一味違う屋久島はいかが?巨岩・湿原・清流が楽しめる黒味岳トレッキング
こんにちは、絶景ハンターのまゆみです。
世界遺産・屋久島といえば、映画『もののけ姫』のモデルになったとされる「白谷雲水峡」や樹齢数千年といわれる「縄文杉」トレッキングが定番ですよね。
しかし実は、島の9割を山岳地帯が占める屋久島では、九州最高峰の「宮之浦岳」を筆頭に、さまざまな形の登山が楽しめるんです。
そんな中でも今回は、苔むす森をはじめ、巨岩や高層湿原、美しい清流など変化に富んだ内容で日帰り登山が楽しめる「黒味岳トレッキング」をご紹介します。
屋久島名山のひとつ、「黒味岳」

島の9割が山岳地帯といわれる屋久島。九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m)を筆頭に、標高1000m以上の山々が多数連なり、「洋上のアルプス」の島とも言われています。
「黒味岳(くろみだけ)」(標高1831m)は、宮之浦岳、永田岳(標高1886m)とともに屋久島名山のひとつに数えられ、九州百名山にも選定された名峰です。

宮之浦岳の南方に位置し、その登山ルートの中間にある黒味岳は、宮之浦岳縦走登山で立ち寄られることが多い山でもあります。
山頂に巨岩⁉黒味岳の見どころ

屋久島というと、映画『もののけ姫』のイメージで、“苔むす森”の印象が強いですが、花崗岩マグマの海底隆起によって生まれた屋久島は、その成り立ちから山頂付近に巨岩・奇岩が多いことも特徴です。
そうした巨岩が楽しめるのも黒味岳トレッキングの魅力です。

黒味岳の登山ルート上に存在する「花之江河(はなのえごう)」は、日本最南端に位置する高層湿原です。
緑の湿地帯に5~6月にはヤクシマシャクナゲが、そしてコケスミレ、ヤクシマホツツジなどといった高山植物が四季折々楽しめるほか、秋には草紅葉を楽しむことができます。

さらに、「淀川(よどごう)小屋」では、屋久島屈指と言っても過言ではない、神秘的なたたずまいを見せる淀川の清流を見ることができます。
屋久島特有の、甘くまろやかな湧き水で作ったコーヒーやご飯は格別。味わいの違いに驚かされます。
黒味岳トレッキングコースの概要
それではまず、黒味岳トレッキングの概要を確認しましょう。

■ 難易度:★★★
■ 所要時間:約7時間
■ 歩行距離:約10.4km
■ 標高差:約470m(1320m~1831m)
■ 主なポイント:淀川登山口~淀川小屋~花之江河~黒味岳分岐~黒味岳山頂
黒味岳は登山道が整備されているため、ピンクテープを目印にすれば迷うことはありません。
ただし、アップダウンがきつい箇所も多く、特に宮之浦岳と黒味岳方面に分かれる「黒味岳分岐」から山頂までの約700mは、ロープを使って巨岩をよじ登る場面も多々あり、体力ともに難易度高めの登山となります。
もし、登山が不安な方は地元ガイドツアーに参加するのもおすすめです。
(参考:屋久島観光協会 登録ガイド一覧)
また屋久島では、いかなる登山も入山前に山岳部環境保全協力金の納入が必要です。登山を始める前に、忘れず納めていきましょう。
※納入金は1旅行につき1回/日帰り登山1000円、宿泊登山2000円(×人数分)
詳しくはこちらをご参照ください。
さっそく黒味岳に登ってみよう

まずは、淀川登山口からスタートです。この時点ですでに標高1320mあります。
次のポイントとなる「淀川小屋」までおよそ1.5km、比較的なだらかな道が続きます。
また、屋久島特有の着生木(1本の木に多くの木・植物が着生し、ひとつの森を形成している)と苔むす森の雰囲気を楽しむことができます。

淀川小屋(1380m)に到着。小屋の左側に回ると美しい沢の流れる水場が、右手奥にはトイレ(簡易式と携帯トイレブース)が設置されています。
案内標識にしたがってさらに進むと、淀川に架かる橋が現れます。橋を渡った先からは徐々にアップダウンがきつくなってきます。
しばらく進むと、「高盤岳(こうばんだけ)展望台」に差し掛かります。
高盤岳とは、黒味岳の南方にそびえる標高1711mの山で、山頂に豆腐のような四角い奇岩、通称「トーフ岩」が乗っかってみえるのが特徴です。

展望台から10分ほどで高層湿原の「小花之江河(こはなのえごう)」に到着。標高はおよそ1630mです。
この辺りから少しずつ森林限界に向けて低木が増え、枯存木の神秘的な姿も目立ってきます。

小花之江河から400mほどで「花之江河」に到着。
花之江河と小花之江河を含めた湿原エリアは、標高1600m以上に存在する日本最南端の高層湿原とされ、2600~2800年前に形成されたものといわれています。
湿原一帯には木造の遊歩道が張り巡らされ、ベンチも用意してあるので散策や休憩にも便利。湿原中央には岳詣りの小さな祠も祀られています。

花之江河から500mほどで「黒味岳分岐(黒味分かれ)」に差し掛かります。
低木帯を分け入った先から、本格的な岩登りになっていきます。

急登の大岩などの要所に命綱のロープが吊るされています。
とはいえ、花崗岩は滑りにくいため、表面さえ湿っていなければ、ロープにしがみつくことなく比較的登りやすい印象です。

いくつもの難所を越え、黒味岳分岐からおよそ700m、とうとう黒味岳山頂(標高1831m)に到着。
途中の眺望もすばらしいのですが、やはり山頂から眺める360度大パノラマの展望は、苦労して登った甲斐ある最高のご褒美です。
北の方角に宮之浦岳、その奥に永田岳を望むことができますよ。

「ひと月に35日雨が降る」といわれる屋久島。
外界ではいつしか雨が降り始め、厚い雲に覆われた雲海の絶景を見下ろすことができました。その達成感とともに山の頂でいただくランチは格別のおいしさです。
黒味岳へのアクセスと注意点

黒味岳のスタート地点、「淀川登山口」まではバスおよび車でアクセスすることになります。
ただし、路線バスは1日に2本しか運行がなく、最寄りのバス停「紀元杉」(10:27着、14:37着)から登山口まで約1.7km(徒歩25分程度)離れています。さらに、戻りのバスは10:45発と14:55発のため、日帰りで利用するには少々ハード。
一方、レンタカーの場合は、登山口前に5~6台の駐車スペースしかなく、早朝で埋まってしまうことも。少し離れた場所に路駐できるスペースもありますが、それも限られているのでご注意を。
もっとも効率的で便利な交通手段はタクシーですが、安房からは片道およそ6000円ほどかかります。グループで割り勘にしても安くはない金額。行きはタクシーで、帰りは路線バスという組み合わせも可能ですね。
淀川登山口までには、紀元杉のほか、川上杉、ヤクスギランドなど見どころ満載です。時間が許す限り、ぜひ屋久島の魅力を味わい尽くしてくださいね。
おまけ:淀川で味わう“シシ神の森”のような風景

冒頭でも申し上げたとおり、淀川小屋の前を流れる淀川の美しさは屋久島屈指。そこにひとたび霧が立ち込めると、まるで『もののけ姫』のシシ神があらわれそうな、神秘的な水辺の風景が広がります。
白谷雲水峡とは一味違った『もののけ姫』の世界を堪能できること間違いなし!

ちなみに、淀川小屋の前には、まるでシシ神がデイダラボッチ(ダイダラボッチ)に変身するときのような、首を天高く伸ばした屋久杉があります。
屋久島に訪れた際には、ぜひ探してみてくださいね。
・名称:黒味岳
・住所:鹿児島県熊毛郡 屋久島町平内
・地図: ・アクセス:安房から車で約1時間、路線バス(屋久島交通)で「紀元杉」バス停まで約1時間+バス停から約1.7km(約30分)
・屋久島観光協会公式サイト:http://yakukan.jp/
All photos by Mayumi