いながきの駄菓子屋探訪3-1吉川商店
金魚の工芸品が飾られた吉川商店の店内

斜里町の道の駅で一泊

知床を夕暮れ近くまで散策し、夕食をウトロで食べ終えると、夜のうちに斜里町まで移動して道の駅での1泊を試みます。ところがいざ着いてみると、斜里町の道の駅は駐車場がかなり小さく、釣り道具を積んだ車で埋め尽くされていました。運良く1台分だけ空いていたので停めることができ、無事就寝です。

駄菓子屋は基本的には学校から帰った後の子どもたちがメインのお客さんなので、午後から開けるというお店も多いもの。なので、早起きしての活動はあまり意味がないため、我々はほかの旅人よりも時間が後ろに倒れ気味になっています。逆に釣り人の皆さんの朝は早いらしく、8時半頃に目を覚ましたら、駐車場には我々の車しか停まっていませんでした(笑)。

情報収集のために道の駅から知床斜里の駅に向かっていたのですが、間違えて通り過ぎてしまいました。次の交差点で一旦右折して戻ろうとすると、息子が不意に「あれ駄菓子屋っぽくない?」と一言。
いながきの駄菓子屋探訪3-2吉川商店
色あせた看板のかかる吉川商店

交差点の角に、色あせた「吉川商店」という文字の看板がかかるお店。食料品・雑貨と書いてあるので、これは駄菓子屋と言うより商店っぽいなと思いましたが、お店に入るとなんと駄菓子屋でした。明確な目的地があって移動中だと、意識がそこへ向かっているのでいろいろ見逃してしまいがちなのですが、助手席の息子の超ファインプレーに感謝です。

なんでも扱う商店からおもちゃ屋、駄菓子屋へ

いながきの駄菓子屋探訪3-3吉川商店
店内には金魚の飾りのほか、「しれとこ斜里ねぷた」のポスターも

知床斜里駅のすぐそばにある吉川商店。元々は昭和43年開業の、なんでも扱ういわゆる「商店」だったそうです。その後、スーパーマーケットやコンビニができたことで差別化を図ろうと、おもちゃや文房具、駄菓子を中心に取り扱うようになり、現在は駄菓子屋として主に地元の子どもたちが利用しているとのこと。店内を彩る金魚の工芸品は、この街と青森県弘前市との交流から生まれた「しれとこ斜里ねぷた」という大きなお祭りで使うものだそうです。

「もう89歳と87歳(2020年現在)の夫婦だから、あとはのんびりゆっくりやりたいんですよ。知床が世界遺産になったけどちょっと距離があるし、斜里の駅が『知床斜里』って名前になったり、駅舎が新しくなったり、道の駅ができたりしてるけど、お客さんはそんなに変わりません。昔と比べたら子どもが減ったり、いろいろあったりするけど、ずっと変わらず、それなりに楽しくやってますよ」

知りうる限りでは、日本で一番北東にある専業の駄菓子屋さん。姿勢もシャッキリとしていらっしゃるし、ハキハキ話してくれるので年齢の話になった時は驚きました。ほかのお客さんも来たところで、駄菓子に加えて日に焼けたおもちゃや文房具も買わせてもらい「またこちら方面に来る時は必ず寄りますので、なにとぞお元気で」と挨拶してお店を後に。人の営みのすべてを承知しているかのような深い受け答えをしていただき、自営業の、やがては人生のエンディングとはなにかという、哲学に近いものを感じずにはいられませんでした。

いながきの駄菓子屋探訪3-4吉川商店
旅の途中に立ち寄った知床の「カムイワッカ湯の滝」

吉川商店
住所:北海道斜里郡斜里町港町15-3
電話:0152-23-3035
営業時間:9:30~18:00
不定休
[All photos by Atsushi Miyanaga]


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