くわしくかくとダメなきがする、ぐんまのはっちゃんの「500えんバイキング」
先に言っておきますと、この記事はいわゆる群馬県の観光ガイドの一環で書いています。でも、きっと、ガイドとしては不十分なんだと思います。それでもこの記事をガイドっぽく書きたくないのには理由があります。よく知らないでその場所に乗り込むからこそ“よさ”が引き立つスポットってあると思うんです。これからご紹介する「はっちゃんショップ」は、まさにそんな場所だと私は思ったんです。あと、ワケあって、これ以降は全部ひらがなで書きます。とても読みにくいものになると思うので、読むのがめんどくさいと思った方は、ぜひ飛ばして後半部分から読み始めてくださいね。漢字を混ぜた書き方で再掲しています。
しゅうしわらいがとまらなかった1どめのはっちゃん
さいきんすこしずつテレビにではじめているぐんまのはっちゃんこと、田村はつゑさん(83)。かのじょがいとなむバイキングやさん「はっちゃんショップ」にはしゅざいで2どいきました。
いりぐちはこんなかんじ。けっこうはいるのにゆうきがいりません?なんか、ちょっとシュールなかんじ。
システムはいたってシンプルで、りょうきん500えんのさきばらいせい。あとははっちゃんてづくりのごはんをすきなだけたべていいんです。メニューはひがわりでまいにち15しゅるいほど。にたまごがにんきなんだそうです。あ、ちなみに、おかねはおおくはらってもすくなくはらってもはっちゃんにげんつきバイクでおいかけられます。500えんキッカリがポイントです。
で、なつかしいかんじのごはんがとってもおいしいんですけど、しょうじきたべるのにぜんぜんしゅうちゅうできませんでした。なんでかって……?1どめのほうもんは、もうみせじまいがはじまったころでした。そのときいたおきゃくさんは、じょうれんさんのごきんじょマダムが3にんほど。そのマダムたちとはっちゃんのなにげないやりとりが、もうおもしろいことおもしろいこと。わだいはつきることがありません。ごきんじょゴシップからしもネタまでえんえん。そして、とつぜんはなしがふってくるからゆだんはできません(わらい)でもじょうだんぬきで、ずーーっときいていられるかんじ。じょうしゅうべんでしゃべるはっちゃんのキャラもいいかんじなんですけど、このおもしろさはまさにそうりょくせん!つたえるのがとってもむずかしいんですが、ひとついえるのは、そのへんのバラエティばんぐみよりずっとずっとおもしろいということ。そんなこんなで1じかん。4にんでいったのですが、かえりのくるまではみんながみんな「ヤバい……」としかはっせないくらいにはことばをうしなっていました。そのくらい、しょうげきてきなおもしろさだったってこと。
はっちゃんアゲイン。かんどうものがたりをきいた2どめのほうもん
2どめのほうもんはすこしゆっくりおはなしをききたくて、じぜんにおでんわしていきました(このひも、ゆかいなごきんじょマダムたちにあえました)。ここでしったのは、はっちゃんはおさないころからとてもくろうをしてきたということ。そして、そのけいけんがいまにたくさんいきているということ。はっちゃんがおみせをひらいたのは62さいのときでした。かけいをたすけるために10さいからはたらきにでたはっちゃんは、がっこうにいけず、こもり、さかなやさん、はたおりなど、たくさんのしごとをけいけんしました。まいにちひっしで、がんばりすぎてトイレでねむってしまったこともあったんだとか。ひっしにまいにちをすごしていくなかで、ずっとこころのなかであたためつづけていたおもいがありました。それは“しゅうがくりょこう”にいきたいということ。こそだてがひとだんらくした57さいのとき、はっちゃんはにほんいっしゅうをけついします。しかもげんつきバイクで。
おみせのかべのいたるところに、とうじのたのしそうな(そしてときどきふざけてはしゃいでいる)しゃしんがズラリ。
かべいちめんにはられたしゃしんやいまでもたいせつにとってあるスタンプちょうをみると、はっちゃんがどれだけだいじに“しゅうがくりょこう”をしてきたかをかんじとることができたようなきがします。きっと、ずっといだいていた、たのしい“しゅうがくりょこう”のゆめはかなったのではないでしょうか。
いまがいちばんしあわせだ。
これはちょっとゆうめいなはなしなんですが、「はっちゃんショップ」は、おきゃくさんがくればくるほどあかじなんだそう。たりないぶんはねんきんでほてんしている、とわらいながらおしえてくれました。でも、それでもおみせをあけつづけるりゆうは、むかし、ぜんこくのみなさんにやさしくしてもらったから。これはまさに“しゅうがくりょこう”のときのこと。やさしくこえをかけてもらったり、ときにはとめてもらったり。このときのおんがえしのつもりでやっているんだそうです。
「はっちゃんショップ」にはまいにちたくさんのひとがきます。けんがいからはもちろん、うわさをききつけてかいがいからやってくるひとも。じっさいにおじゃましたときもけんがいからのおきゃくさんがいらっしゃったのですが、2どしゅざいにいってきづいたことがあります。それは、2どとも、てんないにははっちゃんをちゅうしんとしたふしぎないったいかんがうまれていたということ。しゅっしんち、ねんれいかんけいなくそのばにいるぜんいんがおなじわだいにさんかするようなばめんがなんどかありました。まとまりかんとしては、おみせをでるひとが「またきます。みなさんもまたあいましょう」といってさっていくくらいには。「はっちゃんショップ」でどんなたのしさがまちうけているのかなんて、ほんとうにそのときになってみないとわかりません。ひによってでてくるごはんだってちがうし、ふんいきだってぜんぜんちがうとおもうんです。そういったいみでも、なにもがいねんをもたずにとびこんでみたほうがぜったいおもしろいとおもいます。
いまがいちばんたのしいよ。まいにちたくさんのひとがきてくれてしあわせだよ。
わらってそういったはっちゃんは、おもしろくてちょっとクレイジーで、とてもやさしさにあふれたおばあちゃんでした。
●あとがきはっちゃんは、記事について「好きに書いてくれたらいいよ」と言いました。「インターネットのことはわからないし、漢字読めないし」と。でも「最近はインターネットを見て来てくれる人が増えた」とも言っていました。もし、これを見て「はっちゃんショップ」に行ってくれた方がいたら、「インターネットでこんな記事を見つけました」と伝えてもらえるとうれしいです。
※以下、再掲
終始笑いが止まらなかった1度目のはっちゃん
最近少しずつテレビに出始めている群馬のはっちゃんこと、田村はつゑさん(83)。彼女が営むバイキング屋さん「はっちゃんショップ」には取材で2度行きました。
入り口はこんな感じ。結構入るのに勇気がいりません?なんか、ちょっとシュールな感じ。
システムはいたってシンプルで、料金500円の先払い制。あとははっちゃん手作りのごはんを好きなだけ食べていいんです。メニューは日替わりで毎日15種類ほど。煮卵が人気なんだそうです。あ、ちなみにお金は多く払っても少なく払ってもはっちゃんに原付バイクで追いかけられます。500円キッカリがポイントです。
で、懐かしい感じのごはんがとってもおいしいんですけど、正直食べるのにぜんぜん集中できませんでした。何でかって……?1度目の訪問は、もう店じまいが始まった頃でした。その時いたお客さんは、常連さんのご近所マダムが3人ほど。そのマダム達とはっちゃんの何気ないやりとりが、もうおもしろいことおもしろいこと。話題は尽きることがありません。ご近所ゴシップから下ネタまで延々。そして、突然話がふってくるから油断はできません(笑)でも冗談抜きで、ずーーっと聞いていられる感じ。上州弁で喋るはっちゃんのキャラもいい感じなんですけど、このおもしろさはまさに総力戦!伝えるのがとっても難しいんですが、ひとつ言えるのは、その辺のバラエティ番組よりずっとずっとおもしろいということ。そんなこんなで1時間。4人で行ったのですが、帰りの車ではみんながみんな「ヤバい……」としか発せないくらいには言葉を失っていました。そのくらい、衝撃的なおもしろさだったってこと。
はっちゃんアゲイン。感動物語を聞いた2度目の訪問
2度目の訪問は少しゆっくりお話を聞きたくて、事前にお電話して行きました(この日も、愉快なご近所マダム達に会えました)。ここで知ったのは、はっちゃんは幼い頃からとても苦労をしてきたということ。そして、その経験が今にたくさん生きているということ。はっちゃんがお店を開いたのは62歳の時でした。家計を助けるために10歳から働きに出たはっちゃんは、学校に行けず、子守、魚屋さん、機織りなど、たくさんの仕事を経験しました。毎日必死で、頑張りすぎてトイレで眠ってしまったこともあったんだとか。必死に毎日を過ごしていくなかで、ずっと心の中であたため続けていた想いがありました。それは“修学旅行”に行きたいということ。子育てがひと段落した57歳の時、はっちゃんは日本一周を決意します。しかも原付バイクで。
お店の壁の至るところに、当時の楽しそうな(そして時々ふざけてはしゃいでいる)写真がズラリ。
壁一面に貼られた写真や今でも大切にとってあるスタンプ帳を見ると、はっちゃんがどれだけ大事に“修学旅行”をしてきたかを感じとることができたような気がします。きっと、ずっと抱いていた、楽しい“修学旅行”の夢は叶ったのではないでしょうか。
今が一番幸せだ。
これはちょっと有名な話なんですが、「はっちゃんショップ」は、お客さんが来れば来るほど赤字なんだそう。足りない分は年金で補填している、と笑いながら教えてくれました。でも、それでもお店を開け続ける理由は、昔、全国のみなさんに優しくしてもらったから。これはまさに“修学旅行”の時のこと。優しく声をかけてもらったり、時には泊めてもらったり。この時の恩返しのつもりでやっているんだそうです。
「はっちゃんショップ」には毎日たくさんの人が来ます。県外からはもちろん、噂を聞きつけて海外からやってくる人も。実際にお邪魔した時も県外からのお客さんがいらっしゃったのですが、2度取材に行って気づいたことがあります。それは、2度とも、店内にははっちゃんを中心とした不思議な一体感が生まれていたということ。出身地、年齢関係なくその場にいる全員が同じ話題に参加するような場面が何度かありました。まとまり感としては、お店を出る人が「また来ます。みなさんもまた会いましょう」と言って去って行くくらいには。「はっちゃんショップ」でどんな楽しさが待ち受けているのかなんて、本当にその時になってみないとわかりません。日によって出てくるごはんだって違うし、雰囲気だって全然違うと思うんです。そういった意味でも、何も概念を持たずに飛び込んでみたほうが絶対おもしろいと思います。
今が一番楽しいよ。毎日たくさんの人が来てくれて幸せだよ。
笑ってそう言ったはっちゃんは、おもしろくてちょっとクレイジーで、とても優しさに溢れたおばあちゃんでした。
500円食べ放題バイキング50ccバイクで日本一周、上州おばさん おふくろの味「はっちゃんショップ」住所:群馬県桐生市相生町2町目1024-3TEL:0277-52-8346定休日:日曜日、祭日営業時間:11:30〜ごはんがなくなり次第終了駐車場:お店の前、ご近所と提携あり※人がいっぱいの時は相席を