こんにちは!ライターのSaitoです。

今回は青森県の東側・南部地方で体験できる、近畿ツーリストの「グリーン・ツーリズムツアー」に参加してきましたので、その様子をご紹介したいと思います。

そもそもグリーン・ツーリズムって?



農村や漁村などに滞在して地域の人たちとの触れ合い、農業体験や漁業体験をしながら過ごす、いわゆる「体験型」の観光のこと。

田植えや収穫体験、郷土料理を作ったり、民泊を通して地元住民と交流する。といったものがポピュラーです。名所を巡る旧来の観光スタイルに比べて、里山や田舎の暮らしをより深く体感できる魅力があります。

そんな「グリーン・ツーリズム」を体験できる今回のツアーは、美しい里山に滞在して農業や地域伝統の食文化に触れる2日間の行程。

そば打ち体験やリンゴ収穫体験、謎の郷土料理に朝市など、地元の人との楽しい触れ合いに心癒される内容です。

貸し切りバスで巡る南部地方の旅へ出発!



八戸駅で集合し、貸切バスに乗って旅がスタート。

バスの旅はまるで修学旅行のようなワクワク感。車内では地元のバスガイドさんが、軽快なトークに載せて地域の歴史や食文化などを簡単に紹介してくれます。



今回のツアーは、私を含めて青森県の西側、多くは都市部で暮らす人が参加しています。同じ県内からわざわざ?と思うかもしれませんが、青森県は東西で別の領主が治めていた別の国だったので、文化がかなり違うのです。

西の「津軽」は方言で有名な津軽弁を話す地域で、米とリンゴの生産が盛ん。一方、今回旅する東側の「南部」は、ふんわりした響きの南部弁。

ヤマセという冷たい風が吹く気候ゆえに、冷害に強い小麦粉や蕎麦、根菜が食されてきました。同じ青森県でも、言葉もふるさとの味も全く違うんです。

木々の間から秋の日差しが降り注ぎ、里山の風景が車窓を流れていきます。この美しい田んぼも畑も誰かが大切に守ってきたのだな、と思うと感慨深いものがあります。

八戸市南郷の旧校舎「山の楽校」で、蕎麦&南部煎餅づくり



最初に訪れた八戸市南郷(なんごう)の旧校舎「山の楽校(がっこう)」は、山間に建つ廃校校舎を活用した交流施設。

蕎麦打ちや炭焼き、豆腐づくり、稲刈りなど、地元の方々と一緒に里山の暮らしを体験できます。夏は200万本のひまわりが咲き誇る絶景スポットとしても知られています。



早速、体育館で蕎麦打ち体験がスタート。しっかりと手を洗い、用意されたエプロンを着用します。ずいぶん愛らしいデザインで思わずみんな笑顔に。ちょっと小さめなサイズから、地域のおばあちゃんたちの姿が浮かんでほっこりしました。



講師は、山の楽校の岩渕楽校長(がっこうちょう)。

「この辺りは痩せた土地で、昔からソバが作付けされてきました」

楽校長から南郷蕎麦のことを聞きながら、初心者にもできる二八蕎麦の作り方を教わります。



蕎麦粉に水を加えながら混ぜて、たたんで、伸ばして。あれ?細く切れない。む、難しい……。

楽校長がさりげなく助けてくれるのですが、「捏ねない、混ぜるだけ!」「食べるとこなくなっちゃう!」

参加者の自由すぎる行動に大忙しでツッコミを入れる、面白スパルタ教師でした。体育館にみんなの笑い声が響いて、なんだか子供に戻ったような気分になります。



この体験の醍醐味は、最後にみんなで作った蕎麦を食べること!太さはまちまちですが……。どうですか私たちの蕎麦、悪くないよね?

味はもちろん、ちゃんとコシもあって蕎麦そのものの香りがとってもいいです。使っているソバの実は、山の楽校で栽培しているものだそうです。



続いて、南部地方の名物「南部煎餅」の一種、てんぽ煎餅を焼きます。小麦粉を原料にしたタネを鉄の型に挟んで熱を加えると、型のふちからぷくっと煎餅のミミが膨らんできます。香ばしい匂いがしてきたら完成!



焼きたてのてんぽ煎餅。別名もち煎餅ともいうだけあって、もちもちっとして美味しかったです。お蕎麦やお煎餅は普段作ることがないので新鮮な体験でした。昔の里山では、畑から手間をかけて大切に食されてきたのでしょうね。

■詳細情報
・名称:山の楽校
・住所:青森県八戸市南郷島守字北ノ畑6-2
・地図: ・電話番号:0178-82-2222
・営業時間:8:00〜17:00
・定休日:月曜日(月曜が祝日の場合は翌日)、年末年始
・公式サイトURL:https://www.yamanogakkou.com/

フルーツ王国の南部町(なんぶちょう)でリンゴの収穫体験!



再びバスに乗り、お隣の南部町へ。町全体を「達者村」と名づけ、グリーン・ツーリズムや内外の交流を活発に行っています。およそ30年も前から農家民泊を受け入れていて、四季を通して農家体験プログラムが用意されています。



ユッキーさんこと、佐々木幸雄さんが代表を務める「ユッキーファーム」は、土作りにこだわり有機質肥料を使った畑で収穫体験ができる農園です。ユッキーさんの愉快な解説を聞いて知識を深めてから、自分で選んで3つほどリンゴを収穫。赤い「サンふじ」と黄金色の「ぐんま名月」の2種類にしました。



上手に採るコツは、ツルと呼ばれる茶色いヘタを切らないようにすること。リンゴはツルが無いだけで市場での価格が落ちてしまうので、農家さんの気持ちになって慎重に収穫しました。ヘタの節に指をあてて、実を逆さに持ち上げるとスッと枝から離れましたよ。



おいしいリンゴを見分けるポイントは表面のテカリ具合だと教わり、テッカテカに光るリンゴを割ってみると……。やった、蜜入り!タネ周辺の濃い黄色の部分が蜜です。さらに実の全体にもまんべんなく蜜が入った大当たり。みずみずしくて甘いリンゴでした。畑で食べるってとても贅沢な気分です。

収穫したフルーツで特製パフェを作る「北のフルーツパーラー」

収穫したリンゴを持って、今夜の宿「農林漁業体験実習館 チェリウス」へ。公共の宿であり、体験施設でもあるチェリウスは、南部町のグリーン・ツーリズムの拠点になっています。



「北のフルーツパーラー」は自分で収穫したフルーツを使ってスイーツを作る体験プログラム。さっき収穫したリンゴがパフェになるのです!



講師の先生にお手本を見せてもらって、いざ実践。特産の甘酸っぱい紅玉りんごジャムとコーンフレークを器の底に敷き、刻んだリンゴとアイスクリームを重ねていきます。やってみるとなかなか楽しくて、みんな黙々と盛り付けていました。



薄切りのリンゴをトッピングして完成!初めてにしては上手くできた気がします。白状すると、カッコイイ飾り切りは先生が作ってくれました。この後はみんなで試食タイム。

今回はリンゴでしたが、南部町ではモモやブドウ、サクランボ、西洋ナシ、イチゴなどなど、ほぼ一年中フルーツが生産されているので、訪れる時期によって違うフルーツでパフェが楽しめますよ。

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静かな環境に心癒される、里山の時間



宿泊したチェリウスは小高い山の上にあり、絶えず鳥のさえずりが聞こえます。大きな窓からは、山に囲まれた田んぼの中で、さらに寄り集まるように建つ家々が見えました。



そこから夕刻を知らせる音楽が響いてきて、懐かしさで胸がいっぱいになります。鳥も人も、そろそろ家に帰るのでしょうか。しばらくは言葉も忘れて、蜂蜜色に染まる景色を眺めました。

■詳細情報
・名称:南部町農林漁業体験実習館 チェリウス
・住所:青森県南部町大字上名久井字大渋民山23-141
・地図: ・電話番号:0178-76-1001
・公式サイトURL:http://town.aomori-nanbu.lg.jp/

南部太ねぎを使って「せんべい汁」と「ひっつみ」を作ろう!



夕食の前に、南部地方に伝わる郷土料理を作ります。「せんべい汁」はその名の通り、鶏肉や野菜で出汁をとった醤油味の鍋に、せんべいを入れて食べる料理。鶏皮を炒ってじっくり香りを引き出したら、野菜や豆腐を入れて煮込みます。



火を通すと5倍甘くなるという、南部町の極太ブランド野菜「南部ねぎ」の紹介をしてくれた沖田さん(左)と、調理指導の中坪さん(右)曰く、煎餅は味噌汁や豚汁に入れることもあるそうで、南部の人々にとっては欠かせない食材、スーパーマーケットに「汁用せんべい」が売られているくらい一般的です。



もうひとつは「ひっつみ」。練った小麦粉を薄く伸ばしながら手で千切って鍋に入れる料理です。しっかりと捏ねて一晩寝かしたタネは驚くくらい伸びる!ワンタンみたいですがもっと弾力があります。タネを「ひっちぎる」作業から「ひっつみ」という名前になったようです。



具材の入った鍋を手にそのまま夕食会場へ、宿が用意してくれた海の幸山の幸と一緒にいただきます。バキバキとせんべいを割り、鍋に投入!



八戸名物のシメサバやイカ、南部町の減農薬米など、豊かな地物が並ぶお膳。せんべいどうなった、と思うでしょ?なんと、せんべいが出汁を吸って柔らかくなり、噛むたびに出汁がジュワッ!先人の知恵、恐るべし!ひっつみも、包丁じゃなく手で千切るから出汁が染みるんだと気付きました。



宿の売店で、収穫体験で訪れたユッキーファームの100%りんごジュースとぶどうジュースを発見!濃厚で香りがとっても華やか。翌朝早いので、お酒を控えて夕食の締めにいただきました。

港町八戸の熱気!圧巻の「館鼻岸壁朝市」を歩く



2日目は日の出前に宿を出て八戸市へ。朝焼けが綺麗です。太平洋に面した八戸市は、日本有数の水揚げを誇る漁港や工業地帯がある、南部地方の中心都市。



「館鼻岸壁朝市」は、日本一カオスな朝市との呼び声も高く、地元住民だけでなく多くの観光客も訪れます。毎週日曜の夜明けに突如出現する巨大朝市、総距離はおよそ800mと圧巻の光景です。

新鮮な野菜や魚介類、工芸品に骨董品、衣類から座布団まで、さまざまなものを売るお店がひしめき合っています。



初心者の私たちは、八戸の街を知り尽くした「八戸さんぽマイスター」の皆さんにガイドしてもらいながら朝市を歩くことに。



お写真撮らせてください、と声をかけると、「うちのお魚ちゃんたち、かわいく撮ってね!」と返してくれました。気さくなお店の方々との会話に心が弾みます。次は絶対クーラーボックス持参で来ますね。



ハズせないのが朝市グルメ!食べ物を扱うお店もたくさん出店しています。ラーメン、揚げ物、カレーに焼き立てパン、ブイヤベース、韓国料理……。熱々のカニ汁に吸い寄せられてしまいました。



大行列の朝市名物「しおてば®」も食べることができました。

夜明けとともに約300もの店が現れ、数時間で跡形もなく消える不思議な朝市。迷子になるほどの広さと活気、あちこちでライブパフォーマンスも行われていて、まさにカオスな熱量に圧倒されっぱなしでした。

■詳細情報
・名称:館鼻岸壁朝市
・住所:青森県八戸市新湊三丁目 館鼻岸壁朝市
・地図: ・開催時期:3月中旬〜12月の毎週日曜日
・開催時間:夜明けから9:00頃まで
・電話番号:080-5734-3251
・公式サイトURL:http://minatonichiyouasaichikai.com

景勝地「種差海岸」と「葦毛崎展望台」



太平洋に面した種差海岸は、古くから景勝地として数多くの文化人に愛されてきました。異国を思わせる天然の芝原と海のコントラストが美しい「種差天然芝生地」。



三陸復興国立公園、国指定名勝などに指定されている種差海岸には、全長約12kmの遊歩道が整備されていてトレッキングコースとしてもおすすめ。道路を挟んだ向かいのインフォメーションセンターでさまざまな情報を入手できます。

■詳細情報
・名称:種差海岸インフォメーションセンター
・住所:青森県八戸市大字鮫町棚久保14-167
・地図: ・営業時間:4~11月/9:00~17:00
12~3月/9:00~16:00
1月2・3日/10:00~15:00
・休館日:年末年始(12月29日~1月1日)
・電話番号:0178-51-8500
・公式サイトURL:http://www.tanesashi.info



種差海岸インフォメーションセンターから約5km北に位置するこちらは「葦毛崎展望台」。周辺では海辺に咲く草花や高山植物が観察でき、展望台からは太平洋を見渡せる絶景スポットです。



ふもとの売店で大人気のソフトクリームをいただきました。生クリーム入りで深みのある甘さが一番人気「まきば」(左)、少しビターな「ショコラ」(右)。

■詳細情報
・名称:葦毛崎展望台
・住所:青森県八戸市鮫町字日蔭沢
・地図:

「八食センター」で味わう、海の幸の炭火焼きと地元の酒



市民の台所「八食センター」には、八戸のうまいものが大集合しています。約60店舗が入居していて、新鮮な魚介、お惣菜からおみやげまで、八戸の食を体感できる活気あふれる施設です。



飲食店も複数入っていますが、中でも興味深いのが、施設内の市場で購入したものを持ち込んで炭火バーベーキューができる仕組み。



「七厘村」は、その名の通り、屋内で魚介を炙って食べられるんです。



八戸名物のイカはもちろんのこと、エビ、ホタテ、アワビにウニまで焼きますよ!なんて贅沢なんでしょう!炭のはぜる音を聞きながら、焼き上がりを待つのも楽しいひととき。



お腹が膨れたところで、館内の酒屋さんへ。こちらは日本酒の試飲ができ、県内の地酒などを1杯500円くらいで楽しめます。八戸酒造の「ハッセンブラージュ」は、県産米の4種をブレンドしたプレミアムラインで一本1万千円!試飲があってよかった。軽やかでフルーティー!



八食センターは青森県内では有名な施設ですが、こうしてじっくり訪れる機会は少なく、ましてや日本酒の試飲は、バス旅だからこそ楽しめる寄り道ですね。

■詳細情報
・名称:八食センター
・住所:青森県八戸市河原木字神才22-2
・地図: ・営業時間:市場棟/9:00~18:00
味横丁/9:00~18:30(L.O. 18:00)
厨スタジアム/9:00~21:00
※お盆・年末年始は営業時間が異なります。
・定休日:市場棟、味横丁/水曜日、元旦
厨スタジアム/無休
※繁忙期・祝祭日は臨時営業
・電話番号:0178-28-9311
・公式サイトURL:https://www.849net.com

青森県南部地方の空気を体感する旅



南部地方のように、山と海の両方を味わえるツアーは意外と珍しいかもしれません。里山の風、リンゴの匂い、潮の香りと活気。痩せた土地と言われた時代からおいしい特産品が生まれるまでの力強さに思いを馳せました。

ふんわりと優しい方言と笑顔。地元の方々が嬉しそうに寄り添ってくれたのが何より嬉しい旅でした。見るのではなくやってみる、買うのではなく作ってみることで、近くて遠かったもうひとつの青森に、ようやく出会えた気がします。

それから、普段は気ままな個人旅行派なので、バスツアーがすごく楽しかったことも大きな発見でした。

もしかすると、個人旅行でグリーン・ツーリズムを体験してみたくても、「どこで何をすればいいか分からない」という人が多くいるかもしれませんが、ツアーだと安心して参加できておすすめです。

それに、南部の人気スポットが2日間の行程にギュッと詰まっていたのも良かったです。場所や道をよく知らない田舎で、移動の心配をしなくていいのって、こんなにも楽だったのかと実感しました。

車窓を染める朝焼けに心動かされ、旅している時間をしっかり満喫できる素敵なツアーでした。

All photos by Shintaro Tsushima

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