北京で生活していると、日本人と中国人の考え方の違いに気づくことが多々ありますが、今回は“スキル”の話です。多くの中国人が絶対に日本人より高いスキルを持っているなあと、私が思っていることがひとつあります。

それは買い物スキル。

交渉しないと、店員さんは拍子抜け!?

北京に来た当初、私が買い物をしていると、よく中国人の友達に“見ていられない!”という顔をされたものです。

オレンジを手に取ると、“待って! オレンジ色に光るスプレーをしてあるよ。これは買わないで”。そう、中国では表面に発色をよくする薬品が塗布されているケースがあるんです。日本ではありえないので注意もしませんでした。

卵を手に取ると、“中国では一ヶ月前の卵も常温で売られていることがあるから、産らん日は必ずチェックして!”。これもショック。生卵を食べる習慣のない中国では、これも常識。

オリーブオイルを手に取ると、“バーコードはチェックした? イタリア風にパッケージされていても、バーコードの最初が「60」の商品はすべて中国産だからね”。ゲッ、完全にイタリア製だと思ってました……。

イチゴを手に取ると、“ちょっと待って。オバサン、ひとつ試食させて”。真っ赤で甘そうなイチゴですが、口に入れると砂糖の味が! 酸っぱいイチゴに砂糖水を注射して売るっていうのも、コチラではベタな話なんです。

オーガニック野菜なら大丈夫だろうと、手に取ってみると、“私なら信用しないな〜。パッケージだけだと思うよ。それよりコッチの市場直送のヤツがいいと思う。ウチはずっとこれを食べてる”えー、オーガニックって書いてあるのに。どうやって見分けるの?

食べ物以外でも。

“このブランドは、高いだけ。品質が伴ってないから損だよ”

“このアンティーク、買うの待って。今ネットで調べてあげる。ダメッ! ネットのほうが安い。多分、ネットで仕入れて売ってるだけだよ”

お店の言い値で洋服を買おうとすると、“半額から交渉して!”と大胆な値引き交渉。最終的に3割引きに。安く買えて喜んでいる私に、“定価は高く設定しているもの。交渉しないなんて、店員さんのほうがビックリするよ”と一言。

お会計の際に、“たくさん買ったから、オマケして”とか“ここが少し汚れてるんだけど、オマケして”と付け加えることも、珍しくありません。

支払った後も必ずレジの打ち間違えがないかレシートをチェックするのも中国では当たり前です。

もちろん、大きなショッピングモールやグローバル企業の路面店などはこの限りではありませんし、交渉が必要な店や市場は急速に北京の中心部から消えていっていると感じます。それでも、食品などを中心に買い物の際にチェックすべきことのリストは日本より多いのが事実ですね。

買い物スキルは上がったけれど……。

中国はこれだから注意……と言いたいわけではありません。注目すべきは、買い手側のスキル、とくに中国人の女性のスキルには脱帽です。

細部まで商品を吟味し、値引き交渉。不明な点があれば質問したり、指摘したりすることに躊躇がありません。

中国人の友達に言わせれば、彼らにとって価値ある買い物をすることや値引き交渉がスマートにできることは、教養の一部とみなされているそう。知性の象徴なんですね。

彼らに言わせれば、“日本人は、手に取ったものをパッと値札通りの価格で買って、レシートチェックもしない。中国人がもしそれをやったら、その人は頭が悪い、ということになりかねない”そうです。

買い物は、売り手と買い手の戦いの場。敗者に同情なし!というのが基本のようです。

これって、昨今のグローバルな世の中では結構必要なスキルなんじゃないかなあと思うのですが、いかがでしょう? オレンジ1個買うにも毎日意識している人と、意識しないで買う人。ビジネスになった時には大きな差が生まれそうです。

というわけで、私も奮起して、入念に商品をチェック。慣れない値引き交渉にも挑戦するようになりました(中国生活の中で、ですけど)。

努力の甲斐あって買い物スキルは上がりましたが、ひとつ問題が……

毎回買い物が疲れる疲れる。勝者もヘトヘトです。

それを中国人の友人に話したところ、“だよねえ〜。私はよく日本に行くからわかるよ。日本で買い物をするのは本当に快適! 価格は適正で必ず価値あるものが買えるもんね。中国でも若い人は、いちいち交渉とかするのに疲れて、もっぱらネットショッピングで済ましているみたい”とのこと。

中国でネットショッピングが盛んなのは、リアルショッピングが大変だからっていうのも関係しているかもしれませんね。

ただし、以前も書きましたが、場をwebに変えても中国の買い物の大変さは芸術の域なんですけどね。そちらも併せてご覧ください!

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