海鮮のまち・宗像で味わった、ちょっと意外な「地元料理」
福岡県宗像市といえば、海鮮というイメージがありました。実際に行ってみても、海鮮がすごくおいしい土地であるのは間違いない事実。だけど、それゆえに、毎食が海鮮になりがちで、そして、気軽に食べられるので、お昼に食べがちだということに気がつきました。もちろん、昼も夜も海鮮尽くしというのも幸せな話です。でも「夜ご飯はちょっと違ったものも食べてみたい」という人がいたら、自信をもってオススメしたいのが「ムナカタ キュイジーヌ イシダ」です。
住宅街の中の隠れ家に
「ムナカタ キュイジーヌ イシダ」はシェフ一人ホール一人、ご夫婦で営むお店です。住宅街の中にあり、看板は特に出ていません。
「迷われませんでしたか?ひっそりやっているもので(笑)」
まず第一声に、奥さんがこうおっしゃるくらいには、結構な隠れ家度合いでした。google mapのナビにしたがって進んで行くと、黒い板塀の建物の横に到着しますが、そこが目的地で合っています。
店内は、とにかく可愛いです。壁に飾ってある動物のオブジェとか、要所要所のディスプレイとか、なんかもうそれだけで期待感が高まります(早い……笑)。
宗像の食材を、フレンチの技法で。
「その時期、その日においしいものを」ということでメニューは日替わり。取材当日(2月下旬)いただいたのはこちら、4500円のコース料理です。
【ドリンク】
「フランスロワール地方のスパークリング」
【アミューズ】
「ジビエのテリーヌ、キンカンのコンポートとリンゴを添えて」宗像でとれたイノシシとカモを使っているんだそうです。
【オードブル1】
「カワハギのタルタル」添えられているのは、カワハギの肝、つくしのマリネ、えび、紅大根に有機栽培の食用花、カラスミ。
【オードブル2】
「コウイカと温泉卵の料理」コウイカのボイルに、パルメザンチーズとエダムチーズ、カリフラワーのピューレ。
【パン】
お店で焼いている「全粒粉のパン」は好評なんだそうです。
【スープ】
「カブのスープ」上のほうはスチームミルクになっています。
【ドリンク】
次がお魚ということで、お魚に合う日本酒をお願いしたところ、こちらが。この日のお魚の味つけと相性がいいんだそうです。
【お魚】
「ヒラメのポワレ、イカスミのリゾット、菜の花を添えて」
【お肉(むなかた牛)】
「むなかた牛のランプ」お店の敷地内で育てたという新タマネギと一緒に。
【デザート】
「フキノトウのアイスクリーム、宗像産あまおうのスープ仕立て」
【お茶】
「ホワイトオーチャード(フレーバーティー)とチョコレートのテリーヌ」お茶は9種類から選ぶことができました。
言うまでもなく、どれもとてもおいしいです。でもそれは、写真から感じとっていただくとして。同じくらい印象に残ったのが、ご夫婦お二人の「真摯さ」でした。さかのぼること予約時、ご主人に苦手な食べ物などを丁寧にヒアリングしていただけました。「楽しみにしています」と話を終えると、「こちらこそ、楽しみにしております」と。そして当日、一品食べ終わるちょうどのタイミングで次の一品が出来立ての状態で出てくる感じとか。お二人の真摯さを感じる場面がたくさんあって、そのたびに密かに感動していました。
宗像の夜に最高の「ムナカタ料理」を
ご主人の石田さんは、宗像市のご出身。食べ物がおいしいことでも有名な福岡県・中央区のレストランに15年勤務ののち、約3年前に宗像でこのお店をオープンされました。ご主人の中で「最終的にお店を出すなら宗像で」というのは割りと昔からの決定事項だったそうで、理由もとてもシンプル。「宗像にはおいしいものがたくさんあるから」だそうです。毎日の仕入れはすぐ近くにある「道の駅むなかた」で。地元の旬がたくさん集まる場所でこそ、その日に最もおいしいものが手に入るというわけです。ちなみに、お店の名前にある「キュイジーヌ」は、「料理」や「料理法」とも表すフランス語ですが、このお店には、「台所」という意味が込められています。つまり、お店の名前は「宗像の台所」。宗像の恵みをたっぷり使ったコース料理は、まさにその土地を表現するものでした。最高の「ムナカタ料理」と丁寧なおもてなしで、ちょっと特別な夜を過ごすことができたのでした。
「munakata cuisine ishida(ムナカタ キュイジーヌ イシダ)」住所:福岡県宗像市神湊892-11TEL:0940-62-0277定休日:月曜日、第1・第3日曜日 ※祝日の場合は翌日が定休日営業時間:ランチ 11:30〜15:00(13:00os) ディナー 18:00〜22:00(20:00os)、 前日までの要予約■お料理はコースのみランチ 2500円、3500円、4500円ディナー 4500円〜※記事内【ドリンク】は別途料金※価格はすべて税別