましたが、内部はノミで掘った跡がそのままの状態で残っており、「ここで昔、日本人が銀を掘っていたんだ」と考えると感慨深い気持ちになりました。
石見銀山って何?
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石見銀山は島根県が誇る世界遺産で、戦国時代より銀が産出されていました。最も栄えた、江戸時代前期には、なんと世界の銀の1/3を日本が担い、その大部分をこの石見銀山が占めていました。
これなら、世界に与えた影響の大きさから、世界遺産に指定されるのも納得です。
坑道を歩こう!龍源寺間歩
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せっかく石見銀山に来たからには、まず行っておきたいのが、実際に銀を採掘していた坑道跡です。石見銀山ではこのような坑道を間歩と呼んでいました。いくつもの間歩がありますが、龍源寺間歩はその1/3を公開しており、排水のために縦横無尽に走る排水溝の跡や、壁面には実際に掘る時に使ったノミの跡が残っています。
掘り出した銀を最先端の技術で精錬した清水谷精錬所
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銀を掘り出しても不純物を取り除く作業が残っています。明治時代に入り、当時の最先端技術を駆使してつくられたのが、清水谷精錬所です。
結局、産出する銀の素質が悪く、一年ほどで閉鎖されてしまいますが、どのような施設で精錬されてたのかがわかると共に、廃墟っぽい雰囲気が栄枯盛衰、世の無情を表しているようで、独特の雰囲気を楽しめる場所です。
坑夫達の町、石銀集落跡
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昔の坑夫達が済んでいた銀山集落跡も見ておきたいものです。石見銀山のように、鉱物のとれる山には、山師と呼ばれる人たちが全国から集まり、集落を形成していました。中にはその土地に住み着く人も入れば、流れて行く人たちもいます。当時の集落跡を見て、彼らの生活に思いを馳せるのも、また石見銀山見学の醍醐味と言えるでしょう。
銀山師たちの守り神、佐毘売山神社
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銀山で働く人々の守り神であった、佐毘売山神社は、室町時代より鎮座していましたが、その名前の古さから古代出雲や物部氏との関連も思い起こさせる歴史ロマン溢れる神社でもあります。正式な記録では石見銀山の発見は鎌倉時代ですが、伝説めいたエピソードで彩られており、本当のところはわかりません。
島根は古代日本史、神話の世界の舞台でもあり、古くから細々と銀の産出が疑われていたのでは?と想像は膨らむばかりです。
石見銀山入り口、大森エリアの歴史的街並を楽しもう
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石見銀山の発展で栄えた江戸時代の商人の家屋が未だ残る大盛りエリア。石見銀山の入り口付近には、歴史情緒溢れる街並が依然残っています。お洒落なカフェや雑貨屋さんなども立ち並び、銀山散策のあと、ほっと一息つくのもよいですね。
大久保間歩
「大久保間歩」は、初代奉行の大久保長安の名から名付けられた、石見銀山最大級の間歩です。2017年度より、現在の公開区域150m からさらに15mほど奥にある「福石場」と呼ばれる地下採掘場跡まで広げて公開されています。
五百羅漢
左右の石窟の中に250体ずつ安置されている五百羅漢像は、石見銀山の石工技術をよく表しており、石造物文化を代表する貴重な信仰遺跡です。
羅漢像はすべて色鮮やかに塗りが施されており、泣いているもの、笑っているもの、天空を仰いでいるものなど、様々な表情を浮かべています。
まとめ
戦国時代から江戸時代にかけて、世界の銀産出を支えたといっても過言ではない、石見銀山。日本では多くの銀が流通していたことから、その重要性に長らく気づかれていませんでしたが、世界的には非常に大きな意味を持っていたため、世界遺産登録へとなりました。
世界に向けて日本が誇れる文化遺産の1つなのだから、死ぬまで一度は見てきたい場所の1つですね。