こんにちは、絶景ハンターのまゆみです。

多くの日本人にとって“神様”は、小さな頃から自分に寄り添ってくれる身近な存在でしょう。

そんな神様から生まれた神話ゆかりの地といえば、古代出雲をはじめ宮崎の高千穂や紀州の熊野などが有名ですが、神々による「国生み」から生まれた日本では、離島各地まで神話の世界が広がっています。

そのひとつが、長崎県の壱岐島(いきじま)。「神々の宿る島」とも称される壱岐島の神秘と絶景をめぐる旅をご紹介します。

「神々の宿る島」壱岐島とは

原の辻遺跡(壱岐島)
九州北部の玄界灘沖、対馬との間のちょうど中間に浮かんでいる、長崎・壱岐島。

東西14km、南北17km、周囲170kmほどの小さな島には、なんと150社以上もの神社が存在しています。

日本最古の歴史書である『古事記』では、神々による「国生み」において5番目に生まれた「伊伎島(いきじま)」として記されています。

男岳山頂からの眺め(壱岐島)

また、中国三国志時代の歴史書『魏志倭人伝』にも「一支国(いきこく)」として登場。かつては大陸との交易に欠かせない交通の要衝であり、さらには、長崎に存在する約450基の古墳のうち、約6割が壱岐島に位置しているなど、壱岐島は古代神話や古代日本にとってなくてはならない存在となっています。

古代神話が息づく神々の宿る島・壱岐島。神話に彩られた絶景の宝庫でもある壱岐島の魅力を探っていきましょう。

神話が息づくパワースポットの宝庫の壱岐島

島内に150社以上もの神社を有し、まさに「神々が宿る島」である壱岐島。
そのなかでも特におすすめしたい神社をご紹介します。

神秘のパワースポット「月讀神社」

月讀神社(壱岐島)
壱岐島には、「国幣中社(こくへいちゅうしゃ)」(かつての一宮に相当)に列格し、壱岐で唯一の官社となった「住吉神社」をはじめ、創建1300年を超える聖母宮(しょうもぐう)など由緒正しき神社が数多く存在します。そのなかでもまず注目したいのが、「月讀神社(つきよみじんじゃ)」です。

御祭神である月讀尊(つくよみのみこと)は、日本の国生みの神、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の間に産まれた三貴神の一人で、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の次に産まれた弟神とされています。

その名の通り、月を司り、暦や潮の干満に関係することから航海安全や豊漁・五穀豊穣のほか、月と密接なつながりをもつ女性にありがたいご神徳があるのだとか。

創建は古墳時代に遡る西暦478年とされ、全国の月讀神社の総社(元宮)と位置付けられています。

この月讀神社そのものもとても魅力的なのですが、さらに興味深かったのは本堂裏手にある地神(土地を守る神様)。強烈な霊力を放っているとされ、全国から多くの霊能者などが参拝に訪れるのだそう。

霊感のない筆者ですら自然と鳥肌が立ちました。ぜひ参拝してみてくださいね。

■詳細情報
・名称:月讀神社
・住所:長崎県壱岐市芦辺町国分東触464番地
・地図: ・アクセス:芦辺港から車約で10分、郷ノ浦港・印通寺港から車で約20分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10100

300体もの猿が集結!「男嶽神社」

男岳神社(壱岐島)
次にご紹介するのは、壱岐島北東部に位置する「男嶽神社(おんだけじんじゃ)」。

明治時代までは山そのものが御神体として崇められ、一般の入山が固く禁じられていた御神域です。“導きの神様”といわれる猿田彦大神を御祭神とし、それにちなんで石造りの猿が300体以上も奉納されています。個性豊かな三猿やさまざまな表情の苔むした猿が一堂に会する境内は必見。

また、拝殿裏に祀られた御神体の岩にはふしぎな磁場がはたらいており、コンパスの針があらぬ方向を示すことで有名で、近年、パワースポットとして注目されています。

ちなみに、男嶽神社の向かいにそびえる女岳山、そこに祀られた女嶽(めんだけ)神社と合わせて参拝すれば良縁に恵まれるのだそう。ぜひお試しあれ!

■詳細情報
・名称:男嶽神社
・住所:長崎県壱岐市芦辺町箱崎本村触1678番地
・地図: ・アクセス:芦辺港から車で約15分、郷ノ浦港から車で約35分、印通寺港から約30分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10098

壱岐のモン・サン・ミッシェル「小島神社」

小島神社(壱岐島)
次にご紹介するのは、壱岐最大の神秘のパワースポットともいえる「小島神社」。

小島神社については、別記事「長崎に2つのモン・サン・ミッシェル!?壱岐島と五島列島・前島のトンボロ」で詳しく取り上げているのでご参照ください。

潮の干満で幻の参道があらわれ、「壱岐のモン・サン・ミッシェル」とも称される壱岐島随一の人気スポットです。参道の出現を見逃さないよう、事前の潮位表チェックをお忘れなく。

■(参考)気象庁潮位表はこちら

■詳細情報
・名称:小島神社
・住所:長崎県壱岐市芦辺町諸吉ニ亦触1969番地
・地図: ・アクセス:芦辺港から車で7分、郷ノ浦港から車で約25分、印通寺港から車で約20分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10092

圧倒的なエメラルドグリーンをたたえる壱岐の海

さて、次は海の絶景スポットをご紹介。じつは美しい海が自慢でもある壱岐島。
時間帯によって違った表情を見せてくれるので、こちらも必見ですよ♪

壱岐随一のエメラルドグリーン!「辰ノ島」

辰の島遊覧船(壱岐島)
エメラルドグリーンをたたえる海の代表格ともいえるのが、壱岐島最北端に浮かぶ無人島「辰ノ島」。

白砂のビーチに遠浅の透明な海が広がり、環境省の「日本の快水浴場百選」にも選ばれるほど。また玄界灘の荒波が削り出した断崖絶壁の奇岩奇勝も圧巻です。

辰ノ島へ渡るには、3月から11月の間に催行される観光遊覧船を利用する必要があります(シーズン外は要予約)。シーズン中は1日6便運行で、7月中旬~8月末の夏期シーズンは一日12便まで増便されます。

遊覧クルージングと海水浴のセットを選べば、一日中海を満喫できますよ。

■詳細情報
・名称:辰の島遊覧船
・住所:長崎県壱岐市勝本町勝本浦575-61
・地図: ・アクセス:芦辺港から車で約20分、郷ノ浦港・印通寺港から車で約30分
・辰の島遊覧・渡船公式サイト:https://www.kankai.net/jf-k/page/tosen.htm

白砂青松の絶景ビーチ「筒城浜海水浴場」

筒城浜海水浴場(壱岐島)
こちらは壱岐島随一のビーチといわれる「筒城浜(つつきはま)海水浴場」。全長約600mにわたる白砂青松の美しいビーチは「日本の快水浴場100選」や「日本の渚100選」に選ばれています。

夏には海の家もオープンし、BBQやさまざまなマリンアクティビティが楽しめる人気ビーチリゾートとしてにぎわいます。

■詳細情報
・名称:筒城浜海水浴場
・住所:長崎県壱岐市石田町筒城東触1916-1
・地図: ・アクセス:印通寺港から車で約10分、郷ノ浦港・芦辺港から車で約20分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10095

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個性豊かな奇岩奇勝の宝庫

ほかにも壱岐島の絶景として見逃せないのが、個性豊かな奇岩奇勝。まさに神様のいたずらのような自然の造形美です。

まるで猿の横顔!?「猿岩」

猿岩(壱岐島)
壱岐島でもっとも人気の高い奇岩が、壱岐島北西部、黒崎半島の先端に存在する高さ約45mの「猿岩」。この岩は、壱岐島が流されてしまわないよう神様が建てた「八本柱」の一つであるという伝承が残されています。

見れば見るほど、確かに猿(というかエネゴリくん)の横顔そっくり。夕暮れ時のシルエットもおすすめです。

■詳細情報
・名称:猿岩
・住所:長崎県壱岐市郷ノ浦町新田触870番地
・地図: ・アクセス:郷ノ浦港から車で約20分、芦辺港から約25分、印通寺港から車で約30分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10093

断崖絶壁の奇勝「左京鼻」

左京鼻(壱岐島)
壱岐島東部に突き出た八幡半島。その先端に位置するのが「左京鼻(さきょうばな)」です。

約1kmにわたる断崖絶壁の海岸線、眼下に広がるマリンブルーの海と緑の芝のコントラストは、壱岐島きっての景勝地ともいわれています。

沖合にそびえる指を立てたような突き出た奇岩は「観音岩」と呼ばれ、この岩もまた、島が流されないよう神様が打ち付けた「八本柱」のひとつとの言い伝えがあるのだそう。

■詳細情報
・名称:左京鼻
・住所:長崎県壱岐市芦辺町諸吉本村触1512番地
・地図: ・アクセス:芦辺港から車で約15分、郷ノ浦港から車で約25分、印通寺港から車で約20分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10103

壱岐に伝わる「鬼ヶ島」ゆかりの絶景スポット

桃太郎でおなじみの鬼ヶ島伝説。

実は壱岐島にも鬼にまつわる伝説やスポットが数多く残されています。今回はそのいくつかをご紹介します。

壱岐の鬼伝説が描かれた「鬼凧」

鬼凧(壱岐島)
昔々、たくさんの鬼が壱岐島に棲み着き、島民に対して悪事を働いていました。ある日、豊後国(現在の大分県)から武者の百合若大臣が鬼退治に派遣され、鬼を殲滅します。

そして、最後に討ち取った鬼の首領「悪毒王」の首が百合若大臣の兜に噛みき、最後命果てた……という話が鬼ヶ島伝説なのだとか。

その百合若の勇姿をモチーフにしたのが、今に受け継がれる壱岐島伝統工芸の「鬼凧(おんだこ)」。家内安全、無病息災などの魔除けとして飾られるほか、祝い事などでも鬼凧を上げる風習があるのだそう。壱岐島のシンボル的存在で、町のいたるところに飾られていますし、土産物店でも購入できますよ。

鬼がつけた巨大な穴「鬼の足跡」

鬼の足跡(壱岐島)
そして、鬼にゆかりのある代表的なスポットが、この「鬼の足跡」。

壱岐島西端、牧崎園地の先端に存在する「鬼の足跡」は周囲110mの海蝕による大穴で、大鬼が鯨を捕まえる際にふんばってつけた足跡といわれています。ちなみに、残るもう片方の足跡は辰ノ島の蛇ヶ谷にあるとされているそう。

他にも壱岐島には“鬼”と名のつく遺跡や古墳が存在するので、ぜひ鬼ヶ島伝説探訪もお楽しみください。

■詳細情報
・名称:鬼の足跡
・住所:長崎県壱岐市郷ノ浦町渡良東触1796番地
・地図: ・アクセス:郷ノ浦港から車で約15分、芦辺港から車で約30分、印通寺港から車で約25分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10110

まだまだ絶景スポットがいっぱい

壱岐島にはまだまだフォトジェニックな絶景スポットが盛りだくさん!最後に、おすすめスポットを2つご紹介します。

海を見つめる6体の海中地蔵「はらほげ地蔵」

ほらほげ地蔵(壱岐島)
こちらは、左京鼻の近く、八幡浦の海中に祀られた6体のお地蔵様「はらほげ地蔵」です。

八幡浦は海女さんの里としても知られ、海で遭難して亡くなった海女さんや鯨の供養などのために建てられたと伝えられており、「腹(はら)」に丸く「穴がえぐられ(ほげ)」ていることが名前の由来で、その穴に供物をお供えするそうです。

満潮時には胸まで海に水没してしまうはらほげ地蔵。かつて、陸(おか)に移動させたこともありますが、よくないことが起こり、結局海中に戻したという逸話が残っているそうです。

■詳細情報
・名称:はらほげ地蔵
・住所:長崎県壱岐市芦辺町諸吉本村触1342番地
・地図: ・アクセス:芦辺港から車で約10分、郷ノ浦港から約25分、印通寺港から車で約20分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10097

東洋一と謳われた「黒崎砲台跡」

黒崎砲台跡(壱岐島)
最後のおすすめスポットは、猿岩のすぐ近くに遺された戦争遺跡の「黒崎砲台跡」。

“射程距離と破壊力は東洋一”と謳われた巨大な砲台は、対馬海峡を通過する艦船を攻撃する目的で設置されたものですが、戦時中は試射1回を除き、結局実戦では一度も使われずに解体されたそう。

そんな砲台跡は、猿岩駐車場脇の売店「お猿のかご屋」裏手の遊歩道が展望台につながっており、巨大な穴を見下ろすことができます。

静かに朽ちていくふしぎなたたずまいのこの廃墟。ぜひ猿岩観光ついでに立ち寄ってみてくださいね。

■詳細情報
・名称:黒崎砲台跡
・住所:長崎県壱岐市郷ノ浦町新田触870番地
・地図: ・アクセス:郷ノ浦港から車で20分、芦辺港から車で約25分、印通寺港から車で約30分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10104

見どころいっぱい!壱岐島へ旅に出かけよう

いるかパーク(壱岐島)
まだまだ見どころ満載の壱岐島。

かわいいイルカと触れ合える「壱岐イルカパーク」はファミリーにもおすすめですし、太古の昔「一支国(いきこく)」と呼ばれた壱岐島の王都に特定された「原の辻遺跡」など、歴史好き・古墳好きにはたまらないスポットも目白押しです。

もちろん、美しい自然や海が生み出すウニや魚介、壱岐牛などといったご当地グルメも充実しています。

「神々の宿る島」壱岐島は魅力の宝庫。ぜひ次の旅では、玄界灘の離島へ遊びに行ってみませんか?

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