「絶景が見られる火山トレッキング」と聞くと、装備や高度なスキルが必要な、ハードルが高いイメージがありませんか?実は、インドネシアにはブロモ山・イジェン山という、トレッキング装備なしで超絶景が見られる火山があります。

今回は、2泊3日で参加できるこのツアーに実際に参加してきた様子と感想をご紹介します。

 

ブロモ・イジェン火山ってどんな山?

photo by shutterstock

ブロモ・イジェン火山は、インドネシアのジャワ島東部にある2つの火山。大昔から頻繁に噴火している活火山で、「火の神がすむ聖なる山」として信仰の対象でもあります。

photo by shutterstock

イジェン火山は、世界でも珍しい硫黄炎「ブルーファイアー」が見られる場所として、全世界で850万人が購読する旅行・地理雑誌「ナショナルジオグラフィック」で取り上げられてから、さらに人気が高まっている火山です。

両山ともジャワ島の東に位置しますが、距離が離れているため、日を分けて訪れる2泊3日のツアー参加が一般的です。

 

 ブロモ・イジェンツアーに参加する方法

photo by satori

ブロモ・イジェンの2山をめぐるツアーの参加方法は、基本的にインドネシアで現地ツアーの申し込みです。

申し込める場所はバリ島またはジョグジャカルタ。火山トレッキングのみを目的とする場合、バリ島で申し込めるツアーは飛行機(1時間)と車(3時間)、料金はバリ発着から全て込みで5万円ほどです。

他のジャワ島観光地を巡るバックパッカーは、ジャワ島旅行の中心地であるジョグジャカルタで申し込みます。こちらは基本的に電車と車(計10時間)、ホテルも含めて1万円程度と安いです。

photo by shutterstock

今回、私たちはジョグジャカルタから申し込んだため、1日目は電車で10時間かけて、ブロモ山の麓に移動しました。ブロモ山の麓に到着した後はロッジに車で移動し、次の日の出発に備えます。

 

ブロモ山のサンライズスポットへはジープを利用

photo by satori

ツアーは朝3時に出発。写真のような6人乗りのジープで1時間ほど走り、プナンジャカン山という、ブロモ山が眺められるサンライズポイントへ向かいます。

頂上まで車で行けないため、最後の10分だけ登山します。この地点で標高は2,329m。ダウンコートを着ていても寒いです。

 

感動的なブロモ山のサンライズ

photo by satori

頂上に到着した後は、サンライズをしばらく待ちます。5:00頃に美しい朝日が地平線に浮かび上がりましたが、一帯はまだ暗いため、何も見えません。引き続き待つと……

photo by satori

山が現れました!写真も素晴らしいですが、実物はこの数倍は美しいです。あまりに感動しすぎて語彙が抜けてしまった友人と「すごくナショナルジオグラフィックじゃない!?」と謎の形容詞を使って会話してしまうほど。

興奮が落ち着くと、こんなにCGみたいな山が目の前に存在しているなんて「不思議な世界に生きてるなぁ」と、しみじみ感じることができました。

30分ほど絶景を堪能した後は、ジープに戻ります。私としては、この時点で満足度100パーセントでもう日本に帰ってもいい!というくらいの気持ちでしたが、ツアーはまだ始まったばかり。

 

ブロモ山の火口へは、乗馬で向かう

photo by satori

次はブロモ山の火口を見るため、先ほどのサンライズスポットからジープで30分、火山灰でできた砂漠に移動します。砂漠はなかなか歩きづらいため、交通手段は馬。

馬はガイド付きでゆっくり歩いてくれますが、高いのでなかなかの怖さです。慣れてくると、スマホを構える余裕が出てきます。

photo by satori

これは馬上からみた途中の風景。実は、朝見た景色の中心にあった、山がこちらです。近くで見ると山というより丘ですね。

もっと見る

煙を上げ続ける、大迫力のブロモ火口へ

photo by satori

火口に至る最後の道では、このような急勾配の階段を上ります。

photo by satori

階段を上りきると、目の前に現れたのは煙をモクモク上げている超巨大な火口!

こちらもあまりの大きさと雄大さに、再度語彙をなくしてしまい、「火口だ……」としか言えなくなっていました。この大きさ、写真ではとても伝えきれないのが惜しいです。

photo by shutterstock

上から見た図がこちら。大きさが伝わるでしょうか。この火口の縁(ヘリ)を歩いて一周できるそうですが、途中から手すりがなく、風も強くて怖いので挑戦する勇気はありませんでした。

ブロモ山はここで終了ですが、この時点でまだ朝の10時過ぎ。ロッジに戻った後、6時間ほどミニバスで移動します。移動時間がとにかく長く運転がハチャメチャなため、登山よりも移動がしんどいかもしれません。

 

イジェン火山への出発は深夜1時

photo by shutterstock

この日はなんと深夜1時に出発!辛いですが、ものすごく綺麗な星が見られるというメリットもあります。なぜこんなに早いかというと、青い炎は夜間しか見ることができない上、山頂までは2時間かかるから。

車でイジェン山の麓では、8人のパーティを組んだ後、ガスマスクが配られます。

ガイドからは「登山は2時間ほど。とにかくはぐれないこと、頂上付近は硫黄ガスが濃いので絶対にマスクをはずさないこと」と簡単な説明を受けます。一般人は硫黄ガスにより中毒になる危険性があるため、夜間のガイドなしで登山することはできません。

photo by shutterstock

登山は勾配がきつく、汗をかく運動強度でした。しかし、体力のない人向けに人力タクシー(手押し車)も用意されているという充実っぷり。現地の男性三人がかりで押し上げてくれます。値段は片道4,500円ほど。

真っ暗で星しか見えない中しばらく登り続けると、今度は崖を下ります。足元しか見えないので、下っているという実感しかありません。

しばらくして、ガイドが「着いたよ!ブルーファイアーだよ」と告げた地点で辺りを見渡します。いよいよブルーファイアーとの対面です。

 

苦労の果てにたどり着いたブルーファイアー。不運にもショボかった

photo by satori

これが私たちが目撃したブルーファイアーの無加工画像です。ものすごく小さいですね!

なんと、この日は運が悪くあまり見えない日だったそう。幻想的な景色が目的に登山を乗り切った部分があるので、非常に残念ですが自然相手のツアーなので仕方ないですね。

photo by shutterstock

参考にこちらは運がいい日の様子。日によっては、5メートルほど立ち昇る炎が見えるらしいです。見たかった!

 

炎が見えなくても、炎の綺麗な写真は手に入ります

photo by ガイドさん

しばらくすると、ガイドさんが全員のスマホを集めだしました。どうやら炎の至近距離まで行って、写真を撮ってきてくれるようです。なお、炎の近くは硫黄炎が強いため、一般人は近寄れません。

そして、ガイドさんに撮ってきてもらった写真がこちら。ものすごく綺麗ですね。うん、満足!サイズ感がわからないのが惜しいですが、幻想的な写真が手に入ったので少し救われました。

 

夜が明けてから姿を現した、イジェン火山の壮大なカルデラ湖

photo by satori

そのまましばらく夜が明けるのを待つと、目の前に大きなエメラルドグリーンの湖が現れました!もっと後ろに引いて見た図がこちら。

photo by shutterstock

この写真の、煙を上げている部分が先ほどまで私たちがブルーファイアーを見ていた地点です。

つまり、昨日のブロモ山では火口の縁から火口をのぞいていましたが、今日は私たちは火口の中にいます。火口の中に入るのは人生で初めての経験。気付いた瞬間、とても感動しました。

 

photo by satori

こちらの写真左端に並ぶ人を見ると、スケール感がわかるかと思います。私はてっきり、イジェン火山はブルーファイアーしか見所がないと思っていたのですが、こちらのカルデラ湖もブロモの壮大さに負けないほど、美しかったです。

景色を堪能した後は、眠い目をこすりながら山を下り、朝の9時にツアーが終了。

 

2日間にかけて火山をめぐるこのツアーでしたが、総括すると超大満足です。

移動時間がとても長かったり、気候に左右される部分はありますが、その苦労以上に景色が本当に素晴らしい!個人的感想ですが、人生で見た中で自然部門TOP5に入るほどの絶景だと感じました。

 

ブロモ・イジェンはまさに「ワンダフル」なインドネシア

photo by shutterstock

インドネシア観光省は現在、「ワンダフルインドネシア」というスローガンで観光PRを行なっています。

今まで「ワンダフルって漠然としていて、ピンとこないコピーだなぁ」と思っていましたが、ブロモ・イジェン火山を訪れてその評価はひっくり返りました。少なくともブロモ・イジェン火山は最高に「ワンダフル」です。

息を呑むような絶景が見たい!という方は、ぜひイジェン・ブロモ山に訪れてみてください。

もっと見る